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マスP文庫

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太っちょポッポのトットさん2

2022.05.21
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トットさんはのんびり惑星ヱンドアの森に横たわる倒木に寝そべって空を見上げていた。

なぜ彼はこんな星にやって来たかというと、バン・ソコを救出し、ミレニアムボロコムにのって地球に送ってもらう途中、宇宙国家から悪漢ベーダ―が宇宙国家を密かに操る影の支配者と共に、星を一撃で破壊できる秘密兵器に滞在しているという連絡を受けて引き返すことになったからだ。

その秘密兵器はまだ建設途中でこのヱンドアの引力圏で、星から送られるシールドに守られて最後の仕上げをしているのだ。

トットさんが見上げる空には月のようにその秘密兵器が不気味な姿で浮かんでいた。

「でっかいなあ、あれが宇宙船かあ?まるで本物の月じゃねえか?」

「あれはデススターデスって名の秘密兵器らしいよ。」

傍らでしっかり者の相棒ジョンピーが教えた。

 

そう、これは『デススターデス』という名の秘密兵器なのだ。

デススターだけで死の星という意味で十分なのに、更にデスとつくのは死を強調したいのか?

なまじっか日本語を知っている者が、ご丁寧に説明するために後ろにデスをつけたのか理由は分からない。

いずれにしてもセンスのかけらもない名前である。

そんな名前を付けた奴の顔を見たいものだ。

「それはお前じゃないか?」

トットさんはマスPをじろりと睨んで皮肉った。

 

ツン、ツン

 

その時トットさんをつつく何者かがいた。

トットさんが振り向くとそこには子熊のような槍を構えた生物が首を傾げながら突っ立っていた。

トットさんが慌てて起き上がると、その生物は慌てて後ろずさった。

きっと彼はトットさんをバンクしたボールか何かと思ったのだろう。

まあ大して変わりはないが。

「お前は誰だ?俺に何の用だ?

その生物は叫んだ。

 

フギャー・ゲロ・ポーポ

 

「お前は何を言っているんだ?」

伝わるはずもないのにトットさんは尋ねた。

「トットさん、グーさんたちにもらった自動翻訳機を使うんだよ。」

ジョンピーに言われ、おおそうかとトットさんが自動翻訳機のスイッチを入れると、そこから翻訳した声が聞こえて来た。

「わあ、ベンコロイノシシのウンチがしゃべった!!」

「何?何イノシシ?ウンチ?俺がウンチだと?」

トットさんはその言葉に怒りまくって襲い掛かろうとした。

その生物は翻訳機によるとイオークというヱンドアに住む原住民だということだった。

そこへシールド発生器を調べに行って行方不明になったレイヤンを探しに行っていたバンとマルークが戻って来た。

「おや、お前のお友達か?」

バンがからかうように言った。

「友達だと?こいつ俺のことをイノシシのウンチだとぬかしやがったんだぞ!」

そう喚くトットさんにマルークはうなずきながら言った。

「ベンコロイノシシのウンチか?なかなかうまいことを言うな。」

「何を!!」

と叫びかけたトットさんは周りを見て青ざめた。

彼らの周りを無数のイオークが槍を構えて取り囲んでした。

こんなに多くてはいかに原始的な部族であっても勝ち目はない。

両手を上げて歯向かう気はないことを示すと、イオークたちは槍を降ろしたかと思ったら、あっという間に彼らを縛り上げてしまった。

 

今日の夕食にでもしようと言うのか?

 

「やめとけ、トットさんだけは!!」

マスPは思わず叫んだ。







最終更新日  2022.05.21 16:25:20
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2022.05.08

悪徳の限りを尽くし、非道を尽くしてきたジャバザハットは、セールバージから振り落とされ、彼のペットであるサルラックの胃袋の中に飲み込まれて行った。

単にそこで死ぬのであれば幸せなのだが、これから千年の間、正気を保ったまま激痛を味わいながら徐々に溶かされ、今までの罪を贖ってゆくのだ。

 

「ルーク、ありがとよ。お前に借りが出来たな。」

バン・ソコは彼には不似合いな感謝のことばをマルークに投げかけた。

マルークは戦闘機のコクピットのスピーカーから聞こえて来るバン・ソコの言葉に微笑みながら返した。

「バン、僕は寄って行くところがある。ベーダーとの対決が始まるまでには駆けつける。レイヤンをアレ・デ=ランに送って行ってくれ。」

「了解。」

バンの言葉を合図を待っていたかのように、ミレニアム・ボロコムは船体を揺すったかと思うと、一瞬のうちに光の線となり宇宙のかなたに消えた。

 

