ゲニウス・ロキ

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Jul 23, 2009
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カテゴリ:POETRY


海岸に沿って走る
車の中のふたりは
4月のまどろみの中にいた

訊きたいことや
言い出せないことが
ふたりの間には
たくさんあった

優しく
濃厚に
長い時間をかけて
育んだはずの愛が

まるで過ぎ去っていく
車窓の風景のように
ふたりの間を
駆け抜けていった

おかしなもので
ふたりがこうして
出逢ったいきさつを
誰かに説明することなど
できやしなかった

秘密

それは小さな
世界の隙間にできた
穴のようなもので

ぼくらはそれを
世間に恥じるように
きゅっと手を重ね合わせ
唇を重ね合わせ
抱擁で強く強く閉じるように

まぶたを閉じ

傷のような
小さな穴を埋めるための
愛を探した

そこから向こう側の世界へ
ふたりで行ける
そう信じるためのキスを

何度も重ねた合わせた夜

ぼくらの
小さな失敗






Last updated  Jul 26, 2009 01:08:34 AM


カテゴリ:社会



色々とお誘いを受けてるんですが、ここんとこ丸一日休み。という日がございません。よって全てお断りしてるんですが、ただ個人的に8月の初め辺りに予定がうまく折り合えば、中国の青年を連れて、京都案内をしたいと思ってます。

なんでしょうね。ぼくは昔から若くて優秀な青年を見ると、自分の持てる知識と経験を伝授したくなるという性癖がございまして。

好きなんですね。そういう事が。

むろん、ぼくの方が彼らから教わるということも多いわけで、知らないことはぼくの方から彼らに逆に質問して、教えてもらうこともまた多い。

この「楽しみ」っていうやつが、人に理解してもらえるどうかわかりませんが、彼らの若さの中に眠っている可能性を、引き出す楽しみ、これですよ。

例え、いずれどこかで縁が切れてしまったとしても、ぼくの知らない世界で、大きく羽ばたいていって欲しい。本気でそう思っているわけです。

つまり、俺ってそういうヤツなワケさ。(´ー`*)y-゜

       ∞

ところで昨日は皆既日食でしたね。

「見えたとか?見えなかっただとか?」

何だぁ?オネーチャンのパンツの話でもしているか!
と思いきや。月と太陽の話をしているわけです。

いずれにしろ。ロマンであることに変わりはないわけです。(><;)

京都は11時頃でしたよね。ぼくはちょうど烏丸通りを車で北上中でした。思いっきり曇ってたんで、わざわざ停車して、普段あまり見上げない空を、改めてパシッと仰ぎ見ようとは思いませんでしたが。

一瞬。辺りの空気が神々しい雰囲気に包まれたことを、見逃しませんでしたね。

ぼくは月と太陽が重なった瞬間を、心眼で見ていたわけです。(´ー`;)y-゜

南の島にノコノコ出かけて行って見てくる”連中”はですね。いわゆる「天体ショー」としてですな。イベント気分で行くわけですよ。

それは言わばディズニーのアトラクションに参加する感覚の延長線上にあり、別に自然界の現象に対する畏敬の念から行動しているわけじゃない。

「珍しい」「特別」などいうキャッチに乗っかった、非常に浅はかな類(たぐい)の「人種」であるわけですな。

しかしぼくは何もここで「皆既日食ツアー」や「ハンター」と呼ばれる人たちを批判しているわけではありません。

むしろぼくらの住む星が、この大きな宇宙の中にポツねんと浮かぶ、一粒のちっぽけな南京豆の様なツブテだということを知れば、僕らは皆等しく、その南京豆に噛り付く”虫けら”だというわけです。

(´ー`)v






Last updated  Jul 23, 2009 11:23:28 PM
Jul 21, 2009
カテゴリ:哲学



最近よく
他人の欲望に支配される自分について考えることがある

というのも

年を経るごとに
自分の欲望というものが
少なくなってきたと感じるためだ

欲望を失うことは
死を意味することなのだろうか?

他人の欲望に支配されることは
自分を失うことなのだろうか?

失うことは
恐れるべきことなのだろうか?

もっと言うと

「私」とは
何か欲望することで
存在するものなのだろうか?

