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石川県 旅館 ホテル 心に残る旅の宿

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yosshi1019

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2010.07.01
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お宿奇談 13 石を抱く女(2) 2011年10月20日更新

 部屋に帰って私は山下さんに今回疑問に思ったことを質問した。(1)あの女の人は地獄のようなところにいるが、今地獄に落ちているならなぜあんなところにいるのか。そもそも地獄とはどんなところにあるのか。(2)何度も供養をしたと言うが、なぜあの幽霊は去らないのか。(3)私たちは死んだらどうなるのか。
 それぞれに古今の賢人が長い間かかって解明を続ける難問である。私はいじわるをしたつもりはない。私が生涯常に疑問に思っていたことである。たとえ山下さんが答えられなくても、山下さんへの尊敬の気持ちは全く変わらない。
 
 ところが山下さんにかかると、いとも簡単に答えてくれるのだ。
「地獄と言うところは有りません。少なくともどこか固定した場所に有って、悪いことをしたらそこへ落ちると言うのは間違いです。地獄と言うのは、人や、その他エネルギー体の思いの姿の一つなんです。人は高度なエネルギー体の一つですから、体を脱ぎ捨てても強い思いのエネルギーは残ります。エネルギーの法則に反した思いを持てば、その方の良心が自分を責めさいなみます。自分のエネルギーで魔の思いを呼び寄せ、堂々巡りをして自分で自分を苦しめているのです。肉体を持っている時は、良き方のアドバイスも聞けますし、ある程度思いに歯止めがかかり恐ろしい地獄の様相になることはまれです。しかし、肉体を捨て自由な思いになると苦しみは顕著になります。顔や姿を変え、そこに他の似たような思いの霊を呼び寄せ、さらに悲惨な悲しみ、苦しみが襲うことになります。
 
 さて二番目のご質問ですが、供養とは、その方を偲んで愛念を送り、その方の今後の幸せを祈ってあげることです。お坊さんをたくさん呼んで、これだけ盛大にしたと言っても、愛念がなければ効果は有りません。お経をいかにたくさんあげようと、お経は霊にとって意味が分からないただの呪文、それだけでは救いにならないのです。たとえば、生きて悩んでいる方にお経を聞かせても全く悩みが取れないのと同じです。もちろん、そこに愛念が有れば霊は喜びます。お経の力ではなく、供養してあげようというその心だけ見るのです。ですから、時々思い出して手を合わせてあげる、それだけで充分よい供養になります。
 
 最後に死んだらどうなるかと言うことですが、これは一言では難しいですね。人の体も、この世の物質の全ては、同じエネルギーでできております。分子、原子の世界まで見ると電子、中性子、陽子など、これらはじつは空中を飛び交う電波のように実体がないエネルギーです。私たちは普段そんなことは実感しませんけれど、私たちの体は実体の無いものでできているのです。そうしてやがてそんな物質世界の殻のようなものを出た時、もっと精妙な幽体という体を持ちます。これも物質同様実体が無いものですが、触ると物質世界同様、手も足も頭も全て存在の実感ができます。私たちはしばらくこの幽体で生活して、その中で幽体も実体が無いと気付いた人たちは、やがて幽体をも脱ぎ捨て、宇宙のエネルギーと同調できるような、本当の実体、意識だけの体を持つことになります。そこには素晴らしい世界もあるようです。この世で立派に生き抜いて、他者への愛念にあふれた人々の意識が寄り集まり、光り輝く集団となっています。それぞれの集団には選ばれたリーダーがいるのですが、面白いことに、そこのリーダーを選ぶのは、この世と全く反対だそうです。この世では立候補して、たくさんの票を集めた方が当選する仕組みです。たいていは、いかに出生がいいか、お金を持っているか、映像の見栄えがいいか、社会に流行る言葉を見つけるか、名前が広く知られるか、によって選ばれます。心の品格はほとんど考慮されません。しかし、その世界ではいつの間にか尊敬を集めて持ち上がってゆくのです。その基準は心の品格です。その方の思いの姿を見れば即座に判断できるのです。私たちの世界もこうで有ったらと願わずにいられませんね。」
 
