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石川県 旅館 ホテル 心に残る旅の宿

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yosshi1019

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2011.11.15
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おはなし小箱4 天国と地獄

[天国と地獄]

暗い暗い地獄では、相変わらずたくさんの亡者が鬼に追い立てられていました。鬼は逃げ遅れた亡者をこう叫んでムチで打ちたたくのです。
「そうれ、走れ走れ。お前たちは永遠に助からない。どこまで行っても暗い闇。誰一人助けになんか来るものか。」
「苦しめ、苦しめ。自業自得だ。お前たちにもう未来は無い。夢も希望も自分で捨ててしまった。」
亡者どもは必死。疲れて倒れようものなら、鬼どもにさんざん踏んづけられて煮えたぎるお湯の中に放り込まれてしまうのです。

その亡者の一人にブンゾウという男がいました。生きている時はたくさんの手下を持つ泥棒の親方でした。もう長い間地獄を逃げ回っているうち、ほとほと疲れ果て何とか地獄を逃げ出せないかと考えていました。しかし一匹のでかい鬼がどうしてもスキを見せません。そいつはギラギラした目付きでブンゾウばかり狙って責めまくるのです。そいつのムチは、ほかの鬼のムチより数倍痛くて体の芯までひびきます。

ある日のこと、岩山の脇を逃げ回っていたブンゾウは、洞窟を見つけて飛び込みました。気付いた例のでかい鬼がドシドシとあとを追ってきます。
「おい、待て、ブンゾウ! 地獄から簡単に逃げ出せると思っているのか。おのれ見ておれ、ひねりつぶしてやる。」
ビシリ、ビシリと鬼の長いムチが体に食い込みます。ブンゾウは痛さで叫びながら走り続けました。

やがて鬼の足音が聞こえなくなった頃、深い裂け目の有る岩肌へやって来ました。道は裂け目にそって次第に細くなっていきます。そこをしばらく歩いているうち、とうとう道の広さは片足一つ、のせられるほどになってきました。このままでは道は無くなってしまいます。道の脇は底が見えない裂け目。そこへ落ちたらもっと恐ろしいことが待っているに違いありません。かといってあの鬼どものところへ帰るわけにはいきません。ブンゾウは岩肌に張り付き、一休みして思いました。
『ああ、おれは馬鹿だった。もっと真っ当に生きておれば良かった。たかが数十年の盗みのために、こんな所で何百年も苦しむとはな。』

とその時、一人の白髪の老人が前方から歩いてくるのが見えました。不思議なことに、道がほとんど無いのに、さも道が有るようにゆうゆうと歩いてくるのです。その老人は、ブンゾウの前まで来るとこう言いました。
「ブンゾウ、やっとお前の馬鹿さ加減が分かったかい。たったそんなことを思うまで何百年かかっておるんじゃ。よし、お前が望むなら、鬼のいないところへ連れていってやろう。ただな、お前の今の気持ちが本当のものだったら着けるが、途中少しでも威張る気持ちを起こしたら道が無くなってしまうからそう思え。」
ブンゾウは生きている時、手下に威張ってばかりいましたから、それは結構大変なことでした。でも、ブンゾウはここからどうしても助かりたかった。そこで、その老人に手を合わせ、感謝の気持ちを思いながら少しも威張る気持ちを出さないように注意しました。

そうして岩肌を抜け、再び洞窟へ入り、出てきた場所はだだっ広い平原でした。人っ子一人見えませんでしたが、前の地獄よりよほど明るく見えました。その老人は大きい石の近くへ歩み寄り、
「お前はここへ座って、今まで盗んだ物と、盗まれて悲しんだ人々を思い出し、その人々へ謝らねばならぬ。それが終わったらまた迎えに来よう。」
そう言って去って行きました。

その日からブンゾウの心の痛みが始まりました。有り金残らず盗られて泣き出す親子、責任をとり自害した男、そんな今まで苦しめられた人々が次々と前に現れ、憎しみの目付きでブンゾウをののしります。ブンゾウは思わず叫び出すほどでした。そんな状態が数十年も続きました。そうしてやがてそんな人達の怒りも静まった頃、またあの老人が現れたのです。

「なかなかうまくやっているようだな。よし、今度は一つ上の世界へ連れていってやろう。」
老人はそう言って再び洞窟へ入って行きました。次の世界には人がいて建物が有りました。どれもこれも薄汚いものでしたが、下の世界よりやや明るさが有りました。どうもこの世界は「嘘つき世界」のようです。住んでいる人は嘘つきばかり。嘘をついて他人が困るのが面白いのです。なんともつまらない世界でしたが、ブンゾウには人に会えるだけでうれしいと思いました。そこで嘘をつかない修行を数十年続け、再び上の世界へ上がりました。

このようにして「高慢ちきな世界」「口が悪い世界」「下品な世界」「やる気のない世界」とそれぞれ長い間を過ごし、やっと最初の天国と呼ばれる世界へ至りました。そこは「普通の世界」です。ときどき悪いことも考えるけれど自制心があり、困った人がいると助けたりもします。しかし、ブンゾウには目もくらむような明るい世界に感じました。空には太陽が輝き、透き通る青空も有ります。ブンゾウはその美しさに心を踊らせながらキョロキョロしていると、向こうの方から美しく光るでかい人が歩いてくるのが見えました。その男はブンゾウの前でほほえんで言いました。
「ブンゾウ、よく頑張ったな。わしはうれしいぞ。」
「あっ、あなたは! 」
ブンゾウはおどろいた。なんと、あの地獄のでかい鬼ではないか。今はツノはなく、目元やさしく、体は光り輝いているが。
「そうだ。わしはお前をつねに見ていた者だ。お前が道を誤ってしまったのでひどく悲しかった。だが、お前はよく反省してやっとここへ帰ってきてくれた。地獄へまで落ちた経験はきっと人の役に立つことだろう。ブンゾウ、まだまだ道を誤って苦しむ者がたくさんおる。お前も、もっと修行を重ねてその者たちを救ってやってくれないか。お前も今は分かったように、あの者たちの誰も無用なものはいないのだ。」
ブンゾウはワッと泣き出してしまいました。

(文責:津幡町 吉田恵一)

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Last updated  2014.05.10 00:40:11
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