かつてぼくにも
心底愛した女がいた

その愛が
自分の欲望のみに
突き動かされていたものなのだとしたら
彼女は
ぼくの欲望の対象でしかなく

そのことをもって
それを「愛」という言葉で表現するならば

ぼくは何かの
不吉な影によって

世界と人生と命と
自分自身を裏切ってしまったような
錯覚をおぼえる

無論
ぼくは色んな愛の形を知っている
家族 友人 同僚 隣人
また見知らぬ人々との
一期一会

ただ一つの愛など
この世には存在しない

それゆえに人は

他者と出会おうとするのだろう
例えそこに

まぬかれ得ない
裏切り行為が含まれていたとしても

自分の顔を
鏡の中に映し出すために

人は人を必要とし
そしてそれが
人が人としてこの世に生きていくための

最低限の
条件となるのだ






Last updated  Jul 22, 2009 01:12:40 AM
Jul 18, 2009
カテゴリ:都市




昨日は祇園祭の山鉾巡行がありましたね。親父の会社が四条にあって、オフィスから見えるそうです。

祇園祭(宵山)もぼくは4年程前に、転勤してきた同僚を連れて行ったの最後です。屋台がざっと並んで、人ごみで殆ど歩けない状態になるという、人ごみマニアにタマラナいシチュエーションですが。

俺的にはゴミゴミしてゼンゼン前に進まないので、段々イライラしてきて、前歩いてるヤツのケツを蹴飛ばしたくなりますね。

コラ!立ち止まって鉾とか見んじゃねーよ!(`Э´*)/みたいな。

まー、いいですよ。そのへん、笑。

昨日は仕事帰りに、この7月にショップをオープンさせた知人の店に寄って、祝辞を述べにいきましたが、あいにくお休みだった為、パートナーのアクセサリーデザイナーさん(初対面)と少しお話して帰ってきました。

まー言っちゃナンですが、ぼくは地元の京都に帰ってきてから、幾人かの無名のアーチストたちが自立していく過程を見てきました。決して「全国区」ではありませんが、地元に密着して、活動している人たちです。

この種の生業もまた、メジャーになると、今度は東京?みたいな流れがまだありますが、もっと健やかな機運が生まれることは間違いないですね。キーワードは「地域」です。
TVに代表されるような情報の「中央集権体制」が崩れていくことは、まず間違いありません。
(´ー`;)yー゜






Last updated  Jul 18, 2009 06:05:08 AM
Jul 17, 2009
カテゴリ:日記



なんでもハルビンまで往復で7万ほどでいけるそうですね。ハルビンの女がそう申しておりました。今、中国語を教えてもらってるんですが、こおー。

なんつーんですか?別の意味も含めて、舌の使い方とか?(><;)

いやね、勉強になりますよ。

どうもね。中国の方っていうと、大陸的っていうか、変な言い方をすると「ガサツ」なイメージがあったんですが、非常に繊細ですね。気配りとか神経の使い方とか。「育ち」にもよるんでしょうが女の子はね。

ぼくはあんまり、こまけぇーことは気にしないタチなんで、そのへん、ハルビンの女は非常に助かります。

ぼくの知り合いの京都で8代続く会社の社長がいるんですが、以前、散々、中国の悪口を聞かされたことがあります。まだ大手企業がそんなに進出していない時代に中国でビジネスを展開して、いかにヒドい目にあったかを語るわけですよ。

まあ、俺に言わせりゃお前がアホなだけだ。

ニュースを見れば、くすぶり続けている中国の少数民族問題がまた、暴動によってクローズアップされておりますが、56の民族で構成されたあの広大な土地です。

むしろ国家として巧く統治されていることの方が不思議なくらいです。この中国とどう向き合うか?「彼ら」を知ること意外に早道はありません。

これがぼくが今築こうとしている「チャイナコネクション」の意味なのです。
(´ー`;)y-゜






Last updated  Jul 17, 2009 06:34:08 AM
Jul 13, 2009
カテゴリ:




京都・四条に立地するあるショップの女性オーナーと話ていましたらば、面白い人が美山にお住まいだというので、週末に足しげく通ったことがあります。
実はこのオーナーともこの日が初対面でして、紹介された美山の職人さんも、むろん初対面です。

