第三十九話「月が闇にとけるとき」ジリ・・・。月光、紅蓮ともに身構えた。 月光はムーンシールドを構え、防御の体勢に。 紅蓮は火我李を構え、攻撃の体勢に。 狭い通路の中ではお互い動きが極端に制限される。 「・・・、逃げるがかち!」 いきなり月光は逆走し始めた! 「あっ!待ちやがれ!」 ダダダダ! とにかく逃げる月光。 とにかく追いかける紅蓮。 追う側と追われる側の速度は同じ。 ということはどれだけ走っても距離は縮まらない。 (このままいって広間に出れればいいのにな・・・。) ともかく走る、はしるったら走る。 「うおおおお!まてやぁぁぁぁ!」 月光が走っていると、少し大きめなトビラが見えてきた。 広間につながっていそうだ。 「あれだ!とりゃあああ!」 ドギャン! 鉄製のトビラをとび蹴りでこじ開けた月光。 どうやらここは広間のようだ。 だが、床には大きくH型の記号らしきものが書かれている・・・。 「ここ、ヘリポート?」 「そうだ・・・。」 ガコン。 紅蓮は扉の右にあるレバーを下に下げた。 すると・・・。 ゴウウウウン・・・。 少しずつヘリポートが上昇し始めた。 「これで逃げられないぜ。」 「くそっ・・・。」 紅蓮は一気に月光に詰め寄った。 「居合い・・・、空切間!」 ヒュ・・・! 「ふお!」 ほぼギリギリのところで回避できた月光。 「ほお、黒影並の反射神経だな、だが甘いぞ!」 紅蓮がパチンと指を鳴らした。 そう黒影と同じパターンだ。 ズバッ! 月光は真っ二つに切れてしまった。 だが・・・。 スウウウ・・・。 次第に月光の姿が消えていく。 「何・・・!?」 「それは偽者ですよ、偽者。」 「なんだと!」 「私はここです。」 なんと月光はあの一瞬で自分の偽者を作っていた。 「なかなかやるじゃねぇか・・・。」 「さ、戦闘を再開しましょう・・・。」 「フフフ・・・、勝てるものならばな・・・。」 次第に上昇していくヘリポート・・・。 月光は勝負を制すことはできるのか・・・!? そのころ、爆炎、修羅は・・・。 「帰ってこねー・・・、一体どうしたんだ?月光・・・。」 「そうあせるな、修羅、アイツの実力は俺は信じているぜ。」 「そんなこといったってなぁ・・・、ヒマだ。」 「ヒマってあんた・・・。」 「決めた!」 「何を?」 「いくぜェェェ!」 ドガン! 爆発音とともに牢獄の鉄格子が吹っ飛んだ。。 「な、何してんのぉぉぉぉ!?」 「鉄格子吹っ飛ばしてやった、ザマアミロ。」 「誰に!?」 「さあて、ひと暴れしますか。」 「ちょ、俺出して!」 「あーん、しょうがねえな。」 修羅は、鉄格子に時計みたいなものをつけた。 「なにこれ?」 「離れたほうがいいぞ。」 「え?」 チッ、チッ、チッ、・・・ボガン! 「ぶお!」 小さな時計は超規模の爆発を起こした。 「いったのにー♪」 「もうちょっとテンションあげていえや!」 ヴィーン、ヴィーン・・・! 警報が鳴り始めた! おそらく爆発のせいだろう。 「ハイジョスル・・・。」 「うわぁ!また出た!」 「うろたえるな!爆炎!こっちには心器があるんだ!」 修羅はバイオレットブレイブを出した。 とたんに敵陣突入。 「オイイイ!なにやってんだぁぁぁ!」 「こーゆーときこそ突入じゃああ!」 「ええい!こうなりゃ俺も!」 バッ! 爆炎は天に手を掲げた。 パアアア・・・。 爆炎の手に光が集まる・・・。 「お、おおおお!」 カッ! 爆炎の手には大槌が握られていた。 「キターーーーー!」 爆炎は槌を片手に暴れまわる。 「おー!調子出てきたか!」 「おおよ!いっきにふっとばしてやるぜ!」 ドガガガガガ! もはや二人の進行を止められるものはいない。 次第に泥人形の数も減ってきた。 「オラオラ!どけぇぇぇぇ!」 「フハハハハハハ!キサマラでは役不足だァァァァ!」 爆炎達が走っていると何やら重要そうなトビラが立っていた。 鉄製のトビラで、かなり頑丈そうだ。 「オルァァァァ!」 ドゴン! 爆炎は大槌でドアを吹っ飛ばした! 「カーッカッカッカ!コレくらいせんと気がすまねぇな!」 「おっしゃ!一気にこの施設と壊滅状態に・・・・、?」 「どうした?修羅。」 「あれ。」 何かを指さした修羅。 そこには小さなフラスコに小さな炎がちんまりと燃えている。 