-----------

 

相変わらず惑星ゴタゴタは湿気が高く蒸し暑かった。

生臭い沼のほとりにある小さなあずまやの窓から細々と頼りなさげに光が漏れていた。

マルークの師ヨーダは病の床についていた。

「900年も生きていれば老いぼれて来るわ。」

ヨーダはめっきり弱った体を床に横たえ、苦し気に咳をした。

「ヨーダ様。しっかりしてください。あなたの教えを乞うために戻って来ました。」

マルークは悲痛な面持ちで師に訴えた。

ヨーダは震える手をマルークに伸ばして喘ぎながら言った。

「もう修業は終わっている。もう何も教えることはない。これからはお前自ら学んで行くのだ。」

マルークは心に引っ掛かっていることを口にした。

「ヨーダ様、ひとつ教えてください。ベーダーは、ベーダーは僕の父なのですか?」

ヨーダはしばらく顔をしかめていたが、ようやく僅かに首を縦に振った。

 

「マルーク、お前はこれから父との対決をせねばならん。お前がフォースにバランスをもたらすのだ。」

そのとき、霊体となったベン・ケイノービの声が闇の名から聞こえてきた。

「ベン。僕の父さんはベーダーに殺されたって言ったじゃないか。」

マルークは怒りを込めてベンの声に向かって抗議した。

「最強のジェダイだったお前の父は暗黒のフォースに飲み込まれた。その時点でお前の父親はベーダーに殺されたのだ。」

マルークは詭弁ともいえるベンの言葉に身を震わせた。

「マルーク、お前はお前の力で運命を乗り越えなければならない。」

ヨーダは目をつむったままマルークに告げた。

「僕ひとりの力で・・・」

マルークの言葉を遮りヨーダは言った。

「マルーク、お前はよくやった。ここに来た頃にはあきらめかけたが、今はフォースはお前とともにある。フォースを信じるのじゃ。しかもお前は一人ではない。もう一人おる。」

マルークはヨーダの言葉にふと気づいて言った。

 

「レイヤン?それはレイヤンですね?」

 

「良い洞察力じゃ。」

ヨーダは満足そうに頷いたが、その途端最後の痙攣を起こすと大きな息を吐いて静かに永遠の眠りについた。

それから彼の体は次第に消え、霊の世界に旅立ち、体を覆っていた粗末な毛布はベッドの上に落ちた。







最終更新日  2022.05.08 23:04:43
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2022.04.30

パン、パン、パーン

華々しく花火が上がった。

砂漠の惑星タートルインに花火?

地球の日本という小さな国の花火だ。

しかも、目に眩しい真昼の青空に。

これはグーとタラが地球から持ち帰った、地球の花火を昼間でもはっきり見えるように、閃光も色もはっきり見えるように、しかも煙も彩を添えるアイテムとして、彼らのビリノン星で改造されたもので、宇宙国家で流行り始めているアトラクションだった。

 

今日はマルーク・ウシ―ウォーカーとバン・ソコをサルラックの餌にするめでたい大イベントなのだ。

 

「ムバーク・ワーララ・ベゾーク・バララーク。」

執事のビブフォーチュナは訳さなかったが、悪の黒幕ジャバザハットもいたく気に入った様だ。

打ち上げられた先を見るとグーとタラが手を振って応えた。

この思いがけない真昼の花火大会に皆釘付けとなった、

そこに伝令として活躍するジョンピーがグーとタラに飛びよった。

 

運搬船から差し出された踏み台の上でその様子を見上げているマルークの元に、ジョンピーが密かに近づいた。

その時、最後の締めとなる巨大な花火がタートルインの雲一つない青空を埋め尽くした。

 

「ダーク・ワ―・チュナーゼ。」

「さあ始めよ。」

ビブフォーチュナの通訳で皆の意識は処刑の場に戻り、大歓声が沸き起こった。

「ジャバ、思い直すなら今の内だぞ。」

マルークの言葉をビブフォーチュナから伝え聞いたジャバは嘲笑するように笑い飛ばし、意にも介さず処刑人に合図を送った。

 

