2008/06/15(日)08:33
読み聞かせの工夫・『音色』(6) 田村 利樹
絵を書くとき、晴れた空は、晴れた明るい空色で普通は、描きますね。
曇って雨が、降っている時は、暗い感じの色で描きますね。
それと同じように、物語の文章を読むときには、
その内容にあった声を出して読みたくなるのですね。
ここにも「内容に合った声」が出てきました。
矢張り、読解が決めてですね。
4年生作品で、『白いぼうし』が、あります。
「これは、レモンのにおいですか。」で始まる物語です。
そう言うのは、ほりばたで乗せたお客の紳士です。
さて、この紳士の話しかけ、どのような音色で読むか、
これが、この物語をよむ、決定的なカギになります。
この後の物語の展開の中での紳士は、
おかあさんに大切に育てられ、今もおかあさんの愛情をいっぱいに受け、
おかあさんとは、別の地で、働いている男性のようです。
ですから、明るい、暖かい、きびきびした音色で音声化したいものですね。
これを、暗い、重々しい音色で音声化したら、
この物語のテーマは、聞き手には、伝わらないでしょうね。
それでも、物語のスジの展開は、分かります。
しかし、物語をよむ・聴く楽しみは、スジの展開だけではなく、
一語・一文っから伝わってくる情感ですから、音色も、大切ですね。
5年生に宮沢賢治の『雪わたり』があります。
雪がすっかりこおって大理石よりもかたくなり、
空も冷たいなめらかな青い石の板でできているらしいのです。
で、始まる物語です。
この冒頭、どのような音色でよめばいいかです。
これをよんで見ますと。音色に加えて、よみの速さも重要なことが、分かってきますね。
ゆったりした読みですと、この文の内容は、情感化できないからですね。
さて、音色、透き通るような透明感のある声でよめると、いいですね。
それを文が、要求していますから。
(続きます。)
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