「これは一体・・・?」 さらに奥にはなにやら怪しい実験をしていたことが伺えるようなものがいっぱい。 「いってみるか?奥。」 「ああ、いってみようぜ、何かわかるかも。」 爆炎たちはさらに奥に歩みを進めた。 奥には棺桶のようなものが十個ほどきれいに並べられていた。 何かプラグのようなものがウジャウジャついている。 「これは・・・、棺桶か・・・。」 棺桶にはナンバー01とか02とか書かれている。 「何に使うんだ?このプラグ。」 爆炎が謎のコンピューターを弄り(いじくり)回す。 「おいおい、やめろよ、何があるか知ったもんじゃ・・・。」 カチッ。 「今なんか押した?」 「ああ、なんか押した。」 「・・・、逃げたほうがいいんじゃね?」 ヴィーン!ヴィーン! またなった警報。 だがさっきとは違い、なにやらテンポが速い。 きんきゅうじたいハッセイ!きんきゅうじたいハッセイ! じっけんたいノしすてむカイジョヲかくにん! かくいんセントウたいせいニハイレ! クリカエス! きんきゅうじたいハッセイ!きんきゅうじたいハッセイ! じっけんたいノろっくしすてむカイジョヲかくにん! かくいんセントウたいせいニハイレ! 「お前ほんとなに押した?」 「なんかこのボタン。」 そこには押をいう漢字を禁止マークで囲んだスイッチがあった。 「何おしてんのぉぉぉぉぉ!?」 「おしていいじゃんかよぉぉぉぉ!どーせエレベーターのスイッチ的なテンションで押したけどよぉぉぉぉぉ!」 「うっさい!ボケッ!さっさと逃げるぞ!」 カシュ・・・。 棺桶が次々に開いていく。 「グルウウウウ・・・。」 棺桶から泥人形が現れた。 「・・・?コイツラが実験体?」 「かわりねーな・・・。」 「グルウウウ・・・。」 泥人形は爆炎たちをを見ると、ビコーンと目を光らせ10体で飛び掛ってきた! 「うお!」 ドガガガガガ! 爆炎はとっさに思いっきり大槌を振り、10体の泥人形を壁にたたきつけた。 「なんかやばそうだ!さっさと月光探して逃げるぞ!」 「待てよ!紅蓮は!?」 「今は言っている場合ではない!さっさと逃げるぞ!」 爆炎達は、謎の研究室から逃げた。 その時、泥人形達が動き出した。 「テキはっけん、きけんど100パーセント・・・。」 「テキのイバショさーち、ツウロ32―Eをトウソウちゅう。」 「サイテキるーとサンシュツ、ツウロ33―Qをトオリ、マチブセ。」 「サイソクじかんサンシュツ、ヤク02ふん33,031ビョウ。」 「セントウのうりょくセッテイ、データ、28794ガタト05131ガタ、ケツゴウ。」 「ケッカ、ホンタイいじょうなし、セントウすたいるA―8(アルター―エイト)。」 「テキはいじょジカンサンシュツ、03フン34,089ビョウ。」 「キドウえねるぎー、リョウコウ、えねるぎーザンリョウ100,0ぱーせんと、セントウにイジョウなし。」 「デハ、テキのはいじょニウツル。」 「ハイジョせよ!」 泥人形達はドロドロになり、排気管の中へと消えていった・・・。 そのころ、月光は・・・。 「このっ!」 「くおっ!」 月光は紅蓮の剣術と体術の連携に苦しんでいた。 「オラオラ!動きが鈍いぞ!」 「チッ・・・!このままでは・・・。」 ガコン・・・! ヘリポートが上りきったようだ。 「・・・!」 ヘリポートが上りきるとそこは、ダークサイドを一望できる高さにまであがっていた。 「な、なんて高さだ・・・。」 「よそ見している暇はねぇぞ!」 「わっ!」 紅蓮の斬撃をギリギリでかわす月光。 「へっ!よそ見しているとは気楽だな!」 「くそ、攻撃をガードすることはできても反撃に移ることができない・・・。」 「さあ、終わりにしようぜ!」 グアッ! ガッ! 不意をつかれた月光は、頭をつかまれた! 「うあっ・・・!」 「ここで終わりだ・・・。」 「くっ・・・。」 あまりのパワーに頭から紅蓮の手が離すことができない月光。 「はああああ・・・!」 「・・・!」 「炎擲弾(ヒートグレネード)!」 ドゥン! 鈍い音が響きわたった・・・。 「ガッ・・・。」 ドサッ・・・。 月光はそのまま倒れこんだ。 意識がないようだ。 「この程度か・・・、さて、向こうで何かあったらしいな、さっさといくか・・・。」 続く・・・。 |