その時マルークの掌から緑の光柱が伸びた。

ライトセーバーだ。

皆が花火に気を取られているうちに、密かにジョンピーから手渡されたものだった。

マルークは踏み台を上下に揺らし、大きな反動を得ると高く空中に舞い上がると、ジャバのセールバージに飛び移った。

事態に気づいたジャバの手下から浴びせられる熱光線をことごとく跳ね返し、返りを受けた手下が次々と倒れて行った。

それに合わせて今まで鎖に繋がれていたはずのレイヤンが立ち上がり、今までわが身を束縛して鎖を手にジャバの首に巻き付け、全体重をかけて締め上げた。

こっそりトットさんがヤスリを使って切断してくれていたおかげだった。

そのトットさんはこんな時、何の役にも立たないから柱の上に停まり状況を見下ろしていた。

グーとタラも密かに手に入れた武器を手に取り果敢に戦っていた。

冷凍保存から解凍されたバン・ソロは目がまだよく見えないながらも、動く者を片っ端から撃ち倒して行った。

何しろ自分の周りにいるものはすべて敵なのだから容赦はなかった。

そんな様子を見て銃口を向けるのは、マンダロリアンの賞金稼ぎボバフェットだ。

それを見つけたトットさんは、バンを救うべく何か落とす物を探したがあいにく周りには何もなく天を仰いだがその時ふと思いついた。

その次の瞬間何を思ったか彼は柱から飛び降りた。

その落ちる先はボバフェットの装甲ヘルメットの真上。

最強の戦士であるボバフェットも、その重さに堪らず床に倒れて気を失ってしまった。

 

「レイヤン、バン。こっちだ。」

マルークに呼ばれ二人はその元に駆け寄った。

目の良く見えないバンは、彼を救ったばかりのトットさんを拾いあげ誘導された。

そこにチューバッタが操縦するミレニアム・ボロコムがやって来た。

マルークは舳先に備え付けられたレーザーキャノンをセールバージの床に向けて連射する様に固定して、ボロコムに乗り移った。

ボロコムはグーとタラも拾って空高く舞い上がった。

セールバージは破壊され、船体を徐々に傾けて行った。

レイヤンに首を絞められ気を失いかけたジャバはようやく意識を取り戻したが、傾いた船体の床を滑り始め、彼の悪事の手下とともに砂漠にぽっかりと開いたサルラックの巨大な口の中に消えて行った。

 

サルラックは思わず転げ込んできた、無数の餌に喜び体を揺すった。

 

そして最後にタートルインの砂漠に、地を揺さぶるような大音響のげっぷが鳴り響いた。

 

グアップ






最終更新日  2022.04.30 09:33:29
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2022.04.24

ジャバの帆船型浮遊艇セールバージはタートルインの砂漠の上を滑らかに、そして悠々とある場所に向かっていた。

その先に待つのは宇宙最悪の生物と言えるサルラック。

今日の餌食となる餌はジェダイナイトのマルークと、冷凍保存から解凍されたばかりのバン・ソロ。

彼らはこれから、砂漠に大きな口を開いているサルラックの巨大な口の中に放り込まれ、1000年という悠久の時をかけて、徐々に溶かされながらも、その間常に命も意識も正常に保たれ、そのため常に激烈な苦痛を味わいながら、地獄でさえ安楽の場所と思える永遠の苦難を過ごすことになる。

 

「マルーク、故郷で死ねてよかったじゃないか?」

サルラックの餌運搬船の上でバンは冷凍保存から目覚めたばかりで、まだよく見えない目で照り輝く砂漠の砂の反射を感じながらつぶやいた。

「バン、済まない。君を救いに来たのにこんなことになってしまって。」

マルークは先ほどから二人の会話に耳を傾けながら、これから待つお楽しみの時間に胸をワクワクさせるジャバの手下たちの様子を目で追いながら返した。

 

ンゴーッ

 

居眠りしながら大きないびきを立てるジャバのそばには、相変わらず鎖に繋がれた彼の愛玩ペットのレイヤン・オッカナが憎々し気にナメクジのような巨体のジャバを見上げていた。

