2005/11/14(月)23:29
レイモンドチャンドラー「長いお別れ」
先日も記しましたが、私の読書遍歴は昨年の秋から始まりました。
もっとも、10年ほど前にも小説を読んでいなかったわけではありませんが…
あのころ好んで読んでいたのは宗田理の「僕らの七日間戦争」をはじめとする「僕らシリーズ」でしたけど…
(最近「新・僕らシリーズ」なるものが書店に並んでいますね。)
話を戻します。
昨年の秋…読書の秋にあやかって手にした本が「長いお別れ」でした。
作中の「ギムレットには早すぎる」の台詞があまりに有名で、どんな物語なのかと気になっていました。
未読の期間にいろんな想像をしつつ…いざ読んでみると…
横文字の登場人物の多さになかなかついていけません…(泣)
作中ではこの「ギムレット」というカクテルが重要なキーワードになるわけですが…
ここでテリーレノックスの講釈があるのです。
「ギムレットのレシピはローズ社のコーディアルライムジュースとジンを半分ずつシェークする」
のがテリー流レシピだとか…
現在ではローズ社のライムジュースは手に入りにくく、バーでもライムはコーディアルよりフレッシュが好まれる傾向にあるようですね。
で、1:1で作ったカクテル「ギムレット」は…おそらくとてつもなく甘いカクテルになると想像できます。
「ギムレットには早すぎる」ならぬ、「ギムレットには甘すぎる」
と、いうジョークが流行ったとか、流行らなかったとか…
先にコーディアルライムジュースよりフレッシュライムが好まれると書きましたが、ギムレットには多少の甘味が必要であるらしく、フレッシュライムを使用する場合、砂糖(シュガーシロップ)を少量加えるのが主流みたいですね。
実際砂糖を使わず、フレッシュライムをジンをレシピ通りにシェークするだけのギムレットは基本的においしくないです(笑)
で、「長いお別れ」の話なんですけど…
チャンドラー小説にシリーズで登場する探偵「フィリップ・マーロウ」が主人公で、たまたま見かけた酔っ払いテリー・レノックスを助けるところから始まります。
テリーの奥方が何者かに殺され、テリーはメキシコへ逃げる…
テリーに殺人の容疑がかけられるが、マーロウは友達になったテリーを信じ、逃がす手助けをします。
そしてテリーの自殺の知らせを聞いたマーロウはそれでもなお、テリーの身の潔白を証明しようと奮闘する…といった内容だったかな…
そして物語が進み…
マーロウが名台詞「ギムレットには早すぎるね」を口にした瞬間…
物語の謎が解ける…をいうわけです。
チャンドラー作品のなかでも一番の傑作といわれたこの作品は私にとって文句なく、「一番好きなミステリー」にあげられます。
ミステリーとしてのそれもすばらしいのですが…
マーロウとテリーの友情…ハードボイルドの巨匠とでもいいましょうか、素敵です。
あと、このミステリーの中に「ギムレット」を用いたセンスにも脱帽ですね。
これはマティーニやサイドカーでは絵にならないことでしょう。
もともと好んで飲んでいましたが、これを読んだことによって「ギムレット」は好きなカクテルの1つになりました。
もちろん好みのレシピはジンとコーディアルライムです。
ただし、1:1では作りませんが…