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カテゴリ:太っちょポッポのトットさん
ワームホールに一人取り残されたジョンピーは突如現れた出口に向かって歩き始めた。 トットさんはビッキーに連れられて無事にカナイドに行けていればいいのだがと案じながら、勇気を振り絞って進んで行った。 この先がカナイドにつながっているならいずれわかる事ではあるが。 もし、この先が宇宙だったり海の底であれば出た途端気づく間もなく彼は死んでしまうのだ。 ジョンピーの目の前は真っ白になり、濃度100%の霧の中を進んでいるような感じだった。 まだ呼吸は出来る。 まだ光は見える。 まだ歩いている。 心臓は激しく高鳴り、鼓膜の中で大太鼓の様に響き渡っている。 彼は思った。 まだ僕は僕、ジョンピーだ。 彼はそれでも歩き、耳は何やら得体の分からないざわめきのような音に満たされて・・・・ 突然目の前に光景が現われた。 部屋だ。どこかの部屋だ。カナイドの誰かの家の中に出てしまったのだろうか? 彼はその部屋を見回し、驚いた。 そこには5人の異様な生物がソファに座っており、その傍には見慣れた姿の犬が餌を食べていた。 どうやらやはりカナイドにたどりつけた様だ。 この様な姿の生物をカナイドで見かけた覚えはないけれど・・・・ 犬が餌皿から顔を上げて言った。 「おやハト君、君は誰だい?どこから来たんだい?そこの壁掛け時計からいきなり飛び出して来て。言っておくけど、あの時計は鳩時計じゃないよ。」 壁を見るとちょうど壁掛け時計がかかっている部分が真っ黒なブラックホールになっていた。 ジョンピーはいきなり話しかけられてうろたえたが、とりあえず一番気になる事を聞いてみた。 「あのー、ここはカナイドですか?」 「カナイド?」 そこにいる見慣れない姿の生物が一様につぶやいた。 「カナイド?はて、そんな名前の国や町は聞いた事がないが。」 その生物の一人が言った。 「えっ?ここは、この国はカナイドじゃないんですか?」 ジョンピーが聞くとその生物は言った。 「ここは日本の東京という町だよ。」 「えええ?僕も東京から来ました。でも、あなたたち失礼ですけど人間じゃないですよね?いや、地球に住んでいるどの生物とも違うみたいなんですけど・・・・」 ジョンピーが当惑していると、別の生物が言った。 「俺の名前はタラ、こっちは双子の兄のグー、こちらは今日知り合ったばかりなんだけどオノ星のジョンジさん、そちらはその友達のピーマスさんとコナさんだ。もちろん僕たちは地球人じゃないよ。そこにいる犬のジャスティンは地球犬だけどね。」
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