彼女はトットさんたちが最初に悪漢ベーダ―のアジトの地図を届けようとした、宇宙国家の議員、ベイロ・オッカナの娘だった。

さらにその膝先にはトットさんが蹲っていた。

彼は何やらもごもご蠢いていた。

彼の手には小さなヤスリガ握られ、レイヤンを繋ぐ鎖を削り切ろうとしているのだ。

そのヤスリは、伝令としてジャバの宮殿を飛び回るジョンピーが密かにもたらしたものだった。

「トットさん、あなたの故郷の星の地球という所は緑と水が美しい星なんですね。私の故郷のオルデランと似た星の様です。」

レイヤンはトットさんがこするヤスリの音をかき消すべく、常にしゃべり続けていた。

「俺があんたの親父さんに届けようとした地図はグーとタラが届けてくれたはずだから、すぐに親父さんたちは動き始め、じきに奴らは攻撃され壊滅させられるだろうよ。」

トットさんの言葉にレイヤンは首を振った。

「ベーダ―の後ろには黒幕がいて、密かに宇宙国家を操っているのです。そう簡単にはいかないでしょう。私は特使の任務の傍らその情報を得て、父に伝えるべくオルデランに向かう途中で、ジャバに捕まってしまったの。これも裏でその黒幕が企んだことでしょう。自分が手を下さずにジャバにさせれば、正体がばれることはないのだから。」

 

やがてセールバージは速度を落とし、サルラックが大きな口を開いた砂漠に開いたすり鉢状の穴のそばに横付けされた。

まもなく餌運搬船の側面からスルスルと板が伸ばされた。

そしてマルークは後ろから電撃槍に追い立てられて、その先に立たされた。

セールバージからは手下たちの喝さいが沸き起こり、その歓声にようやく目覚めたジャバはこの上ない一番の瞬間が訪れたのを知り、見物用の玉座にコンベアで移動した。

「マルーク、バン、ベーグーラ、ワーダラ・プアーク。ターナ・チャリアック・ド・シライン・ウム・ベラーラ。」

そう言ってジャバはクラトゥイーン・パディ・フロッグを一匹大きな口に放り込んで、うまそうにかみ砕いた。

「マルーク、バンお待ちかねの時が来たぞ。これから砂漠の地下で至福の時を過ごすがよい。」

ビブフォーチュナの通訳の言葉を合図にマルークに突き付けられた電撃槍の穂先に高電圧の火花が瞬いた。

マルークは手下に紛れて見つめる、グーとタラに密かに目配せした。







最終更新日  2022.04.24 14:57:48
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2021.11.11
通い慣れた道と言えど、ジョンピーとトットさんとデブリンバトたちを連れて、カナイドまで続く超ミニワームホールを案内するツノムクドリのビッキーポーは慎重に歩いていた。
1人でも迷子になれば、その不幸者は永遠に闇をさまようことになりかねないからだ。
しかし、道もそろそろ終わりに近づき遠くにブラックホールの出口が輝いて見え始めた。
光をも飲み込む無限の暗闇のブラックホールは内側から見ると逆に光り輝いているのだ。
ビッキーはトットさんたちにあともう少しだと伝えるために振り返ったとき奇妙なものを見つけた。
なんとデブリンバトの中に黄色いデブリンバトがいるのだ。しかも一羽多い。
彼は不思議に思い声を掛けた。
「君はどこから来たんだい?カナイドでも見かけない色だけど。」
だがそのデブリンバトは訳の分からない言葉でギーギーガーガー言うだけだった。
するとそばにいた別のデブリンバトがこう言った。
「こいつ今朝ビリノン星を出てきたんだと。」
「ビリノン星?」
ジョンピーが聞き返した。
「どこかで聞いた名前だなあ。」
「ところで君はなぜこの言葉がわかるんだい?」
ビッキーが聞くと驚くべき答えが帰ってきた。
なんとそのデブリンバトも5年前にビリノン星からやって来て、結構そういうデブリンバトも多いのだそうだ。
なぜそのことをカナイドに報告しないのかと聞くと、聞かないからだとデブリンバトらしい返事が返って来た。
カナイド1000年の歴史でも初めての発見だった。
その黄色いデブリンバトが言うにはビリノン星に案内するとのことだった。
案外トットさんが隠れるにはいい場所かもしれないし、興味もあり行ってみることになった。
トットさんはほとんどデブリンバトだし・・・・・
「何?俺が、なんだって?えつ?」
トットさんはいつものようにマスPにかみついた。






最終更新日  2021.11.11 00:00:19
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2019.11.17

