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黒色花

黒色花

第三十三話「戦友よ、消え去れ。」

ヒュウウウ・・・。
大爆発が起きた研究所は跡形もなく倒壊していた。
クレーターまでできている。
「うわあ・・・、よく俺ら無事だったな。」
爆炎は冷や汗ダラダラだ。
一方恋歌は落ち着いている。
「うん、死んでいるわ、シサンしたみたい。」
「怖いこと言うなよ、せめてしんでいるでとどめてくれよ。」
「じゃあ、しんでいる。」
「今言いなおしてもなぁ・・・。」
カラカラ・・・。
クレーターの中から音が聞こえてくる。
「?」
「どーせ、石が転がったんでしょ、行くわよ。」
「あ、うん。」
グッ・・・。
ガレキが一瞬動いた・・・。
「今、ガレキ動いたよな・・・?」
「気のせいでしょ。」
グググッ・・・。
またもや動いた。
「ぜったい気のせいじゃない!なんかいる!」
「そのようね、アタシにもわかった。」
ググググッ・・・。
「来るか・・・?」
グググ・・・、バガア!
ガレキの破り、夢が現れた!
「ハアーハアー・・・、よくもやってくれたな・・・。」
「ゲェェ!生きていやがった!」
「あの爆発をくらって生きているなんて・・・、何したのよ!?あんた!」
「影を盾にしたのさ・・・!さあ殺してやる・・・!」
「うお・・・、完璧に怒っているぞ・・・。」
「はぁ・・・、仕方がない、使いたくなかったけど・・・。」
パアア・・・。
恋歌の手の中に光が集まってくる。
「・・・、きた!心器!二頭犬(ケルベロス)!」
恋歌の両手に光が集まってくる・・・。
カッ!
「生成完了・・・。」
恋歌の両手には炎マークがついている二丁のハンドガンがあった。
すぐさま夢に銃口を向けると・・・。
ドガガガガガ!
いきなり連射をし始めた!
嵐のごとく降り注ぐ弾丸は止まることを知らない。
「う・・・、おおおお・・・。」
あまりの迫力に圧倒される爆炎。
ドガガガ!
恋歌も容赦せず、夢に弾丸の雨をふらす。
「ちょ・・・、やりすぎ・・・。」
「そうね、そろそろやめたほうがいいわ・・・。」
恋歌はうつのをやめた。
そこらじゅうに弾痕が残っている。
「凄いな・・・、しっかし心器には色々あるんだな。」
「ええ、ライフルや※デリンジャーも存在するらしいわよ。」
「へ、へー・・・。」
※デリンジャー
手の中に納まるくらいの大きさの銃。
ほかにもこのような名称で呼ばれる銃も存在するが、どれも同じように手の中に納まる大きさだ。
変な補足説明になるが、アメリカの第16代大統領のエイブラハムリンカーンの暗殺に使われたとされる。
装弾数は2発で、41口径(.41リムファイア)である。
護身用にできるので人気がある一丁だ。
「上でなんか凄い説明が・・・。」
「ま、あってるっちゃあっているね。」
「で、信吾どうすんの?倒しちゃったみたいなノリになってきたんだけど・・・。」
「あ。」
「テメェ!人の仲間を殺すなよ!」
「大丈夫よ!どうせ生きているって!」
ゴオオオ・・・。
土煙がモクモクと立ち上る。
夢の姿を確認することは難しい。
「ちょっとあんた!いってきなさい!」
「いやだよ!コエーよ!」
「グチグチ言ってないでいきなさい!」
ゲシッ!
恋歌は爆炎をクレーターの中に蹴り落とした。
ゴロゴロと転がりながら爆炎はアッという間にクレーターのそこに行ってしまった。
「チッ、覚えてろよ、あのアマ・・・。」
恐る恐る近付く爆炎。
「い、いないよな・・・、誰も・・・。」
と気を緩めた瞬間・・・。
グアッ!
