第57回 鎌田宿(かまたじゅく) 前編
バス停データ◆所在地:江戸川区 ◆路線:京成バス[小72]系統他みなさん、こんにちは。一之江駅から江戸川区東端を北上して小岩へ向かう京成バスは、前回ご紹介した今井から篠崎街道に入ると、2つ目が鎌田宿バス停です。「宿」というと宿場をイメージしてしまいますが、今井でご紹介の通り、かつて近くには旧江戸川を千葉県側に渡した今井の渡しもあり、行徳街道の道筋にも近いことから、成田山参詣客などが集まる休憩場のようなかたちで発展した集落ではないかと想像してみました。鎌田は「蒲田」と同義といわれ、旧江戸川沿いの低湿地に開墾された水田地帯を意味するといいます。江戸期には上鎌田村、下鎌田村があり、昭和7年から上鎌田は江戸川区南篠崎町となりました(バス停名としては、現在も篠崎街道に上鎌田バス停があります)が、下鎌田は同区の町名として残りました。その後の町名変更により、下鎌田の大半は西瑞江、東瑞江、江戸川の各町に吸収されるようにして消滅しましたが、ごく一部は住居表示未施行の下鎌田町として、飛び地のようなかたちで最近まで存続していました。私の手許にある5年ほど前の地図では、まだ下鎌田町の表記が小さく残っていますが、最近購入した地図では完全に消滅しています。区画整理の完了に併せて、周辺各町に統合されてしまったのでしょう。バス停付近はかつての下鎌田の中心集落にあたります。瑞江方面に歩いていくと、左手に道祖神を祀る小さな祠があります。江戸川区の説明板によれば、建立時期は不明のようですが、「どうろくじん」と呼ばれて地域の信仰を集め、これを保存してきた地元の内山家も、屋号を「どうろくじん」と称していたといいます。祠の背後にある大きなお屋敷の門が、その内山家になるのでしょうか。(次回へつづく)人気blogランキングへ