ぞうりむしの図書館

2007/07/21(土)00:02

佐賀のがばいばあちゃん ★★★★

読書感想(81)

【佐賀のがばいばあちゃん】 島田洋七 【Story】 昭和三十三年、広島から佐賀の田舎に預けられた八歳の昭広。そこでは厳しい戦後を七人の子供を抱えて生き抜いたがばい(すごい)祖母との貧乏生活が待っていた。しかし家にはいつも笑いが溢れ…。黒柳徹子、ビートたけしも感動した超話題作。     <読書感想> この本を読んで、母方のばあちゃんの事が思い浮かんだ。 ばあちゃんのボロアパートには、常に瓶の三ツ矢サイダー が2ケースもストックされていて、私と兄が遊びに行く度に 何本でも栓を抜いて飲ませてくれた。 そう言えば、私と兄が乗った電車を手を振って見送る ばあちゃんを置いて帰るのはとても切なかったな。 あの腰の曲がった小さな背中が、6畳間の部屋にポツンと たたずむ姿を思うとたまらなく後ろめたかった。 島田洋七さんが、7年も共に暮らしたばあちゃんの元を 旅立つ時、私の何十倍も切なくいたたまれなかった 気持ちを思った。 そんなうちのばあちゃんは、今も生きてはいるが、 痴呆症でもう私のことも母のことも分からない。 母に一度「さみしくないか?」と聞いたことがある。 母はこう言った。 「年をとって忘れていくっていうことは、  この世に未練を残さないように。心残りがないように。  後に残した人のことが気にならないように。  だから、これでいいんやと思う。全部忘れていいんやと思う。」 巣立つときも、天に召されるときも、 これから旅立つものと、置いていかれるものがいる。 いろんな思いがあっても、いろんな思いがあるからこそ ずっと一緒にはいられない。 でも、その思いはずっとずっとかけがえのないものと して心に残る。

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