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カテゴリ:石川県の民話 伝説
石川県の昔話17 欲ばり婆さ 2011年10月18日更新
[欲ばり婆さ] [参考:能登の民話伝説 珠洲市の昔話より ] むかしむかし、旧上戸(うえど)村(現 珠洲市上戸町)に、ひどくケチで強欲な婆さんがいました。若夫婦が買ったお米や野菜を少しずつちょろまかして店に売りに行き、そうして手にしたお金をこっそり隠して貯めていました。 婆さんのお金の隠し場所は自分の絹布団の中。一文一文糸でしっかり縫いつけていました。夜、布団に入った時、一枚ずつお金のありかを指で確かめ、全て数え終わってから、安心して眠りに入ってゆくのが日課でした。 しかし、寄る年波にはどうしても勝てないもの。ある朝、おばあさんが起きてこないので若夫婦が見に行くと、婆さんは布団の中で冷たくなっていたのです。 婆さんの葬式を済ませたあと、若夫婦は婆さんの持ち物をどうしようか話し合い、村の店屋を呼んで、着物や布団、家財道具、一切合切を、大して調べもせず売り払ってしまいました。もちろん婆さんが布団の中にお金を貯めていることなどちっとも知りませんでした。 村の古着屋の主人、今しがた買った婆さんの絹布団が重過ぎるので不審に思い調べていると、なんと布団の中に銭がびっしり。驚いて数えてみれば十貫文(1貫は約3.75kgのお金)以上はあるだろう。その上、絹布団はなかなか上等のようだ。仕立て直し次第では、まだ着物の上着ぐらいに使えるはずだ。主人は大喜びでお金を金庫にしまい、早速絹布団をばらして上着を一着仕立て上げました。 さて出来上がった上着はなかなか着心地がいい。主人は気に入り、その日は上着を着て床に入りました。ところが、うとうとし始めたころ、部屋の鴨居に何か妙な気配があるのに気がつきました。不審に思って見上げていると、見覚えの有るあの婆さんの顔がうっすり浮かび、やがて、でかいしわくちゃの顔が主人の目の前に降りてきて、 「ぬくいかのお・・・ぬくいかのお・・・」 と恨めしげに主人の顔を覗き込むのです。主人はびっくりしてはね起きてその顔をはたこうとしますが、いっこうに手応えがありません。そのうちに恨めしそうな顔は、いかにも惜しそうな表情をしてゆっくりと消えてゆく。こんなことはそれから毎晩続いたと言います。古着屋の主人は、仕方なくその上着と銭を袋へ入れて、家からできるだけ離れた川ふちに捨ててしまいました。 ところが数日後の夜中、二軒隣の大工の弥八(やはち)の家から「うわあー」と騒ぎがあったので主人が外に出てみると、例の袋を背にした弥八があわててかけてゆきます。どうも弥八があの袋を拾ったようです。その後、婆さんが夜中に出てくるといううわさは川ぞいの村で次々と持ち上がりました。数年後には土地の者は知らないものが無いほどになり、古着屋の主人が生きている間中続いたそうです。それ以後のことは分かりませんが、現在ではさすがに上着も銭もとっくに土に戻っているでしょう。あのお婆さん、一体、今はどうしているのでしょうか。(文責:津幡町 吉田恵一) [石川県昔話 目次] 矢印のあとをコピーし、検索窓に貼りつけてご覧ください。 (グーグルマップ)→ 石川県珠洲市 上戸町北方 □□珠洲市上戸町宿泊施設□□ 珠洲市街地、珠洲市役所があるあたりです。→[珠洲市] ☆☆☆ 石川県 旅館 ホテルご紹介☆☆☆ [金沢駅前] [金沢繁華街・中心街・郊外] [河北郡] [七尾市] [鳳珠郡能登町] [能登町 農家民宿] [珠洲市] [輪島市 (1) (2)] [羽咋郡] [羽咋市] [白山市] [小松市] [加賀市] どうぞ きまっし石川→ホームへ戻る お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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