第57代アメリカ大統領就任演説の感想
1月21日、第57代アメリカ大統領就任式典が行われた。式典に集まった人数はおよそ80万人と報じられており、2009年の180万と較べると大幅な減少だった。私はストリーム映像でスピーチを聞いたのだが、肝心なところで途中何度も途切れてしまい、アクセスが集中しすぎているのだろうと、歯がゆく感じた。ちなみに、ファーストレーディ、ミシェルさんのコートも控えめかつモダンなデザインで、格好良く着こなしていた。(ネット上では肝心のスピーチより、ミシェルさんの服のほうが話題に上っているかも?)今回のスピーチは、前回のような熱狂につつまれるというものではなかったが、内容的にはむしろ非常に精錬されており、リアリスティックに大統領としての課題をとらえているという感じがした。異質な社会との対話をすすめ、軍事力に頼らない平和な社会を構築する必要があること、民主主義とは神によって与えられるだけではなく、市民自ら行動し獲得し作り上げていくのだという姿勢、アメリカの理想に対する問いかけなど、第二期目はオバマらしい理想を存分に語ってくれた気がする。一期目はオバマが初めてのアフリカ系アメリカ人として大統領に選ばれたということだけで十分だったのかもしれない。人々は彼を選出したことにアメリカ民主主義の誇りを感じただろうし、肌の色や出自、人種に関係なくチャンスを得られるアメリカという国に酔っていただろう。一方、二期目は、彼自身の夢、理想、哲学によって活躍することが期待されているし、実際にその理想を実施していかなければならない。人々は(いろいろ言われているが)彼を支持し、大統領として選んだ。銃規制や軍縮、性選択の権利、マーケットに対する規制など、難しいテーマにも切り込もうとしている。アメリカ財政の安定、経済回復、アフガニスタン問題などなど、これからの課題は山ほどある。彼に投票した何千万人もの支持者のことを忘れず、精進してもらいたいと思う。2013年1月21日、オバマ大統領スピーチ(一部抜粋)本文 The Telegraph UK; ビデオ Washington Post What makes us exceptional ? what makes us American ? is our allegiance to an idea, articulated in a declaration made more than two centuries ago: “We hold these truths to be self-evident, that all men are created equal, that they are endowed by their Creator with certain unalienable rights, that among these are Life, Liberty, and the pursuit of Happiness.” 我々を特別なものにし、アメリカ人であると言える理由、それは、200年も前に提示された宣言に対する忠誠である-我々は、以下の真実を自明のこととしてとらえる。すなわちすべての人々は平等に作られ、神によって不変の権利を与えられている-その権利の中には生命、自由、幸福を追求する権利がある・・・For history tells us that while these truths may be self-evident, they have never been self-executing; that while freedom is a gift from God, it must be secured by His people here on Earth. 歴史によってそのようば真実は自明のこととされてきたけれども、その真実が自分自身で成り立つことはなかった-すなわち自由は神からの贈り物だが、それのこと自体は、地球上の彼の人々によって守られなければならないのだ。We are true to our creed when a little girl born into the bleakest poverty knows that she has the same chance to succeed as anybody else, because she is an American, she is free, and she is equal, not just in the eyes of God but also in our own. 極貧の家庭に生まれた少女であっても、アメリカ人であるのだから、他の誰もと同じ成功のチャンスを得ることができて、自由で、そして平等である時、それは神の前においてだけではなく、我々自身の前においてもそうでなければならないのだが、そのとき、私たちは我々の真理に対して忠実であると言える。The oath I have sworn before you today..., is not so different from the pledge we all make to the flag that waves above and that fills our hearts with pride. They are the words of citizens, and they represent our greatest hope. You and I, as citizens, have the power to set this country’s course. ... have the obligation to shape the debates of our time ,not only with the votes we cast,but with the voices we lift in defense of our most ancient values and enduring ideals. 私があなた方の前で誓った忠誠は、我々の上に揺れて誇りで胸をいっぱいにする星条旗に対して私たち皆が行う忠誠と何ら変わるものではない。これは市民の言葉であり、我々の希望を表しているのだ。私たちは市民として、この社会の進路を決める力がある...選挙に票を投じるだけではなくて、アメリカ人としての価値感と理想を守るために上げてきた声によって、我々の議論を形作っていく義務があるのだ...そのほかWe, the people, still believe that our obligations as Americans are not just to ourselves, but to all posterity. We will respond to the threat of climate change, knowing that the failure to do so would betray our children and future generations.私たちは、自分たちがアメリカ人であることの義務は我々に対してだけでなく、我々の子孫に対してもそうなのだと信じる。我々は気候変動の脅威に対して立ち向かうし、その失敗は、我々の子どもたちと将来の世代に対する裏切りであると考える。(注。betrayと、非常に厳しい表現をされています)...We, the people, still believe that enduring security and lasting peace do not require perpetual war.…Our citizens, seared by the memory of those we have lost, know too well the price that is paid for liberty. 私たちは、安全の確保と平和を守るために常に戦争をし続ける必要がないことを信じる。失った者の思い出によって焼き焦がされた我々の市民たちは、自由のために払った代償の大きさをあまりにもよく知っている。...