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バス停地名学のすすめ

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2009.02.11
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カテゴリ:大田区
(前回からのつづき)

バス通りを出世観音の方へ戻り、既に鵜の木街道としてご紹介した通りを東へ歩くと、すぐに道は呑川への急な下り坂となり、やがて右手に樹林寺の山門が見えてきます。

道々橋八幡の別当寺でもあった樹林寺は、寛永年間(1624~44)初期の創建といわれ、当時、付近の村にはそれぞれ寺があったにもかかわらず、道々橋村には寺がなかったことから、村人の強い要望により建立されたといいます。日蓮宗の寺院で、日蓮聖人坐像を本尊としますが、この寺の日蓮聖人像は黒く彩色されていることが特長といえます。開眼は碑文谷法華寺の日禅で、この日禅が禁教として幕府の弾圧を受けていた日蓮宗不受不施悲田派の僧であったことが、黒い彩色と関連しているといわれます。大田区教育委員会の説明板によれば、同派の隠し本尊だった可能性もあるようで、学問的価値も高いとのこと。

境内で目を惹くのは、小さな庭に砂利で描かれた同心円状の模様で、いわゆる枯山水の一種でしょうか。柵も何もなく、子供でも入ってきたらあっという間に崩されてしまいそうですが、こうした何気ない見せ方には、寺の品格を感じさせるものがあります。

樹林寺前を過ぎると、間もなく呑川の道々橋です。前回触れたように、橋の修復費の負担問題が道々橋の地名発祥に関わるとすれば、この橋にはもともと別の名があったことになりますが、それについては定かではありません。

この付近の呑川については、第84回「根方」の項でも触れましたが、コンクリートで固められた寒々しい景観に失望させられる代わりに、道々橋をはじめ、橋名には土地の歴史を伝える古い地名が多く残され、それらを現地を歩きながら順番に辿っていくことは、私のような散歩者には楽しい作業といえます。

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最終更新日  2009.02.11 23:15:41
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