ぼくは知らない人とでもすぐ仲良くなれるという特技がありまして、ま、いわゆる「人たらし」というやつですか、笑。

その日はビジネスの話をしに行ったわけですが、職人(Kさん)と5、6時間話し込んだあげく、晩飯をご馳走なって帰ってきました。

奥さんからは「用がなくてもまた来てね。昼寝でもしていって頂戴」などと声を掛けて頂き、たまに昼寝しに行きますね。とにかくロケーションが素晴らしいんです。

サラリーマンやってるとこんなところには住めないんで、いずれ自分で会社を立ち上げるつもりでいるんですが、事業計画だけはもう5、6年前から構想してますね。
ぼくにはやりたいことが、たっくさんあるんですよ!わかってくれますよね?人生は一度じゃ足りないくらいです。
(´ー`;)y-゜

ところでマイケル・ジャクソンが亡くなりました。ぼくは何故か、マイケルと聞くとアンディ・ウォーホルを連想してしまうんですが、両者に共通するのは、まず彼らには先行者がいた。

例えばウォーホルならマルセル・デュシャンがいたし、マイケルにはエルビス・プレスリーがいる。彼らの道をならした先駆者たちがいたわけですね。

もう一つはその表現手法が「ポップ」などと評されつつも、反面、その実像の奥にはかなり「イタい」非常にシリアスな生き様が覗かれることです。
”アメリカン・ドリーム”を体現するヒーロー像にはこの種の野蛮性が表裏一体となって付きまとってきますよね。

なぜでしょうか?
この部分を「分析」していくことは、すなわち米国のカルチャーを語る上で欠かせないフレームワームとなるものです。

もう一つはウォーホルのとっての「キャンベルスープ缶」に対置できるものが、マイケルにとっては「MTV」だったということ。つまり、その時代の時流にうまく乗ったということです。

ただ、マイケル・ジャクソンとアンディ・ウォーホルを分ける重要なキーワードはやはり、米国社会に於ける黒人差別があげられるでしょう。
黒人初のアメリカ合衆国大統領・オバマ氏の登場と軌を一にして、マイケルの人生の幕が閉じられたということは、皮肉なことです。






Last updated  Jul 17, 2009 05:57:10 AM
Jul 12, 2009
カテゴリ:家族




午前中は仕事をしていまして、午後から叔父夫婦がうちに寄ってったので、話しをしていました。最近、フリーの時間が纏まって取れなくて、連絡取りたくっても、チョイと失礼している方々が居るんですが、そんな理由もあるのです。

ところで、叔父は肝臓ガンでこの間までしばらく入院していまして、ぼくはこの日、彼に会うなり開口一番。

「入院してたんですって!」

そう訊きましたらば。

「おう、大手術をしてな!」叔父はそう言うなりシャツをたくし上げ、お腹の傷を見せるわけです。

叔母にたしなめられてましたね。

「お父さん、大袈裟や」

叔父の黒かった髪も白髪になり、ゲッソリと痩せた体には、厳しい闘病生活がしのばれました。未だ体もかなりしんどそうで、気力だけ。そんな印象に受け取れましたね。

彼は黒いスーツ羽織り、濃いグラサンをキュウッと掛けると、どん底から這い上がってきた人間だけが持つ特有の、そこはかとない妖気を漂よわせ、帰っていきました。

ガンの手術だけではなくて、度重なる心労と逆境がここ数年のうちに彼をいっぺんに襲っていたわけです。まだ60代です。もう一花も二花も咲かせることができる年齢です。幸あらんことを祈りたいと思います。

       ∞       ∞

で、もう一コの方はめでたい話なんですが、父方のいとこのお姉ちゃんがですね。彼女はバツイチなんですが、この夏結婚することが決まりました。

バツイチつったってイマドキ珍しくもありませんが、この従姉妹のお姉ちゃんの最初の旦那さんというのが、実はホモだったんですね、笑。

それが結婚してもしばらく気づかなかったらしいんですよ。

どーも「夜の営業活動がない!」「変だ!(><;)」ということは何となく思っていたらしいんですが、田舎の女のコなんで、そんなもんだと-笑。

とゆーか、成人してからぼくも何度か彼女と喋ったことがありますが、完全に天然ですよ。このお姉ちゃん-笑。

2年くらい前に「京都の男前紹介してくんない?」言われたことがあるんですが、その理由が「だってこっちの男(九州)はイモばっかなんだモン(`Э´;)/」






Last updated  Jul 12, 2009 08:59:03 PM
Jul 11, 2009
カテゴリ:日記





朝から所用で出かけていたんですが、なんだかくうきは、もう。夏モード全開って感じで気持ちがいいっすね。梅雨入りだとか、明けただとか。そのへん。どうでもいい感じがします。昔から日本人は肌で。いやむしろハートで季節を感じていたんですよ。(´ー`)v