土煙からでてきた手が爆炎をぶっ飛ばした。
「ウアッ!」
爆炎は思いっきり壁に激突した。
「いってぇ・・・、腰うった・・・。」
ウネウネと動く鋼のごとくきらめく手・・・。
それは明らかに爆炎を狙っていた。
「・・・!」
恋歌はその手に銃撃をした。
しかしキンキンと音が鳴るだけでダメージはない。
「この銃弾が効かないなんて・・・、一体どんな甲殻なの!」
「やべーんじゃねーの・・・。」
土煙が消えていった・・・。
その中に立っていたのは・・・。
「!」
そのときの黒影たちは・・・。
「んだとぉ・・・?」
黒影の周りに薄いオーラのようなものがはってある。
「チッ!」
紅蓮はとっさに間合いをとった。
「ククク・・・、これこそ黒王丸の力よ、所持者に絶対的な勝利を与える最強の刀、これで紅蓮、お主の目を覚まさせてやる!」
言い方が邪悪だがこれも紅蓮のことを思ってのこと。
「さあ、いくぞ!」
シャ!
「んな!」
離れた位置から黒影は紅蓮を頬に切り傷を負わせた。
「次元斬(ジゲンザン)だ、この斬撃からは逃れられん。」
「くっ・・・。」
「どんどんいくぞ!」
シャシャシャ!
連続で次元斬を繰り出す黒影。
紅蓮も近付きたいが近づけない。
(くそっ、厄介だぜ・・・、まさかコレを使うはめになるとはな・・・。)
紅蓮は右ほほにある黒い「紅」にそっと手をかけた。
「開放・・・。」
グオッ!
「!」
いきなり起こった風圧に黒影のオーラにヒビが入った。
「コレだけでこの黒壁(コクヘキ)にヒビが入るとは・・・。」
「さぁーて決着をつけようか・・・。」
あのときの紅蓮である。
全身真っ黒の・・・。
「・・・、やはりそうきたか・・・。」
「ケッ、テメーもほうも言えたもんじゃねぇよ。」
ゴッ・・・!
邪悪なハドウが辺りを包む・・・。
「フム、なかなかの邪悪だな・・・。」
ビキビキ・・・。
黒影の黒壁にどんどんヒビがはいる。
「ふむ、この黒壁が粉砕するのも時間の問題か・・・。」
黒影は次元斬を繰り出した。
だが紅蓮は次元斬をくらいながら突進してくる。
そして一気に間合いを詰め、殴りかかる!
ドガッ!
しかし紅蓮のパンチは黒壁に阻まれた。
それどころか腕からは血が出てきている。
「この黒壁を素手で殴ろうとは・・・、愚かだな。」
「愚かなのは・・・、そっちだ!」
ビギギギ!
黒壁に一気にヒビが入る。
そして・・・。
バキィン!
ガラスが割れる音とともに黒壁は割れた。
「そんな馬鹿な・・・。」
「この程度かよ、もっと楽しませてくれよ。」
ザンッ!
紅蓮は腰にある火我李を抜刀し一気に居合いに入った。
それを苦しく黒影はかわした。
「くっ・・・!」
「よくかわした・・・、と言いたいところだが・・・。」
紅蓮は指をパチンと鳴らした。
「終わりだ。」
ドバッ!
いきなり腹部から出血をした黒影。
ビシャビシャと血の池ができていく・・・。
「・・・!」
「さっきの居合いは、空切間(クウセツカン)っていう居合いでな、原理はオマエの次元斬と同じさ。」
「そ、そうかい・・・、グフッ・・・!」
左手で腹部の出血を押さえながら何とか右手で刀を構える黒影。
だがもう息は絶え絶えでもう倒れそうだ。
「死にぞこないが・・・、どうなっても知らんぞ。」
「お、お主もな・・・、ラアアア!」
黒影は走り出した。
一点の曇りもない目で紅蓮をにらみながら。
その眼光にはゆずれない心の芯は見える。
だが・・・。
「いったのにわからないとは・・・、学習しねぇな。」
紅蓮はひざ蹴りで突進してきた黒影の顎を蹴った。
しかも黒影の眼光に恐れなどないかのごとく・・・。
「ガッ・・・!」
そのまま身動きが取れないまま少し宙に浮いた黒影。
ドガッ!