アリアケ・コスモポリタン解放特殊部隊アリゲータは無事アジトに戻ることが出来た。

彼らはやがて起こる住民たちの変化を見届けるために、コスモポリタンに歩みだした。

重い食糧を足を引きずりながら、無表情に行進する列が延々と続く。

ところどころで体力を使い果たしてその場に倒れてしまう者もいる。

倒れた者は行列から排除され、まるでゴミのように引きずられて廃棄場に運ばれるのだ。

アリゲータのメンバーは悲し気な眼差しでそれを見つめるしかなかった。

 

ひとり、ひとり、またひとり。

動かなくなったゴミは次々と廃棄場に運ばれて行く。

そしてまたひとり。

 

と、その時倒れたアリを運び出そうとした兵士の動きが止まった。

その兵士は倒れたアリをじっと見つめて何かを考えているようだった。

やがて彼は倒れたアリに手を差し伸べて立たせると、長い夢から覚めたようにうつろな眼差しで辺りを見つめた。

気づくと行列は止まり、持っていた食糧を投げ出し、周りを見回し、互いを見つめ合っていた。

 

ついにマインドコントロールシステムが停止したのだ。

 

アリランは力強く進み出て、足場の上に立つと両手を広げ、拳を握り、大きく良く通る声で訴え始めた。

「みなさん、聞いてください。みなさんは今まで操られていたのです。中央制御センターに。でももうみなさんは自由です。みなさんの人生はみなさんの物です。でも最後に私たちに手を貸してください。犠牲になって行った人たちのためにも、中央制御センターを私たちの手で破壊しようではありませんか?これは私たちにとって小さな一歩です。でもアリにとっては大きな一歩です!

そこにいた働きアリも兵士たちも、激しい怒りと解放の情熱で中央制御センターへ向かう怒涛の波と変わった。

 

その頃、中央制御センター内部でも混乱が起きていた。

中央制御センターで働く職員もやはりマインドコントロールされていたのだ。

自分たちを取り戻したアリたちは一気に中枢へと進み、すべてを破壊した。

幸いなことに、バックアップシステムが起動される前だったため、再びマインドコントロールされることもなく、革命は見事成功を成し遂げた。

 

アリゲータのメンバーは川辺に並んで最初にトットさんが見た時と同じような夕焼けを見つめていた。

トットさんが最初に物質転送通信でアリの世界に運ばれて丸一週間が過ぎていたが、トットさんにとっては一か月にも感じられた。

 

「トットさん。私たちに協力してくれてありがとう。あなたの事は私たち決して忘れないわ。」

アリマッグローが魅力的な体をトットさんに寄せて熱いキスをしてくれた。

トットさんはこのまま太っちょアリのトットさんでもいいかなと、ふと思ってしまうのだった。

アリゲータの一人一人とあいさつを交わして、めまいのような瞬間を感じたあとトットさんは再び太っちょポッポに戻っていた。

ふと足元を見ると6匹のアリが手を振っていた。

トットさんもブヨブヨの体にちょこんと生えた翼を振って別れを惜しんだ。

 

トットさんは帰りの道すがら、世界にはまだまだ色々な場所があることを知り、そこで自分も何か役立てることを感じていた。







最終更新日  2019.11.20 23:11:07
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2019.11.04

