と或る神戸至上主義者の徒然日記

2008/10/07(火)20:40

イキガミ

映像芸術関係(89)

今日、紹介したいのは『イキガミ』です。国民の生命の価値を高める事で、社会の生産性を向上させる目的で 1000人に一人の確率で18歳~24歳の若者の命が国家によって奪われる “国家繁栄維持法”が布かれているという世界で、 死亡宣告書とも言える『イキガミ』を死亡予定時刻の24時間前に 対象者に届ける役目を担う主人公が接触した人々のドラマを通して、 “生きる”と言うことの意味を問うている作品という風に、オイラは解釈しました。 (多分、この解釈で大きく間違ってはいないと思いますが…大丈夫だよネ(^_^;)(以下、ネタバレが含まれるので伏せ字) 正直、物語の展開としては予想された範囲内のもので 思わぬ展開にビックリ!という事はなかったです。 さらに、原作が完結していないからか映画の終わり方も “最後”まで描かれていないですし、そういう点では、 技巧やエンターテイメントとしてみた場合、映画としては 必ずしもレベルが高くないのかもしれません。(以上、ネタバレ込みの文章終わり)しかし、 24時間しか己に残されていないと言うことを宣告されたとき、 人は残されたその時間をどう生きていくのか。 あるいは人の死をこの様な形で国家が与えて良いものか。そういうことを考えることに、この作品の意味があるとすれば、 それは見事に成功しているかと思います。 もし今、この法律が施行されたとしても(残念ながら?)オイラのところには もうイキガミは届かないという年齢になってしまっているわけですが、 もし、自分がこの様な立場に置かれたとき、どう行動するのだろうと そう考えたとき、やりたい事って全然見付からないなぁ、と。“メメント・モリ”を身に浸みて感じていないからこそ、 そういう風になってしまうわけで、 ということは“国家繁栄維持法”も評価されるべき法律…な訳ないな。やっぱり、個人の生き死にが一方的に決定されるというのは あまりに理不尽で、こんなこと、実際に自分の身に降りかかったら 死んでも死にきれんですよ。 生きる、ということをもう一度考え直す意味でも、 この作品は一見に値すると思います。  ところで… 鉄チャン的には、作中に使用されている列車の設定が やや甘いように感じられたのがちょっと残念。 まぁ、どうでも良いことなんですが。

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