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カテゴリ:文学文の読解
次は、『川とノリオ』(いぬい とみこ)の「また秋」の読解です。
「また秋」は、次のような文章です。 ・・・・・・・・・・・・ また秋 あらしが過ぎた。 川ぷっちの雑草のしげみで、こおろが昼間も、りりりりの鳴いた。 すすきがまた、銀色の旗をふり、父ちゃんが戦地から帰ってきた。 父ちゃんは、小さな箱だった。 じいちゃんが、う、うっと、キセルをかんだ、。 川が、さらさらと歌っていた。 ・・・・・・K・Aさんの読解(1時間授業の中の5~6分の中で書いたもの・原文のまま)・・・・ * 父ちゃんが、戦争に行ってから、1年がたった。ノリオもあれから、大きくなった。 * ノリオは、じいちゃんが「父ちゃんが、帰ってきたぞ。」というので、よろこんで、父ちゃんに会いに行った。ノリオは、戦争に行く前の父ちゃんをまったく知らなかった。 * 父ちゃんの所に行って見れば、父ちゃんは、足も手も顔もない小さい白い箱だった。 ノリオは不思議に思った。どうして、箱が父ゃんなんだろう。ノリオは、父ちゃんが死んでしまったことを自覚できなかった。 * じいちゃんは、母ちゃんも父ちゃんも死なされて、くやしいかった。くやしくて くしゃしくて 何かをドンドンたたいて、思いっきり泣きたかった。けれど、ノリオがびっくりしてしますので、できなかった。 *ノリオガ、不思議で、また、不安な気持ちになった時、ふと、川が、さらさら歌って、ノリオの不安を流してくれた。ノリオにやさしくしてくれた。 この時、川は、ノリオを安心させてくれる母ちゃんの代わりまでとはいかないが、そんな存在になったかもしれない。 ・・・・・・・・・・・・・・・ 読解力低下の中で、このような読解指導がされています。 これをお読みになられて、この子の読解や読解力低下の問題について、どうお感じになられましたか。 このような読解は、殆ど全ての子どもたちが、しております。 選ばれた数人の子どもだけではないのです。 なお、この実践報告は、市立小学校でやられたものです。 詳しくは、下記の本で。 ランキングに参加しています。 よろしかったらくりっくをお願いします。
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箱・・・の解釈について、自分の学級ではここまで読んだ子はいなかったと思います。
じいちゃんが、う、うっと、キセルをかんだ・・・では、今後のノリオと2人だけの生活への不安、自分がすべてしなければならない現実への憤りなどをいった子もいましたが。 上記実践について、子どもさんも立派ですが、やはり指導者の力量を感じました。恥ずかしいことですが、自分はまだまだです。 先日「表現読み、6年」を購入させていただきました。勉強します。 (2005.11.19 06:18:58)
がおちゃん2000さん
>箱・・・の解釈について、自分の学級ではここまで読んだ子はいなかったと思います。 コメント、ありがとうございます。 >じいちゃんが、う、うっと、キセルをかんだ・・・では、今後のノリオと2人だけの生活への不安、自分がすべてしなければならない現実への憤りなどをいった子もいましたが。 すばらしいではありませんか。子どもさんが、現実の生活と結び付けて、読んでいるのですね。がおちゃん2000さんの普段の指導がそこに表われているのですね。これが、本当の読みですね。 >上記実践について、子どもさんも立派ですが、やはり指導者の力量を感じました。恥ずかしいことですが、自分はまだまだです。 そんな事はありません。これの授業者は、50歳前後の女性教員ですが、がおちゃん2000さん 先生は、お若いようですので、これから、すばらしい実践ができますね。楽しみですね。期待しております。 >先日「表現読み、6年」を購入させていただきました。勉強します。 ----- お読みになられてのご感想、ご意見などをどしどし、厳しいく、遠慮ないものをいただけるとありがいです。 それが、この教育荒廃を改善していく力になるのですからね。 普通の大人が読んで、「ああ、学校で教育がされているぞ」 と言われるような実践をしたいですね。 (2005.11.19 06:41:47)
がおちゃん2000さん
>箱・・・の解釈について、自分の学級ではここまで読んだ子はいなかったと思います。 >じいちゃんが、う、うっと、キセルをかんだ・・・では、今後のノリオと2人だけの生活への不安、自分がすべてしなければならない現実への憤りなどをいった子もいましたが。 >上記実践について、子どもさんも立派ですが、やはり指導者の力量を感じました。恥ずかしいことですが、自分はまだまだです。 >先日「表現読み、6年」を購入させていただきました。勉強します。 ----- (続きです) これは、市の官制研究会で研究を始め、約1年間、界として、研究を続けてものです。 はじめ、この作品は難しいので、子どもの発言が、あるかどうかを心配だという声が出ました。 やってみると、上記のような活発な発表がありました。正直の所、この作品でこれだけ子どもたちが深く読解をしたのは、まだ見ていません。 次に、この作品は、人生の大切な事を詩的に表現している。表現よみする時には、詩を読むときの方法も頭に置いて音声化をさせる指導が必要であるという事も確認されました。ですから、この本のCDの子どもと教師のよみは、それを頭においてしています。 次にこの「川」をどのように捉えるか、それがこの作品の読解でポイントになるということも確認されました。 「永久の川」「悠久の川」などと言い切って、終わりにするのではなく、川とノリオの関係で場面場面を読解していくという事が確認されました。そのことは、本の中で、子どもの発言、書き出したことなどに出ています。 (2005.11.19 08:33:44) |