STRICTLY ROCKERS
16.HORACE ANDY / PURE RANKING (GETTO STYLE) 「PURE RANKIN」収録 P.88掲載
ルーツ・シンガーとしては珍しいハイテナー・ヴォイスの持ち主ホレイス・アンディの傑作アルバム収録曲。同じアルバム内で同名曲をバージョン違いでほんわかと穏やかにやっているんだけど、こちらのゲットー・スタイルでは攻撃的で不穏なムード満点にやっています。「純然たる階級」とただただ延々と繰り返すコーラスは、厳然と存在する貧富の階級の悲惨な状況をヒシヒシと伝えてきます。
ロッカーズ・スタイルのバックの演奏も闘争心むき出しの超攻撃的なもの。ハイハットやシンセなど高音域は鋭く研ぎ澄まされた刃物を彷彿させ、中音域のオルガンやパーカッションのエコーが体に麻薬常習的快感を呼び起こす。重量感のあるベースの低音とあわせ見事な振幅空間を作り出していますが、それらがヴォーカル・ワークと合わさり緊迫感が一層増幅されています。
年代と国こそ違いますが同じ黒人音楽として、良質なギャングスタ・ラップの持つ緊迫感と酷似した雰囲気が有ります。こういっては何ですが、悲惨極まりない絶望的な状況だからこそ噴出できた音楽というものがある、ということです。