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カテゴリ:太っちょポッポのトットさん
「地球に行く前にアレ=デ・ランって星に寄ってみようと思うんだ。」 グーはトットさんたちに言った。 「アレ=デ・ラン?どんな星なんですか?」 ジョンピーが尋ねるとタラが答えた。 「アレ=デ・ランは平和な星で、そこにある物を届けて欲しいと友達に頼まれたんだ。」
ビリノン星にはエントランス・センターがあり、そこをくぐるだけで星のどこへでも行けるのだが、さすがに5千7百光年離れた星間でのエントランス・システムは開通していなかった。 それにはまさにブラックホール級のエネルギーが必要になるからだ。
タラが言った。 「アレ=デ・ランにはベイロという爺さんが住んでいて、その孫が自分で描いた爺さんの似顔絵の実物をそのまま送りたいそうなんだ。今度俺たちが地球へ行くって言ったら、その途中にこの絵を届けてくれないかと頼まれたんだ。ほらこれだよ。」 そう言ってタラは小さなチップを見せた。 「何だいこのかけらは?どこが絵なんだ?」 トットさんの目の前でタラがそのチップをちょっと捻るとたちまち広がってちょうど画用紙くらいの平らな白い板に変形した。 グーがその板を指先でトントンと軽く3回たたくと、瞬く間に絵が現れた。 それはそれはいかにも子供の絵らしい一人の人物だった。 「これがベイロってお爺さん?」 ジョンピーが尋ねた。 「シロネトヤマコ・スペース・ロジスティックスに配達してもらえばいいのに。」
「二人はいつも何かトラブルに巻き込まれるみたいだけど大丈夫なんだろうな?」 トラブルそのもののトットさんが言った。 「絶対、必ず、誰が何と言おうと、正真正銘、神に誓って、100%大丈夫だ。」 きっぱりと言ったが、最後にぼそっと付け加えた。 「・・・・多分。」
「ん?」 最後の言葉にトットさんは一抹の不安を感じたが、宇宙発展レベル2の地球になんか誰も行こうともせず、唯一グーとタラたちが送ってくれるというのだからそれ以上は何も言えなかった。お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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