 私はすっかり感心してしまい、こうして山下さんに出会えた幸運を感謝した。そして、この世での私の生き方を考え直さずにいられないと思うのだった。

「さて、あの女の方のことですが、彼女の最も気にかかることはやはりわが子です。確か太一と呼んでいました。その子を見てみたところ、正しい心で介護され立派な青年の姿でおります。歳が合わないですが、霊は、その意識の最も充実した姿を現すものですから。そして何度も母親の元を訪ねてきているんですよ。しかし長い間、女の方は石をわが子と思い込んでいるので、わが子の話しかけも全く分からないのです。もはやだれの言葉も受け入れません。彼女の意識が全て不気味な物音ぐらいに捕らえてしまうのです。さてどうしたらいいものでしょうかね。とにかく明日太一君の霊を呼んで滝へ行ってみましょう。」
 時計を見るともう夜中12時過ぎ。私たちは明日に備えて眠ることにした。

 電気を消してしばらく経った頃だった。私はベッドの脇に何か違和感を感じて目を開けた。
 何とそこに髪の長い女が黙って座っている。髪も着物もびっしょり濡れている。私は息を呑み、即座に山下さんの方を見ると、山下さんも奥さんも起き上がっていた。
「いま太一君を呼んであげますよ。」
 山下さんはやさしくそう言い、ベッドの上に正座して静かに目を閉じた。
 すると女の前に小さい赤ん坊が現れた。赤ん坊はにこやかに座ったり彼女の膝に手をかけたりしている。それにしても美しい赤ん坊だ。幸せいっぱいに育てられたのだろう。体全体がほのかに輝いているようだ。しかし、それでも女の目は赤ん坊を見ていない。黙って目を下ろし、大事そうに抱えた石を見つめている。
 
 やがて赤ん坊は女の膝に手をかけ膝を這い上がり、石に手をかける。その時だ。山下さんは大声を上げた。
「たいち!」
 それと同時に女の顔がやや持ち上がった。そしてゆっくりとゆっくりとこちらを向くのだ。
「た・・・い・・・ち・・・」
 かわいそうに女の顔は、どす黒くやせこけ、半ば狂ったような目付きをしている。
「た・・・い・・・ち・・・」
 赤ん坊が膝に立ち、女の首に顔を埋めた時だった。女は顔を戻しその子を見つめた。
「た・・・い・・・ち・・・」
 女は目を見張り赤ん坊を認めると、抱えていた石をずるりと脇におろした。
「たいち・・・たいち・・・お母さんが悪かった。苦しかったろう。どうか許しておくれ。ああ、たいち・・・」
 女は思いっきりわが子を抱きしめていた。
 
 不思議なことに、女の涙とともに女の顔つきが少しずつ変わってゆくのだ。あれだけ貧相で怖い目付きをしていたのに、もう普通のお母さんが赤ん坊を抱く姿に似ている。そうしてしばらくして二人とも次第に薄くなり、どこかへ消えていってしまった。

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Last updated  2011.10.20 12:34:28
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相互リンク   くーる31 さん
突然のメール、失礼いたします。
私はこちら⇒ http://tumito.com/
で無料オンラインゲームサイトをやっているfarrといいます。
色々なサイトをみて勉強させていただいています。
もしよろしかったら相互リンクをお願いできないでしょうか?
「やってもいいよ」という方はメールを送ってくだされば、
私もリンクさせていただきます。
よろしくお願いします^^ (2010.07.01 18:02:59)

Re:相互リンク(07/01)   yosshi1019 さん
farr様 ご訪問有難うございます。相互リンク了解です。とても光栄ですよ。またよろしくお願いします。 (2010.07.01 18:15:00)


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