032013 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

黒色花

黒色花

第三十六話「終戦管理局始動」

「うわあああ!」
バッ!
信吾は飛び起きた。
「・・・夢か・・・。」
まるで本当の出来事のように感じるさっきの悪夢。
本当に夢か?
そう疑問に感じる信吾。
「そうだ・・・、夢に違いない・・・。」
そう自分に言い聞かせた。
ゾクッ・・・。
胸の奥のほうに冷たい何かを感じた。
「夢・・・、じゃない・・・?」
考えたくない答えだった。
邪悪な自分がいる。
そんな答えにたどり着いてしまった。
「いやだ・・・、そんなの・・・。」
「なーに、一人でつぶやいているんだ。」
「爆炎さん・・・。」
隣の布団で座っている爆炎に声をかけられた信吾。
内心少しほっとしている。
「どうしたんだ?さっき凄くうなされていたぞ。」
「だ、大丈夫です、少し疲れているだけです。」
「そうならいいけど。」
「修羅さん、いますか?」
「さっきまでいたよ、今はもういない。」
「そうですか・・・。」
ハア、ため息ひとつの信吾。
「何落ち込んでんだ?やっぱ疲れてんのか。」
「え、あ、はい。」
「まあ、大変だったよな、紅蓮は出るし、黒影は消息不明、俺は心器の覚醒。」
「覚醒したんですか!?心器!」
「そうだよ、スゲェだろ、もう少ししたら修羅たちにも追いつけるかも知れねぇ。」
「よかったですね。」
「お前、心器まだなんか?」
「そうです、でも何かつかめるかもしれません。」
「そうか、頑張れよ。」
「爆炎さん、修羅さんはどちらに行ったんですか?」
「すぐ帰るとか行っていたけどなあ、まだなんだ。」
「ただいまぁ。」
噂をすれば影。
修羅が帰ってきた。
「帰ったぞ爆炎、あっ、信吾起きたか。」
「こんにちは。」
「で、何処行っていたんだ?」
「終戦管理局についての情報収集だよ。」
「で、何かつかめたか?」
「イエス。」
にやりと笑みを浮かべる修羅。
「ホントか!?」
「ああ、確かなヤツから聞いたからな、確実と思うぜ。」
「で、どこにあるんだ!」
「ダークサイド(闇の淵)さ。」
「だーくさいど?」
「ようは闇の世界、そこに終戦管理局、いや零の城がある。」
「やっぱり狙うは首領(零)か?」
「いや、今は戦力の回復を狙い、紅蓮を連れ戻すのが最大の目的だ、零を倒すなんてそんな大それたことはしない。」
「そうか。」
「あと、零の目的がわかった。」
「なぬ!それは聞き捨てならねぇ!」
「零の目的は大戦時に存在した心器らしい。」
「大戦時に存在した心器?」
「ああ、何か理由があって消滅したみたいだ、今じゃその心器の存在の話自体マユツバものだ。」
「へえ、んじゃその心器の詳しいこととかわからないのか?」
「何もわからないわけではない、籠手の形をした心器らしい。」
「籠手か、かっこいいな。」
「そしてその心器は2つあってそろえば力を発揮するみたいだ、そして零はなぜか片方持っているらしい。」
「なんだと・・・!」
「その心器の名は、覇虚九(ハコク)だ。」
「覇虚九・・・。」
「その心器二つそろえば世界を破滅へと向かわせるという力を持っている、並の力のヤツが所持したら一瞬に心力を吸い取られちまう。」
「もう一つのほうの心器は・・・。」
「まだ分かっていない、もう少しで分かりそうなんだが・・・。」
「まあ、あせらず行こうぜ、まずは終戦管理局にいく方法だ。」
「そうだな・・・。」
・・・。
場所は変わりどこかにあるダークサイドへ・・・。
あらゆる物を消し去る瘴気が立ち込める空間は侵入するものを容赦なく襲う。
塔のようにそびえたつ終戦管理局はこのダークサイドにあった。
そう、前回紹介したのは(第二十三話参照)終戦管理局だったのだ。
大きなバリアのようなものが瘴気から終戦管理局を守っている。
「計画はもうすぐですね、零坊ちゃま。」
「ああ、もうすぐだ、だが今回も・・・、届きそうで届かないかもしれない。」
終戦管理局の最上階のバルコニーには零と刃がいた。
「数々のテストも順調に進んでいます、このままいくと・・・。」
「そうだね、僕の望むものが手に入るのだが・・・。」
不安そうな表情をうかべ、零は続けた。
「でも怖いんだ、何度も失敗するのが・・・、まともに成功したことがない。」
「大丈夫です、今回はうまくいきます。」
「そうかなぁ・・・。」
「お話のところ失礼します。」
紅蓮がバルコニーにきた。
真剣な表情で、零の数枚の紙を渡した。
どうやらテストの結果のようだ。
「・・・、うん、問題ないね。」
「所で零さま・・・。」
「なんだい?紅蓮君。」
「俺たちのやっていることは正しいのですか?」
「どういうことだい?」
「こんなこと言って申し訳ないのですが、計画の実行を中止になされたら・・・?」
「今なんて言ったの?」
ギラリと紅蓮を睨みつける零。
流石の紅蓮も少しびびった。
「いや・・・、なんでもないです、お忘れください。」
「ならいいよ。」
「では、失礼します。」
紅蓮はバルコニーから去っていった。
「さっきの紅蓮ぼっちゃまの言ったことの意味わかっていますか?」
「ああ、わかっているよじいや、でもひけないんだ・・・、あとには・・・、僕達は神の領域に入った愚かなネズミかも知れない、だけど僕は喜んで汚すよ、望むものが手に入るなら・・・。」
「そのですね・・・。」
暗黒の世界、ダークサイド・・・。
この世界では零の目的が渦巻いていた・・・。
計画とは何か・・・。
そして爆炎達は終戦管理局にたどり着くことができるのか・・・。
続く・・・。


© Rakuten Group, Inc.