石川県の昔話55 山姥と三人の女の子 中能登町川田
石川県の昔話 山姥と三人の女の子[山姥と三人の女の子][参考:中能登町の民話伝説より]方言や表現を分かりやすいように改変創作してあります。[百怪図巻より 山姥]むかしむかし、あるところに三人の幼い女の子が住んでいました。お父さんもお母さんも亡くなり、両親が残してくれた田畑を村人に貸して生活していました。ある日、一人の婆さんが訪ねてきてこう言いました。「お前さんたちゃ、小さい子ばかりで不自由やろ。何でもしてやっさかい、しばらく泊めてくれんかの。」見ると優しそうな婆さんです。女の子たちは喜んで家に入ってもらいました。いろいろな話もしてくれるし、料理もうまいし、一番下の子はすぐに打ち解けてしまいました。でも、一番上の姉はなかなか慣れませんでした。婆さんに何か嫌な雰囲気を感じていたのです。そのうち一番下の妹が、婆さんと一緒に寝たいと言い出し、その夜は婆さんと寝ることにしました。姉は胸騒ぎがして、二番目の妹と一緒に、ふすまの穴から息をひそめて婆さんの部屋を覗いていました。すると夜中の1時頃、婆さんがむっくりと起き上がり、眠る妹の顔をじっと見つめます。やがて気持ちの悪い顔でニヤリと笑い、ふところからでっかい包丁を取り出し、赤くて長い舌でべろりとなめるのです。その包丁を妹の上にふりかざそうとした時、姉はガラリとふすまを開けました。「婆さん、その包丁は何?」婆さん、あわてて元の表情にもどり、「あ、うっ、こ、これはじゃな、わしのお守りじゃ。寝る時はいつもこうしてお祈りをしてから眠るんじゃ。」「うわあ、素敵。それならさぞ立派な包丁ね。私も見てみたい。」「あ、いいぞ。なんぼでも見せてやる。」姉は婆さんから包丁を受け取ると、枕を婆さんにポーンと投げつけ、「婆さんの嘘つき!」そう怒鳴り妹の手を引っ張って外へ飛び出して行きました。「こりゃ、待て、待たんか。」婆さんは急いで三人を追ってきます。三人は庭のトチノキの大木にスルスルと上がりました。「おい、わしが何をしたと言うんじゃ。」「じゃ、そのよだれを垂らした長い舌は何よ。」「うん?」婆さんは長い舌をジュルジュルしまって、「ふん、可愛げのない奴らじゃのう。こりゃ、少ししつけが必要じゃわい。今に見ておれ。」婆さんもその木に上がろうとしました。ところが姉は上から包丁を振り回します。危なかしくてとても上がれません。次に婆さんは長い竹ざおを持ってきて三人を振り落とそうとしました。姉がその竹を包丁でスパスパ切ってしまいます。婆さんは小石を拾って投げつけました。三人はトチの実をもいでいっせいに投げつけます。「いてててっ。」婆さんは弱ってしまい、今度は猫なで声を出して言いました。「これこれ、こんな年寄りにそんな乱暴してはならん。どうやったら降りてきてくれるんじゃ。今まで以上に何でもしてやるから降りておいで。うまいもんをいっぱい作ってやるぞ。」「ほんとに何でもしてくれる?」「おうおう、何がして欲しい。」「じゃ、二つだけ言うことを聞いてね。このトチの実をゆでておきたいから、大鍋にお湯をグツグツ沸かして縄でここまで上げてくれる?」「そうしたら降りてくるのか。」「ええ、婆さんにあとでおいしいトチの実食べさせてあげるわ。」「ふんふん、それはうまそうじゃの。」婆さんは鍋にお湯を沸かして木の上へ上げてやりました。「さあさあ約束じゃ、降りておいで。」「あと一つ、まだ言うことを聞いてもらってないわ。」「なんじゃ、それは。」「婆さんの正体を知りたいの。」「正体ってお前、そんなもん見せたら、なお降りてこないじゃろ。」「ううん、約束は約束。正体見せないと絶対おりない。」「ちっ、仕方がないガキどもじゃわい。」婆さんはとつぜん見たこともないけものに変わり、ギャーギャーと木の下で吠えまくります。姉は、「はい、はい、見せてもらった。今すぐ降りるね。」そう言って熱いお湯をけものの上にドシャと降ろしました。(文責:津幡町 吉田恵一)[石川県昔話 目次]中能登町川田の地図をご紹介します。矢印のあとをコピーし、検索窓に貼り付けてそのトップをご覧ください。(グーグルマップ)→ 中能登町川田□□中能登町川田周辺宿泊施設□□中能登町の宿は全て楽天と契約がありません。ご希望の方は電話にてお確かめください。民宿びっくり-------6km 0767-76-0576 詳細不明 カンガルーホテル---6km 03-3872-8573 本社東京☆☆☆ 石川県 旅館 ホテルご紹介☆☆☆[金沢駅前] [金沢繁華街・中心街・郊外] [河北郡] [七尾市] [鳳珠郡能登町] [能登町 農家民宿] [珠洲市] [輪島市 (1) (2)] [羽咋郡] [羽咋市] [白山市] [小松市] [加賀市]どうぞ きまっし石川→ホームへ戻る