バス停地名学のすすめ

2009/03/31(火)02:12

第324回 御殿山(ごてんやま) 後編

品川区(16)

(前回からのつづき) バスを降りてまず目に入るのは、八ツ山通りに面した三菱開東閣の入口です。三菱グループの迎賓館であり、かつての伊藤博文邸跡地を明治22年に三菱財閥の岩崎久弥が購入し、神田駿河台本邸から和館を移築するとともに、ジョサイア・コンドル設計による洋館が明治41年に完成し、開東閣が出来上がりました。一般には非公開である上に、広大な敷地は鬱蒼とした樹々に包まれ、建物の様子などは外部から一切わからないようになっていますが、資料によれば、戦災で内部を焼失した洋館は昭和39年に復旧が完了し、往時の外観をほぼ維持した形で現存しているようです。 バス停から北品川5丁目の閑静な住宅街を南へ入る通りは、太田道灌ゆかりの地らしく、道灌通りと呼ばれています。しばらく歩くと、左手に見えてくるのが現代美術のコレクションで知られる原美術館です。建物の前身は、実業家であり美術収集家でもあった原邦造の邸宅で、銀座和光や国立博物館などを手がけた渡辺仁の設計により、昭和13年に完成しています。建物そのものが大変貴重な建築遺産のひとつであり、それだけでも一見の価値があります。 原美術館を通り過ぎ、突きあたりを左へ曲ると、削り取られた御殿山跡地への急峻な崖に向け、道は下り坂となります。崖下は山手線や東海道線の線路が南北に走っていますが、その手前の左手が御殿山ヒルズ(ガーデン)の裏手にあたり、すり鉢状の窪地には日本庭園が広がっています。再開発で整備された庭園ではありますが、往古の名勝御殿山を思い浮かべつつ、散歩の合い間にひと休みするには、ちょうどよい空間でもあります。 ↑↑↑ブログランキング参加中です。

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