プログレッシヴ・ロックの歴史的名盤、『IN THE COURT OF THE CRIMSON KING』(クリムゾン・キングの宮殿)発表時のメンバーだった、イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルスが【
キング・クリムゾン】脱退後に制作し発表した1970年の作品です。
“優れた音楽が売れるとは限らない”そんな典型的な作品で、売り上げは芳しくなかったようですが、
牧歌的な味わいを持った素晴らしいアルバムです。キング・クリムゾンのセカンド・アルバム『ポセイドンのめざめ』と姉妹作とも言われています。
ピンクのフィルターを架けられたアルバムのポートレートが音を物語っている。イアン・マクドナルドとマイケル・ジャイルスの彼女らしき女性が一緒に映っていて、ごく普通の幸せなカップルぶりが見てとれます。
緊迫感や緊張感とは無縁な幸福感に満ちたアルバムです。
1曲目の「SUITE」からジャズ的な軽快なドラミングに、クラシカルで幻想的な雰囲気のフルートの音色が美しい。ヴォーカルは弱々しく頼りないが、サウンド面が際だっているのでこれで良いのではないかな。自己主張が強いヴォーカルよりも叙情的な側面は強調されると思うし……
「FLIGHT OF THE IBIS」はフォーク調だけど、肩の力が抜ける
緩やかな曲調が癒しへと誘います。フッと一日の疲れがとれるような。。。。。
「IS SHE WAITING」も牧歌的でフォーク調ですが、より切ないラブソングのような雰囲気です。
「TOMORROW’S PEOPLE-THE CHILDREN OF TODAY」は7分以上の大作ですが、軽快なリズムの中にもフルートとサックスがリード楽器として主張していて楽しめます。
組曲形式の「BIRDMAN」は一番プログレッシッブかもしれないけど、叙情詩的な展開で聴き応えがあります。
ヴォーカルは物語的で暖かく、間奏はジャズ的なベースラインにサックスが鳴り響いている。最終章はオーケストラ的な展開でドラマチック、
壮大なスケール感と荘厳さで締めくくっている。
イアン・マクドナルドという人は、演奏出来る楽器がギター・オルガン・ピアノ・フルート・サックスとあり、かなりのマルチ・プレイヤーです。どれも繊細な響きを表現出来る才能の持ち主です。そのイアン・マクドナルドはアメリカンハードロック寄りの【
フォリナー】の結成時のメンバーだったというのがロック界の7不思議のひとつです。(私だけかな?そう思っているのは……)
なおこのアルバムには【
スティーヴ・ウインウッド】がオルガンとピアノ演奏で参加しているのも興味を誘います。
イアン・マクドナルドは【
スティーヴ・ハケット&フレンズ】のメンバーとして1996年に来日し、クリムゾン時代の「THE COURT OF THE CRIMSON KING」と「I TALK TO THE WIND」の2曲を演奏しています。
名作『クリムゾン・キングの宮殿』のシンフォニックな面の大部分はイアン・マクドナルドが担っていたんですかね。
『McDONALD&GILES』これはフォークからクラシック、ジャズまで幅広い音楽ファンに薦められる名作だと思います。
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