全司法労働組合近畿地区連合会

2006/05/29(月)16:02

公務員のスト権が回復されると民間労働者と同じようにリストラできるのか?

 5月27日行(二)集会での参加者から、次のような質問がありました。公務員のスト権が回復されると身分保障がなくなるのでしょうか。  自民党の野中広務氏以降、幾度となく、国家公務員のスト権を回復して、現行の厳格な身分保障制度を廃止して、今以上にリストラしやすい制度に変えようとする発言が政治家等や政府の委員会等によってなされています。  これら発言は、争議権と身分保障とを混同させた不当な考え方に基づくものです。  労働条件を法律や条例で規定する勤務条件法定制度、特定の事由がない限り不利益処分をされない懲戒・分限法定制度、そしてこれらを実質的に保障するために設けられている人事院、人事・公平委員会制度などがいわゆる身分保障制度の中身です。このような身分保障は、政権交代などによる政治闘争から公務員の身を守り、政治介入を排して、職務の公共性、行政の継続性や中立性を維持するために、個々の職員の権利利益を保護するための措置であって、公務員制度の根幹にかかわる重要なものであり、基本的人権である争議権など労働基本権の保障とは異なる別個の存在理由があります。もともと争議権保障の有無とは関係がありません。  他方、公務員における争議行為の一律禁止が合憲とされているのは、争議行為がその地位の特殊性及び職務の公共性に反し、勤労者を含めた国民全体の共同利益に重大な影響を及ぼすこと。議会制民主主義や財政についての国会の議決権を侵すおそれがあること。公務員にはロックアウトや市場の抑制力のような歯止めがないこと。人事院をはじめ整備された代償措置が設けられていることが理由とされています(最高裁全農林警職法判決)  そのため、公務員に争議権が保障された場合、人事院などが実際上果たしてきた役割は変っても、身分保障制度そのものがなくなることはあり得ないのです。先進諸外国では、公務員の身分保障を当然としながら争議権を保障していることや、日本でも国家公務員法が、制定当初(1947年)現在と同様の身分保障制度を置きながらも、争議行為を許容していたことなども、それを裏付ける事実です。  これらとは別の議論として、公務員制度改革の中で、本格的な評価制度の導入を前提に、免職の基準・手続を明確に定めて、積極的に活用しようとする政府の動きはあります。

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