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バス停地名学のすすめ

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2009.02.06
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カテゴリ:大田区
(前回からのつづき)

長い塀に挟まれた狭い参道は、騒がしい俗世間との関係を断ち切る作用があるようで、奥へ進むにつれて周囲の喧騒は遠のき、いつの間にか足音すら憚れるような静けさの中に佇んでいる自分に気がつきます。参道の奥にほんのわずかばかりの境内があり、木立に隠れるようにして建つ小さな観音堂が、静かに私のような散歩者を迎えてくれます。その隠れ家のような空間は、都心の寺というよりは、鎌倉あたりの「裏通りからちょっと入った寺」の雰囲気に近いでしょう。

その名にあやかって、出世を願うサラリーマンや就職を控えた学生の参詣も多いといいますが、参道入口に掲示されている地元有志による由来書を見ると、ここは伊藤博文のお妾さんが仏門に帰依した後に観音様を安置したことに始まるとのことです。その関係で、政財界からの参詣者も多いとのこと。

さらにその由来書によれば、もとは4千坪余りの広い敷地に、観音堂の他いくつかの建物があったそうですが、戦災により大きな被害を受け、一時は敷地の全てを譲渡してしまう計画だったところ、地元有志の働きかけもあり、かろうじて観音堂とその周辺のわずかな敷地のみが残されることになったようです。

「出世」つながりで記しておけば、大田区にはもうひとつ、田園調布に出世稲荷があります。その場所は、同じ[蒲12]系統の田園調布坂上バス停から歩いてすぐのところです。つまり、2つの「出世」の観音様とお稲荷様が、同じバス路線の沿線にあるというわけで、[蒲12]系統は知る人ぞ知る出世コースの路線バスということがいえそうです。決して東急はそんな宣伝の仕方はしていませんが。

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最終更新日  2009.02.06 22:35:59
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