2008/01/30(水)22:01
風が強く吹いている ★★★★★
【風が強く吹いている】 評価:★★★★★
三浦 しをん
風が強く吹いている
【内容】
君だったのか、俺が探していたのは。走るために生まれながら、走ることから見放されかけていた清瀬と蔵原。二人は無謀にも陸上とは無縁だった八人と「箱根」に挑む。走ることの意味と真の“強さ”を求めて……。
<読書感想>
まったくの偶然で、2冊続けて『走る』ことが
テーマの本になった。
今度は長距離、箱根駅伝の話。
『長距離を走る』のに最も大事なこと
それは、
『速い』ことではなく、
『強い』こと。
1月27日の大阪国際マラソンの福士加代子の姿。
すごかった。
もし、福士にとって、走ることが『速さ』だけを
競うものなら、きっとゴールを諦めていただろう。
走ることが己と戦うことだから、
福士は何度コケても立ち上がってゴールを目指したのでは
ないだろうか。
彼女は速くは走れなかったけど、とても強かった。
そしてマラソンとは違う、駅伝に必要なもう1つの強さは、
『自分以外のだれかに恃(たの)む強さ』
自分の走る区間以外は、仲間にたのまなければならない。
そして、自分の走る区間は自分だけのものではなく、
襷(たすき)をつなぐチームメイト全てのものだ。
それは、きっと想像以上に重い。
でも、走ることで仲間とつながっているということが、
自分を支える。
信じる強さ、信じてもらう強さ。
それが大きければ大きいほど、より大きな力を生む。
『長距離を走る』ことは、『生きること』に
とても似ている。
大事なことは、『強い』ことだ。
そして、自分以外の誰かを信頼して『たのむ』ことだ。