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2021.06.20
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すったもんだがあったものの『奇跡樹』の見学も終りグーとタラたちはぶつぶつ言いながら再び観光旅行船に乗り込んで次なる目的地に出かけた。
ガイドによるとボチコレオ星最大のレジャーランドらしい。
皆は今度こそ思い切り楽しめるのではと、密かに期待した。
そこは『奇跡樹』があった所から540宇宙標準キロメートルとそんなに遠くなく、すぐに到着した。観光飛行船のハッチが徐々にせりあがり、期待に満ちた彼らの前に、ボチコレオ星最大のレジャーランド、『グレート・ウォーター・ジャンボ・プール』が徐々に彼らの目の前に現れた。
それはボチコレオ星政府が100億宇宙標準通貨の巨費を投じた国家一大プロジェクトで、砂漠のど真ん中にドーンと作った25宇宙標準メートル巨大プールだった。1宇宙標準メートルは地球での長さの単位で1.32メートルだから33メートの大プールだ。
・・・・・・・・?
「25宇宙標準メートル巨大プール?」
ピーマスさんが思わず叫んだ。
「どこが巨大プールなんだ?しかも、そのプールにはボチコレオ星人が身動きできないほど、ギュウギュウに詰まっているし。これ以上は指一本も入りそうもなく、第一水などどこにあるんだ?」
そこにプールの管理人がやって来て言った。
「おお、ボチコレオ星政府の特別ゲストのお客様たち、よくおいで下さいました。この『グレート・ウォーター・ジャンボ・プール』に入るには3宇宙標準時間待ちなのですが、特別ゲストですからすぐにお入りいただけますよ。ちょうど5名ほど制限時間が来ましたのですぐに空きます。」
そう言って彼はピーっと笛を吹くとプールの端に並んだ5名の親子連れに声を掛けた。
「そこのご家族の方、お時間です。十分楽しんでいただけましたか?」
その家族は名残惜しそうな顔をしながらも、ついに念願かなって『グレート・ウォーター・ジャンボ・プール』に入れたことを喜んでいた。
その家族がプールの端から上がると、なるほど彼らの腰のあたりまで水が漂っていた。プールの客たちはジグザグに進む行列を徐々にずれて行き、プールの反対側に5人分の空きが出来た。
彼は言った。
「さあ、特別ゲストのお客様、あそこにお入り下さい。」
ボチコレオ星では水が極端に少なく、当然プールはおろか池も海もなく、水たまりがあってもそこは濃縮された塩分で、入ろうものなら10宇宙標準分で塩漬けとなり死に至るのだった。したがってこのような巨大プールを国家プロジェクトで開発し、この星の住人は水に浸かった事を一生の思い出にするのだ。
水はたくさんの客たちが浸かるため循環させて浄水しているとは言っても白く濁り、入る事さえ気が引ける5人と1匹だった。
そもそもプールはただ浸かって立っている所ではなく、泳ぐためのものではないのか?
どうやらこの星には水泳などという概念がないらしい。
コナさんが試しにプールの中に手を入れて水を触ってみたが、ヌルッとして生暖かく、慌てて手を引っ込めて、思わず顔を歪めて指先から水を払った。
ピ、ピ、ピ、ピーッ
すると先ほどの管理人がけたたましく笛を吹いて、先ほどのにこやかな顔を一変させてどなった。
「こらっ!プールの水を外に捨てるとは何事だ!罰金として650万宇宙標準通貨を支払うか10宇宙標準年ほど留置場に入ってもらうよ。」
ここでもやはり宇宙キャッシュサービスでお金を降ろして、後日支払う事で決着した。





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最終更新日  2021.06.20 00:00:20
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