だが紅蓮は容赦なしにひじうちで連撃をくらわせる。
ゴシャ!
あまり衝撃に黒影は受身を取れず、岩にぶつかってしまった。
地面に屈服したまま動かない黒影。
「終わったか・・・。」
紅蓮がその場から立ち去ろうとすると・・・。
「まだだ・・・、まだ終わっていない・・・。」
ヨロヨロと黒影は立ち上がった。
「・・・、うるせぇ・・・。」
バキッ!
紅蓮は黒影に一気に近付き、スカイアッパーを繰り出した。
何の抵抗もできないまま、空高く飛んでいった黒影。
「ハアアアア・・・。」
紅蓮の右手に炎が集まる。
そして・・・。
「ヒートショット(炎散弾)!」
勢いよく突き出した手から散弾のように炎が飛んでいく!
空中で気を失っているのか。
何の動きもない黒影。
ドガガガガガガ!
追尾機能がついているように炎の散弾は黒影に全弾命中した。
ヒュウウウ・・・。
黒影が空中から落ちてきた。
それを紅蓮が狙うように飛び立った。
「ブレイズ・・・。」
紅蓮はしっかりと黒影を捉えている。
「キック!」
炎の蹴りが黒影の頭に直撃した!
ドゴォン!
大きな音と共に黒影は地面に叩きつけられた!
スタッと難なく着地した紅蓮。
「頭蓋骨を粉砕するつもりでやった、まあ聞いていないと思うがな。」
黒影は叩きつけられたときにできた穴から出てこない。
死んでしまったのだろうか・・・?
「逃がさん・・・。」
穴から声が聞こえる。
黒影の声だ。
「まだ生きていたのか。」
「お主は泥沼に入ってはいけないのだ・・・、入るなら拙者だけで十分だ・・・。」
黒影はボロボロの体を起こした。
もう立ち上がる・・・、いや息をするのも苦しそうだ・・・。
「テメーは一体なぜ立ち上がる?なぜ戦う?」
「信念があるからだ・・・、それだけだ・・・。」
「信念?ハッ、くだらねぇ、そんなものジャマになるだけだぜ?」
「ジャマになろうとも、拙者は持ちつづける・・・、この命尽きようとも・・・。」
「フン、そういう奴の器はたかが知れている。」
あざ笑う紅蓮。
その笑みには前の紅蓮とは思えなかった。
「拙者は今から一発の攻撃にかける、死んでも知らんぞ。」
ゴッ・・・!
おもっ苦しい空気が周りを包む・・・。
「コレを使うと周りが壊れてしまう・・・、この状況なら大丈夫か・・・。」
シュウウウ・・・。
黒王丸の刀身が黒いオーラに包まれていく・・・。
「ハアアアア・・・。」
「ヤバイな、何か大きな攻撃がくるかもしれない・・・。」
「殺式奥儀!黒次元狼牙(コクジゲンロウガ)!」
ゴッ!
黒影は黒王丸を大きく横に振った。
すると・・・。
ズバッ!
隕石山の山々は一気に切り裂かれ、鈍い音とともに崩れ去っていった。
紅蓮もこの攻撃の前では無事ではすまないだろう・・・。
「ハア・・・、ハア・・・。」
最後の力を振り絞った黒影はその場で倒れた。
「どうだ・・・、この攻撃の前ではおぬしも・・・。」
「ああ・・・、凄いぜ・・・、黒影・・・。」
あまりの剣圧にぶっ飛ばされた紅蓮はフラフラと黒影の前に歩いてきた。
「やるじゃねぇか・・・、俺をここまで・・・、怒らせるとはな!」
「・・・!お主・・・、その技は・・・。」
「あまり使いたくはなかったが、テメーを殺すにはちょうどいい、これで終わらせるぞ。」
「拙者も・・・、ここまでか・・・。」
ゴシャアアアア!
大量の土煙がまった。
何か大きな衝撃があったんだろう。
黒影の倒れていた場所には黒い影のようなあとと黒陽刀しか残っていない。
「・・・、手間かけさせやがって・・・。」
紅蓮は黒いあとにつばを吐き捨て去っていった・・・。
続く・・・。


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