モハメドアリとトットさんはアリギリス救出のために広大なセンターの中を、アリスの位置探知能力を中継して進んだ。

角を右に、階段を上り、更に右に折れ、ドアを開け、直進する。

何区画か過ぎるとようやくアリギリスたちと思われる人影が遥か彼方の廊下の先を左に曲がるのが見えた。

「アリス、ようやく追いついて来たようだ。彼らがセキュリティルームに到着するまでにどのくらいあるんだ?」

アリスからテレパシーが届いた。

「あと5分もあれば着いちゃうわ。」

モハメドアリはうなづくとアリギリスたちの所へ急いだ。

廊下を突き当りまで疾走し左に曲がると、更にその先の突き当りを左に曲がるところが見えた。

彼は猛然と進み左に曲がると、一団はすぐ前のドアの横にあるセキュリティボックスにIDカードを読ませているところだった。

5人のセキュリティの内、3人までがIDカードを読ませる必要があり、少々時間を要したのが幸いだった。

セキュリティルームに入られたら、いくら屈強なモハメドアリと言えどもとても勝ち目はない。

まずはトットさんがセキュリティの隊長と思われるアリに声を掛けた。

「あのー、そのー、すみませーん。」

隊長は手を止めトットさんに振り向いた。

「なんだ君は?やけにデブなアリだが。」

それを聞いてトットさんは怒鳴った。

「デブだと?おれは太っちょだ!」

隊長は首を傾け訊いた。

「どこが違うんだ?」

ウッ!と唸ったままトットさんは黙ってしまった。

連行されているアリギリスがチラッと隊長の背後に目をやった。

モハメドアリは静かに彼の後ろから近づき、素早い手刀で一瞬のうちに気絶させてしまった。

しかし、訓練された残りのセキュリティの動きも早く、モハメドアリを拘束するために彼を取り囲み、見事な連携で床にくみ伏そうとした。

モハメドアリは、当然次の事態は予測していたから巧みに交わし、更に二人のセキュリティを倒した。

残りは二人。

しかし一人に立ち向かおうとした途端、背後からもう一方のセキュリティに襲われ、一瞬の攻撃で床に倒され、素早く押さえつけられてしまった。

セキュリティの一人が手錠を出して、後ろに回したモハメドアリの両手首に掛けようとした。

 

が、その時・・・・・

 

なぜか二人はその場に倒れてしまった。

アリギリスもモハメドアリも一瞬わけが分からず見つめ合った。

その時、廊下の陰からアリランが顔をのぞかせた。

 

「間に合ってよかった。アリスから連絡があって駆け付けたの。」

彼女はそう言いながら、手にしていたカード型の装置をポケットにしまった。

彼女は厨房で食材の中に特殊な薬物を混入させる工作を行ったのだ。

この薬物は特殊な3種類の周波数の電波を同時に受けると体内で睡眠効果をもたらし、昏睡させるのだ。

モハメドアリは素早く立ち上がると、セキュリティから抜き取った解錠装置でアリギリスの手錠を外し、二人で傍にあった空き部屋に5人のセキュリティを閉じ込めた。

 

先程のアリランの装置のおかげで、彼らはこの部屋でスヤスヤと夜中まで眠り、夜が明ければ記憶を消された上で、一介の働きアリにされてしまう事だろう。

 

「二人とも済まない。長居は無用だ、倉庫へ急ごう。」

アリギリスは言い、3人は倉庫へと向かった。







最終更新日  2019.11.04 13:15:16
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2019.10.28

モハメドアリを隊長とするアリゲータのメンバーは最終合流地点へと進んでいた。

そこで脱出するための工作をするのだ。

入って来たときと同様、偽装したIDカードで抜け出せばよいのだが、厳重なセキュリティを張り巡らしたこの中央制御センター(CCC)には一度入ると1週間は出ることを禁止されている。

その間、そのIDを持つ職員は常に行動を記録され、記録は定期的にチェックされる。

もしそのチェックで不審な点が見つかればすぐに連行され、厳しい尋問を受けることになる。

だから一旦侵入すれば長居はできず、すぐに工作を行ってCCCから脱出するしかないのだ。

彼らは目的の資材搬入倉庫にたどり着いた。

ここはマインドコントロールされた働きアリが集めた食料を運び込む搬入口がある倉庫だった。

「さてとこれからは私の出番だ。」

科学者のアリストテレスが進み出た。

彼は搬入口の傍にあるセキュリティボックスに近づくと、何やら装置を取り出し接続すると機械同士が通信で行う会話をモニターし始めた。

「30分ほどで解析が終わり、ニセの解錠パスワードを生成できるだろう。」

アリストテレスの言葉を聞き、モハメドアリはうなずいた。

その時アリスがウッと小さくうめいた。

彼女に目を向けると、彼女は大きく目を見開き硬直したように立ち尽くしていた。

「どうしたんだ?」

太っちょアリのトットさんは尋ねた。

だが彼女はしばらく立ち尽くしたままだった。

やがて大きく荒い息をしながら我に返り不思議の力のアリスはこう言った。

「今アリギリスさんからのメッセージを感じたの。彼、マインド・コントロール・システム(MCS)にウィルスを仕込むことには成功したのだけれど、行動履歴チェックで引っ掛かりセキュリティに連行されているところらしいの。」

