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碁会所日報

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創作ドラマ 「幹事 武宮陽光」

幹事武宮陽光

(とある中華料理店で棋士が集まっている。)

石田九段:いやぁ今日はすまんね陽光くん。いつもはお父さんに幹事をお願いしているんだが、あいにくタンゴの競技会だということなので。
武宮陽光:こちらこそ不馴れなものでご満足いただけるかどうかわかりませんが、精一杯やらせていただきますのでよろしくお願いいたします。
石田九段:じゃあほとんどみなさんお揃いのようだし、始めようか。

武宮陽光:皆様、本日はお集りいただきましてありがとうございます。このお店はフリードリンクとなっておりますので、心ゆくまでお飲み下さい。最初の注文だけまとめたいと思いますので、挙手をお願いいたします。まずビール中ジョッキの方。

(パラパラと挙手)
武宮陽光:えーと、1、2、3・・・

(一堂に緊張感が走る。)
武宮陽光:6、7・・・

(趙治勲NHK杯、頭をかきむしり始める。)
武宮陽光:8、9。9人ですね。
(一堂、胸をなで下ろす。)

武宮陽光:では紹興酒の方・・・
(以後このようなやりとりが数回か続く)

武宮陽光:では中ジョッキ9つ、紹興酒3つ、グラスは7つで、日本酒4つ、こちらはコップ2つでいいそうです。焼酎のロックが5つ、グラスワインの白が6つと赤が8つ、オレンジジュースが6つで、ウーロン茶が9つ、コーラが2つですね。この後は各自で御注文下さいねー。

(飲物と食事が運ばれ出してくる。武宮陽光も自分の席について食事を始めた)
武宮陽光:スープが来ましたよ。僕、分けますね。えーとこのテーブルにいるのは、1、2、3、4・・・・

(一堂に緊張感が走る。依田紀基九段、扇子で頭を叩いて「バカな!何やってるんだ!」とぼやき始める)

武宮陽光:はい、8つに分けましたよー。みなさんどうぞ。

(和やかに歓談が進む。先程まで自分を見失っていた依田紀基九段も得意の浪曲披露でご機嫌。武宮陽光のところに幼児が一人やってくる。)
武宮陽光:あ、心澄ちゃん、来てたんでしゅかー。わー、みんなからお箸の袋いっぱいもらったねー。おじちゃんもあげましゅよ。はい。あ、あーとーしてくれるの。あーとー。それにしてもいっぱいあるねー。かぞえてみよっかー。いーち、にー、さーん、しー・・・・


(一堂に緊張感が走る。隣のテーブルからマイケル・レドモンド九段と万波佳奈が心配そうに見守る。)
武宮陽光:はーち、きゅーう、はーち、きゅーう、はーち、きゅーう・・・あれぇ?心澄ちゃん、どうしたのかなー?」
小林泉水:ごめんなさいこの子まだあんまり数を覚えてないのよ。
武宮陽光:そっかー。心澄ちゃん、数をおぼえて、またおじちゃんと数えようねー。

(デザートが運ばれて来た。本当は杏仁豆腐とマンゴープリンのどちらかが選べるはずだが、ここまでの事態を憂慮した石田九段があらかじめ店側に「全員杏仁豆腐でいい!」と注文。食事が終わり一堂歓談を続けている。)

武宮陽光:さて宴たけなわではございますが、この辺りでこの会場はいったんお開きにさせていただきたいと思います。2次会は、片岡先生がいい店をご存知だそうです。行かれる方は挙手、あっ、もう希望者は数えていただいたのですか。さすが大人の仕切りは手際が違いますねー。じゃあ、本日の会費7000円を私にお支払い下さいましたら、2次会参加の方は片岡先生のところに集まって下さい。

(参加者が各自会費を支払いはじめる。中にはまとめて払いにくる人もいる)
武宮陽光:梅沢さんは三人分ですね。で、3万円からおつりですね。おつり?ありますよ。まず大きい5000円、それから1000円で、6、7、8・・・

(一堂に緊張感が走る。まだ席についていた高尾本因坊、もはやこれまでという表情でおつまみのピーナツ数個を握りしめる。)
武宮陽光:はい9000円のおつりです。

二次会では武宮陽光は得意の「一本でもニンジン」を歌い、またもや会場の緊張感を招いた。

その後武宮陽光に幹事が回ってくることはなかったという。


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