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黒色花

黒色花

第四十二話「未来ってモンは複雑だ」

終戦管理局の戦いから2日たった。
いつもどおりの朝を迎える町。
紅蓮が帰ってきた万事屋はまた開店した。
「あー?やる気しねぇ・・・、なんか色々やる気しねぇ・・・。」
「一発目のセリフそれかよ。」
カチカチとゲームのコントローラーを動かし、画面を見つめる紅蓮。
いつもの光景である。
「今は.h○○kしてるんだから。」
「やめろよ、いい加減。」
「やめれないんだよなぁ・・・、もうvol2だし、よし、レベルアップ。」
「そ、そうか・・・。」
「そういや信吾は?」
「買出し、アイツここ最近、出番ないよな。」
「そうだよなぁ・・・、もうなんか忘れられそうなくらい出番ないよなぁ、前の回なんて最後の一言くらいしかないもんなぁ。」
「言いすぎだろそりゃ、というか、そのアザ消えないのか?」
紅蓮の右頬の「紅」のアザ。
いつになっても色あせることないアザに言いようのない不安にかられる爆炎。
「あー、これ?消える気配ないし、とりあえず今は様子見だな。」
「そ、そうか・・・。」
「あー、なんかゲームしすぎて今度は仕事したくなってきた、依頼こい。」
「お前、無茶。」
「あ、あのー・・・。」
一匹のラフレシアがきた。
どうやら依頼のようだ。
爆炎は粗相のないように接待する。
「何か依頼でも?」
「そうです、実は私達の森に少し異変が・・・。」
「ギャァァァ!カ○トが死んだァァァァ!」
「うっさい!お前!」
「は、話を続けていいですか?」
「あ、はい、どうぞ。」
「私たちの森に何かあるみたいなんです、何かこう・・・、お化けのような。」
「はぁ・・・、紅蓮どうする?」
「んー、引き受けるよ、とりあえず依頼だし。」
「との事です。」
「わー!ありがとうございます!」
そういうとラフレシアは去っていった。
一つの地図を残して・・・。
「さ、紅蓮、行け。」
「何で俺一人なんだよ?」
「お前が一番働いてない、というわけで行け、一人で。」
「はぁ?行けって?そんなこと言っていいのか・・・?」
「行ったらあのドラヤキかってやる。」
「しょうがねぇな、ちゃんと買えよな。」
(紅蓮の操縦は簡単だな・・・。)
「よし、行くか・・・。」
「ちょっと待て、紅蓮。」
「んお?」
「コレを。」
爆炎は鞘に納まった火我李を紅蓮に渡した。
「コレは?」
「火我李という刀だ、お前の愛刀だ。」
「そういや、使っていたな、こんな刀。」
「とりあえず何が起こるかわからん、もってけ。」
「りょーかい。」
紅蓮は腰に火我李を帯刀すると森へと向かった。
そして1時間・・・。
「うっわぁ・・・、生い茂っているぞ、おい、生い茂りすぎて先わかんねー・・・。」
もう雑草とかそういうレベルではないくらい草が生い茂り、木々はまるで道を阻むかごとくたくましく伸びている。
「こりゃ入るには一苦労だな。」
紅蓮は腰の火我李を抜刀すると・・・。
「いっさいかっさい・・・。」
とつぶやくと・・・。
「大伐採ィィィィ!」
刀でドンドン切っていく紅蓮。
自然破壊というのはこのことか。
「ハッハッハァァァ!どけィ!愚民どもぉぉぉぉ!」
意味不明な言葉は気にしない。
バッサバッサと木々を切り倒していく紅蓮。
もはや彼を止めるものはない。
しばらく木々を切っていくと広場に出てきた。
「ありゃ?ここだけ木とか草とかボーボーじゃねーぞ。」
広場の真ん中には切られて下から上がない丸太が一本だけだった。
紅蓮はその丸太に腰を下ろした。
「はあ・・・、何でこんな依頼受けたんだろ?お化けなんているはずがねぇのによ。」
サアアアア・・・。
優しく風が吹き、さわやかに木々が合掌する。
なにか涼しいものを感じる。
「こーゆー森の中も捨てたもんじゃねーな。」
スクッと立ち上がった紅蓮。
「さて、行くか。」
その場を立ち去ろうとしたとき。
「・・・!」
何者かの気配を感じた紅蓮。
辺りを見渡したが、気配の出所をつかめない。
「どこだ!?誰かいるのか!?」
返事がない。
少し顔が青ざめてきた紅蓮。
「こ、こんなとこさっさと・・・。」
といってふと丸太を見てみた。
そこには古ぼけた布を首からマントのようにしているバシャーモが丸太に座っていた。
「誰だ?お前・・・。」
「・・・。」
無言のまま紅蓮を指差すバシャーモ。
その目は大きく見開かれ、紅蓮も少しびびった。
「・・・、フザケてんのか・・・?」
「・・・。」
無言のまま首を横に振るバシャーモ、そしてまた紅蓮を指差した。
「何が言いたい?」
「・・・。」
なぜか無言のまま消えていったバシャーモ。
一体彼はなんだったのか?
「ホッホッホ・・・、それは未来木(ミライギ)じゃよ。」
ヨルノズクが紅蓮の頭にのった。
「んだぁ?ジジィ。」
「ホッホ、まあジジィの話を聞け、この未来木はまれに近くにいる者の未来の姿を映し出すのじゃ、お前は運があるぞ、ホッホッホ。」
そういうとヨルノズクはどこかへ飛び去っていった。
「俺の未来の姿・・・?アレが・・・。」
にわかには信じられないが、確かに何か自分に似たものを感じた紅蓮。
アレは本当に未来の自分かもしれない・・・。
そう思うと不安で仕方ない。
何をどうしてあの姿へとなったのか?
一体未来では何が起こったのか?
そのことばかり頭に浮かぶ。
それよりも一番の心配は爆炎、信吾・・・、そして仲間たち・・・。
自分があの姿になったとき、仲間はどうしているのか?
生きているのか?死んでいるのか?
分からない、分かるわけない、得体の知れないのが未来だから・・・。
「とりあえず、先へ進むか・・・。」
紅蓮は森のさらに奥へと歩を進めた。
続く・・・。


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