ところで。電車に乗ってましたらば、フィギュアスケートの真央ちゃん似のちょーアツい美少女がツカツカと乗ってきて、ぼくの目の前の座席に座ったわけです。ほかでもなく・・。
(><;)

んで、しばらくぼくは見つめていたわけですよ。彼女を。たまに見かけますよね。腕組みした小汚いないオッサンが、電車の中で調子づいて女子をそれと無く「視姦」してる場面。

「見すぎだろっ!オマエ!(`Э´゛)/」

みたいな。

これが怖いモン知らずの田舎のヤンキー同士だと。

「ナニ見てんだ、コラーーっ!!」
「テメェやんのか!?・・・。止めといた方がいいと思うけど?(・_・;)」

みたいなことになるわけです。

ところがこの類のオッサンは「美」を(?)目の前にして静かに佇んでいる”だけ”ですから他人の縄張りを侵すなどという「悪意」はないのです。
100%キモいだけで実害は殆どありません。

「おい、ポッケにジャリ銭とか、入ってんじゃねーのか?飛んでみ。アン?」

みたいな展開はないですから。安心していいわけです。

とは言えあんまりエロい目でジロジロ見られると「何なの?」という心配が急に出てきますよね。オオカミを見つけちゃったアルパカみたいに(女の子は)頭の上の耳をキュッと立て、周辺を見渡しソワソワする感じです。

お陰でぼくも今日は2駅乗り越しました!(*^^*)b






Last updated  Jul 11, 2009 01:57:49 PM
Jul 4, 2009
カテゴリ:B級科学




オネーチャンの法則というのがありますね。たとえば職場で、一人の女の子に仕事の行きがかり上「手取り足取り」かまっていると、必ず別の女子がプリプリしながらやってきて。

「悪いんだけど、ココ間違ってるから直しといてよね(`Э´*)/」

バン!(←書類を机に叩きつける音(><;)」

こうくるわけです。


さらに!性悪女になるとこう畳み掛けてきます。

「アンタさ、ちょいちょい間違ってるの。アタイがコソっと、直しておいて”あげてるの”知ってるワケ?」

成る程。ミスター・パーフェクトと呼ばれる社内のぼくの評価も、すべて彼女が”アシスト”してくれていたわけです。←(><*)

考えてみればメンドクサイ話ですよね。

別にオネーチャンに限らず。組織内の人間力学には一定のパターンがあります。こういう言動をすると、必ずこういう反応が返ってくる、ってな。まるで化学反応のようなおぞましき法則性です。

時々。オマエらは機械か!と、一言いってやりたくなる時すらありますが。哲学者デカルトは偉かった。モダンにおける人間像を非常に正しく言い当てたもんだと思いますね。

ところで、(元?タレントで人気がある)東国原知事が衆院選挙に出るとか出ないとか報道されてます。

宮崎知事選で自ら掲げたマニフェスト(公約)すらまともに果たしていない無能な人間が「自民党総裁」などと言い出した時点で”狂ってる”としか言いようがないわけですが。

せめて公約をきちんと果たすか、県民に託された任期をつとめるか、ケジメを付けてから国政の場へ出て行きたいならゆけば良いんであって、国民は東国原さんの政策を支持しているわけではありませんよ。

お笑い芸人だった人が、必死こいて政治行政の勉強をして”あんなやつ”でも「更生」できるのか。これが彼を支える県民が支持した本質的な理由ですよ。









Last updated  Jul 11, 2009 09:18:07 PM
Jun 29, 2009
カテゴリ:NOVEL






こんばんは、皆さん如何お過ごしでしょうか。ぼくの方は、今日はですね、仕事帰りにジムに寄ってサクっと汗を流してきました。

まー、何でしょう。炎天下の元、ジメジメした汗を流すのと、ガンガンに体を動かして。スプライトの様な汗を流すのと、同じ汗でも、何故にこうも違うものかなのか?

