ゲニウス・ロキ

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Sep 27, 2009
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カテゴリ:NOVEL




ぼくは車のフロントガラスにこびり付いた、
鳥の糞を、ギュッと絞った雑巾で拭いてい
た。

タバコに火を点けると、真夏の焼け付く様
な太陽が、ジリジリと音を立て、ボンネッ
トを焦がしていくような気がした。

この上に卵を落とせば、たちまちのうちに、
目玉焼きができるに違いない。

そいつをハムとサラダで挟んで、サンドイ
ッチを作れば、結構いけるかもしれない。

そんなことをフト思ったとき、

玄関先でヘンドリックが何かをわめいた。

何だって?

ケータイが鳴ってるよ!

誰からだい?

知るもんか!
どうやって見るんだよ。

それもその筈だ。
ヘンドリックはケータイの扱い方を知ら
ない。

メールじゃないのか?

メールって何だよ!
難しい言葉使うな!(><*)/

ぼくらはこれから出掛けようとしていた
のだ。
電話の相手に心当たりはなかった。

ほっといていいよ!

音がやかましいんだよ!о(><+)о

そのうち止むさ・・

ヘンドリックはカンカンに怒って、
ケータイを握り締め、表へ出てきた。

車なんか洗ってる場合かよ!

見てくれ、
鳥の糞さ。
なかなか落ちないんだよ。

俺がとってやるよ!

本当か?

ケータイの音を何とかしてくれ!

彼にしては珍しい。
家の手伝いは何一つやらない。
唯一すすんでするのは、Yシャツの
アイロン掛けくらいのもんだ。

ぼくはヘンドリックの手からケータ
イをひったくって、
電話に出た。

はい。

あたし。

女の子の声だった。

えっと・・。

覚えてないの?
ほら、一年前の夏。
バスの中で一緒になったノゾミだよ。

あぁ、ノゾミちゃん・・。
どうしてるって、相変わらずだよ。
ヘンドリックも元気だよ。

あっ、あの変なクマさんね。

「変」とか言うと、彼、怒るよ。

わかってる。ほら、電話だから・・。

ま、聞こえはしないけど。

そう、応じながら、
ぼくはヘンドリックの方を見た。

車によじ登り、
懸命にフロントガラスに雑巾をかけ
ているヘンドリックが目に飛び込ん
できた。

おい!何してるんだよ!

何?

いや、コッチの話し。
ヘンドリックが車によじ登ってるん
だよ。

大変!

こら!何してるんだよ!(`Э´*)

見りゃーわかるだろ!
キレイにしてるんだよ!(><*)

アホか!
車に登るな!

大変そうね。
電話、ちょっと切るね。

ノゾミちゃんとの通話が途切れたのを
確かめて、
ぼくはヘンドリックの腰を引っつかん
で、車から引きずり降ろした。

何するんだよ!
せっかくキレイにしてやってるのに。

わかった。
いいから、車に登るな。
お前の体重を考えろ。

バカ言え。
先週計ったら、
3キロも減ってたよ。

お前の3キロは、
普通の人の5グラムなんだよ!

屁理屈言うな!
感謝しろよ。
せっかく人がキレイにしてやってるの
に・・。

ほら、もうケータイの音。消えたよ。


     (つづく)







Last updated  Sep 27, 2009 10:06:38 PM
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