たしか 一番上の子がまだお腹の中にいた頃だったかな
近所の100均へ買い物に行ったときの話・・・・
レジの近くでひっくり返って泣きわめく一人の男の子がいた
見たところ まだ3歳くらいじゃないかな
その手には しっかりと汽車のプラモデルが握りしめられている
「買って~~~!!」
と泣き叫ぶ声が店中に響いていた
保護者はいないのか?
と その子の叫び訴える声の先を見ると
レジの前に眼鏡をかけた小柄なお母さんが毅然と立っていた
そのとき店内には10人位のお客さんがいたと記憶しているが
ほとんどのお客さんは 毅然と立ちつくす母と だだをこねる息子の動きに目を奪われていた
「買ってやればいいのに」
「うるさいな」
「この先どうするんだろう?」
今にもそんな声が聞こえてきそうなほどの
お客さん達の鋭い視線を一身に浴びながら
そのお母さんは息子に向かってこう諭した
「お家にあるから買わないよ?もし買ってしまったら 他のおもちゃを捨てなくちゃいけないよ?
それに 今日は買うってお約束してないでしょう?」
それでもだだをこね続ける息子・・・
買ってあげちゃうのかなぁ・・・ と そのとき私は思った
しかし 彼女は負けなかった!
遠くで見守っていた私の予想を裏切り
だだをこねる子供の手から プラモデルを取り上げ きちんと元の棚に戻し 会計をすませると
彼女はさっと息子を担ぎ上げ 店から消えていった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後 晩ご飯の食材を買いに
私は 隣接しているスーパーに向かった
ふとベンチを見ると
先ほどのお母さんと男の子が二人並んでアイスを食べていた
息子はまだしゃくり上げて泣いているが それでも なにか納得した様子でお母さんの話をうんうんと聞きながらアイスを食べていた
お母さんの表情も先ほど見せたのとはうってかわって穏やかで
泣きながらアイスを食べる息子を見ながら
「よく我慢できたね」
と言っているのが 彼女の口の動きから読みとることが出来た
それだけ見て
私は胸がいっぱいになってしまった
もし 私が彼女と同じ立場に置かれたとしたら・・・
買うことを我慢できただろうか?
だだをこねる子供と 周囲の目線に負けはしなかっただろうか?
買わずにいられたとしても 最後まで怒りに怒って フォローをすることなんか考えなかったのではなかろうか?
そんな迷いだらけの私と違って
彼女は 子供からも 周りの目からも 自分からも 逃げなかった!
なんて すばらしい親なんだろう! って 心底思った
当時(も)妊婦だったせいもあるのか 買い物に行かなくてはならないというのに なぜか涙が出てきて止まらなくなってしまって困ったっけ;
あれからもう7年も経つけれど
今でもあのお母さんの姿がしっかりと記憶に焼き付いている
そして 何かあるごとにその姿を思い出しては
私も あのお母さんのような凛とした親でありたいと思いながら
3人の子供達と向かい合うの日々を送るのであった