軋むベットの上で~♪優しさ持ちより~♪きつーく・・。←この種のベットの上の愛の営みにおける、恋人同士の心に通い合う汗も、また、この例外ではありませんね。

一体人間には、何種類の汗があるというのでしょうか!(><;)


閑話休題。

ちょっと某所でアップしたNOVELを、以下に貼りつけておきたいと思います。
(´ー`;)yー゜

    * *



「さっちゃんの卵」

その街に着いたとき、ぼくらは人々の言葉が全く理解できないことに気づいた。微妙なイントネーションからしてどこか違うのだ。

ロートアイアンで装飾された看板のショールームに入ると、陽気な笑い声をあげる人々で込み合い。シェード付きのランプが取り付けられた入り口で立ち止まっていると、コニーさんの方から話しかけてきた。

彼は面長の七面鳥で、鳩の卵を売っている。

コニーさんは作業用の白手袋を脱ぎ捨てると、ぼくらに近づいてきた。顔は笑っているが目は笑っていない。

「やあ!」

コニーさんはぼくらを見つけると手を振った。何しろ室内はおそろしく込み合っている。5メートル進むのに3分もかかる有様だ。

「すごい盛況ですね!」

ぼくは思わず声を張り上げた。

       ∞

「紹介しますよ」

ぼくは連れてきた鳩の手を引っ張って、コニーさんの前に押し出した。

「名前はなんていうの?」
「この子ね、少し知恵が遅れてるんですよ」
「卵は産めるのかい?」
「バンバン産みますよ!」
「そりゃー良かった。うちは実力主義だからね」
「さっちゃん。これから世話になるオーナーのコニーさんだ。挨拶しなさい」

ぼくは唇を尖らし、さっちゃんに厳しい調子で言った・

「サチコです。よろしく」

さっちゃんはペコリと頭を90度に下げて、そのまま30秒ほど固まってしまった。

「さっちゃん、もういいよ。頭を上げなさい」
「さっちゃんもういいよ、頭を上げなさい」

彼女は90度に折り曲げた体を戻すと、ぼくの言葉をそのまま反復した。

「おいおい、大丈夫かね?」

コニーさんは上着のポケットからハンカチを取り出し、額に浮き上がった汗をぬぐった。
さっちゃんは、大きなクリクリとした目でコニーさんを見つめると。

「おいおい、大丈夫かね」と。

また例のごとく、彼の言葉を繰り返した。
コニーさんとぼくは目を合わせ、思わず苦笑した。

       ∞

「ここがこれから君が働くことになる仕事場だ。いいね」

コニーさんはさっちゃんの肩を抱き。指先であちこちを指し示しながら工場の中のことを、丁寧に説明していった。どうせ、さっちゃんにはその言葉の意味や、難しいことは理解できないだろうが、コニーさんは必死だった。

何しろ需要に供給が追いつかず、猫の手も借りたいほど忙しいのだ。
そして従業員の鳩たちは、色んな地方から集められ、会社が用意した寮から通うものが殆どだ。

中には外国から来ている鳩もたくさんいて、そこで飛び交う言葉はさながら国際色豊かな交易都市の様相を呈していた。そしてバイヤーの中には、地球の裏側から出張して来るものも少なくない。そのコストを差し引いても、引く手あまたなのが、コニーさんの商品なのだ。

成るほどここで話されている言葉の意味がわからないわけだ。むろん従業員同士のコミュニケーションも、きっとままならないだろう。この職場に紛れ込めば、知恵遅れのさっちゃんも、彼らと同等の扱いを受けられる筈だ。

仕事は至って簡単。卵を産めば良いだけの話しなのだから。

ぼくはコニーさんがさっちゃんに工場の説明をしている間。表へ出て煙草を一服吹かした。煙ばかりが空へ抜けていき。あまり味がしなかった。

このままコニーさんとさっちゃんに挨拶しないで帰ろうかと思った。さっちゃんはどう思うだろう?

ぼくがさっちゃんに「バイバイ」って言うと、彼女はいつもの様に「バイバイ」とぼくの言葉を反復するに違いない。
「お別れだよ」と言うと、彼女はいつもの笑顔で「お別れだよ」と、ぼくの言葉を繰り返すに違いない。

そのままぼくがさっちゃんに背を向け、遠ざかって行けば、彼女はいつもと違う何かを察知して、ぼくの背中を追いかけてくるだろうか?

煙草の火をもみ消し、振り返ると工場の入り口で”談笑”するさっちゃんとコニーさんの姿が、ぼくの目頭から不意に溢れ出した熱いものの中で滲んで。歪んで見えたんだ。






Last updated  Jun 29, 2009 11:55:44 PM

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