全員の顔が青ざめた。

モハメドアリの決断は早かった。

「アリス、君はここでアリストテレスを手伝い、何かあれば俺たちに知らせ、彼を守るんだ。」

「俺たちに知らせるってどうやって?」

トットさんが言うとアリスは人差し指をトットさんの額に押し当て目をつむった。

するとトットさんの頭の中にアリスの声が響き渡った。

「トットさん何か言葉を心の中で呟いてみて。」

アリスの声にトットさんは答えた。

「本日は晴天なり。本日は晴天なり。」

「いいわ。ちゃんと聞こえるけど、それって何の意味?」

トットさんはもうちょっと気の利いた答えはなかったのか後悔した。

 

「よしっ、俺とトットさんはアリギリスを救出に出かける。アリス彼を頼むぞ。」

そう言うと二人は急いで倉庫を後にした。







最終更新日  2019.10.28 23:59:26
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2019.10.16

アリ世界の超ハイテク都市アリアケ・コスモポリタンの住民解放を目指す特殊部隊アリゲータのメンバーになってしまったトットさんは、さっそく任務の説明を受けた。

メンバーはリーダーのアリギリス、副官の拳闘家モハメドアリ、女優アリマッグロー、不思議な力のアリス、科学者のアリストテレス、食事を担当するアリランに太っちょアリのトットさんを加えた7人のアリ侍だ。

 

アリゲータの最初の目標はアリアケ・コスモポリタンの住民をマインドコントロールしているMCS(Mind Control System)を破壊することだ。

そうすれば、その中からこの運動に参加してくれる者が必ず現れるはずだからである。

住民の反乱を抑えるために最重要となるMCSは厳重な監視下のもとアリアケ・コスモポリタンの中枢部に設置されていた。

 

かつて諜報機関で情報操作を担当したことのあるアリギリスは、メンバー全員のアカウントIDを偽造し、中位のセキュリティ権限を認証させることに成功した。

 

まずはアリランが体調を壊したコックの代わりに給食厨房に潜入することに成功した。

大量の下剤を呑まされたコックには気の毒だが。

 

アリランを除く6人はMCSが設置されている中央制御センター(Central Control Center(CCC))に向かっていた。

5つの顔認証と2つの声紋認証を抜けた。

ここまではアリギリスのセキュリティ権限偽装は完ぺきだった。

あとは最後の難関である記憶認証である。

これはこのセンターに配属された際にスキャンされた過去に関するあらゆる個人しか知らない記憶について、コンピュータからの10の質問に答える必要がある。

記憶と言っても深層心理に埋没した、本人さえ認識しない記憶も含まれているし、いくら高度な知性を持つ中央制御センターの職員といえども、自分の記憶をすべて完璧に維持しているとは限らない。

したがって8問以上正解しなければ認証されないことになっていた。

もしこれをパスできなければたちまちセキュリティガードに取り囲まれる羽目になる。

一度パスしたアリが次回もパスできるという確証はなく、常に同じ任務をこなすために10人のアリが記憶認証に挑み、それをパスした2、3人のアリのみが中で任務を果たすことが出来るという極めて厳しい認証システムだった。

3回連続でパスできなかった職員は記憶を消され一介の働きアリにされてしまうのだ。

ここからはアリギリスが単独で乗り込む手はずになっていた。

そのための記憶スキャンデータも密かに記憶認証システムに送り込まれている。

 

「記憶認証質問8、あなたの母親が亡くなったのは何歳の時でしたか?」

記憶認証システムからの冷淡な声がアリギリスの耳に響いた。

「母はまだ健在です。」

「正解。現在、正解数6、誤答数2、必要正解数8。あと2問です。」

システムは時々記憶をわざと事実をすり替えて質問するのだ。

あと2問。もう絶対に間違えることは許されない。

「記憶認証質問9、・・・・・・・」

 

「誰か来る。」

その時、空き部屋に潜んだ残り5人のメンバーで察知能力をもつアリスがささやいた。

副官のモハメドアリが前に出ると言った。

「アリマッグロー。もし誰かがここに入ってきたらうまくごまかしてくれ。演技はお得意だろ?」

女優のアリマッグローは魅力的な唇を少し持ち上げて自信ありげに微笑んだ。

 

ガチャン

大きな皿が派手な音を立てて厨房室の床に飛び散った。

「おい、そこのコック。何をぼんやり歩いていたんだ。見かけない顔だが身分カードを見せろ。」

第3料理長のアリがアリランに向かって怒鳴った。







最終更新日  2019.10.17 18:12:00
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2019.10.11

