2008/11/09(日)01:21
第273回 【街の神仏編(3)】 入谷鬼子母神(いりやきしもじん) 前編
バス停データ
◆所在地:台東区 ◆路線:都営バス[上26]系統他
みなさん、こんにちは。
前回は豊島区の雑司が谷鬼子母神をご紹介しましたが、東京の鬼子母神でもうひとつ忘れてならないのが、「おそれいりやの鬼子母神」こと、台東区入谷の鬼子母神です。根津から言問通りを東へ走る都営バス[上26]系統に乗り込むと、寛永寺橋で山手線を越えて鶯谷駅を過ぎ、やがて昭和通りと交差する入谷交差点の手前に、入谷鬼子母神バス停があります。
鬼子母神の名ばかりがあまりに知られすぎて、実はここが眞源寺という寺の境内だということに気付く人は少ないかもしれません。雑司が谷鬼子母神にもいえることですが、「神」の文字からこれを神社と勘違いする人も多いとのこと。寺は万治2年(1659)の創建になります。
思いの外こじんまりとした境内に入ると、大きく「鬼子母神」と書かれた提灯を掲げた本堂がすぐ正面にあります。雑司が谷と同様に、こちらも点の無い「鬼」の字を使うのが正しく、他人の子を食べる悪神から安産、子育ての神へと変遷した由来なども、同じ鬼子母神である以上、当然ながら同様です。
因みに「おそれいりや(入谷)の鬼子母神」とは、大田蜀山人(南畝)の狂歌の一節で、このフレーズが鬼子母神の名を広く知らしめた功績は大きいでしょう。他に「びっくりしたや(下谷)の広徳寺」「どうでありま(有馬)の水天宮」といったフレーズが後に続きますが、それらはあまり人の口に上ることがないように思われます。
(次回へつづく)