私の黒歴史60
東京出張にかこつけて、こうやって本部道場でいろいろなクラスを見学させてもらった。ある時、伊藤先生あてに本部から手紙が届いた。「おい、見附のおにいちゃん、本部から手紙が来てさ~。」「先生、それってもう来るなとか、そういうことですか?」「いや、何言ってんだよ。逆、逆!」「?」「今度、本部で指導部会を開くんでこちらの指導者を参加させてくださいってさ。」「じゃあ、先生、行かれるんですか?」「いやあ、もう世代が違う。もう君ら若いもんの時代だよ。本部の先生だってみんなもう若い人だけだろ?」「まあ、30代~40代くらいだと思います。」「もう、私の時代じゃない。君とN君で行ってくればいいよ。」「でも、私、指導者じゃありませんけど・・・・。」「ばっかだな~おにいちゃん、あんたが本部に行ったから、こうやって招待状が来たんらねっか。」「はあ。」「はあ、じゃなくて、堂々と自信もっていけばいいこってね。」「な、N君、N君も一緒に行って、みんなをびっくりさせてやれ。」「はい!」思わずN師範を二度見した。今まで、私が本部へ一緒に行こうと誘ってもなんとなく煮え切らなかったN師範が、今日は目をキラキラさせている。どういう心境の変化なのか?「N君、一緒に行って、本部の先生方の度肝を抜いてこい!」「はい!」またN師範が元気よく返事をした。これはおかしい。こんなに前向きで、目をキラキラさせたN師範を見るのは初めてだ。あとで知ることになるのだが、N師範は、別の意味で本部の先生の度肝を抜くことになる。この男、やはりただ者ではなかった。