「最初にここに来たのは私なの。」

トットさんに促されアリランは説明を始めた。

アリランが日本にやって来たのは世界でブームとなっている日本食を研究するためだった。渡り鳥さんの翼にしがみつき、命がけでここテニス競技場で有名な有明コロシアムの傍の小川にたどり着いた。

有明は東京都江東区有明にあるのだが、人間をはるかに超えるアリ世界に誇る科学技術で有名な一大拠点だ。

 

彼女はここにきて最初は順調に日本食の研究を始めたが、次第に何か違和感を感じるようになっていった。

ここに住むアリたちに笑顔がないのだ。

みんな無表情で、一日を昨日の続きの今日をただ明日のためにと生きているという感じなのだ。

やがて彼女は理解した。

この町はアリババと呼ばれる女王アリが支配しており、すべては彼女のために育てられ、生産され、消費されているのだ。

個人の自由は認められていない。

人々も自由など求めない。

なぜなら彼らは全員マインドコントロールされているからだ。

そこでアリランは全世界に向けて現状を訴え、住民の開放に手を貸してくれるように呼び掛けた結果、こうして6人のアリが集結したというわけだ。

そして7人目のアリとしてトットさんが選ばれたのだ。

偶然とはいえ。

 

これを聞きトットさんは不安に駆られた。

果たして自分に彼らの手助けができるのだろうかと。

足手まといになるくらいなら今のうちに断った方が良いに決まっている。

「俺にあんたらの手伝いなんて出来るのか?」

不安そうにトットさんが言うとアリストテレスが意外なことを言った。

「きっとできるとわしは思っとる。わしはずっとあんたとマスPと霊納ペンダントの魔法使いジーミーとの霊魂シャッフル・バトルを遠隔視野転送(Remote Visual Translation(RVT))で観察して来たのじゃよ。」

 

「遠隔視野転送(Remote Visual Translation(RVT))?マスPお前なあ、訳のわからん装置をでっち上げ、3文字アルファベットをつければいいってもんじゃねえぞ。」

トットさんが言うとマスPはしぶしぶ答えた。

「3文字アルファベットを使うといかにもSFっぽいでしょ?科学に弱いのでそんな手でも使わないとSF小説が書けないのです。」

「すると何か?俺は今度、世界が震撼した興行収入5億2000万ドル全米№1SFアドベンチャー超大作の主人公にされたって訳か?他人を好き勝手に弄ぶんじゃねえ。そもそも遠隔視野転送ってなんだ?」

トットさんのあまりにもオーバーな言い方にあきれながらマスPは言った。

「それは私にもわかりませんよ。アリストテレスさんに尋ねてみてください。」

 

それを聞いていたアリストテレスさんは説明した。

「遠隔視野転送とはなあ、人間の世界では未だにテレビカメラで捉えた映像を電子信号に変換して、データ通信網を通じて視聴者のテレビジョンで再生することしかできない様じゃが、アリの世界では被写体の傍に量子雲を形成し、視野、音感そのものを量子に投影し視聴者側の量子もつれ変換(Quantum Entanglement Conversion(QEC))システムで再生しているのじゃ。だからどんなに離れた場所でも、どんなに危険な場所でも、その場に行かずに映像化して光速をも超える時差のない映像と音声を提供できる技術じゃよ。」

マスPはアリストテレスさんの訳の分からない説明に混乱しながらどうにかこう言った。

「量子?もつれ?何ですかそれ。」

科学が全然ダメなマスPが聞くとアリストテレスが説明してくれた。

「量子もつれとはある粒子がふたつに分かれ『状態の重なり』という状態になったとき、距離、時間に関係なく、たとえばそれぞれを銀河の端と端に置いたとしても、一方に生じた向きに対してもう一方の向きは逆、一方がプラスなら他方はマイナスとなる現象を言うのじゃよ。」

それでも理解できないマスPはあきらめて、

「なんだかよくわかりませんけど、アリさんの世界はヒトさんの世界が及びもしない超ハイテク世界なのは分かりました。で、トットさんのどこが気に入ったというのですか?」

と尋ねた。

 

それにはアメリカから来た拳闘家のモハメドアリが答えた。

「どんな状況になっても動ずることなく、したたかに生き抜くガッツが気に入ったぜ。俺がみんなに推薦したんだ。面子をつぶしたら俺の蝶のように舞い、蜂のように刺す左ジャブでお前をぶちのめしてやる。」







最終更新日  2019.10.11 12:22:30
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