緑の木々を背景に,水辺にたたずむレンガ造りの建物。ヨーロッパの城か神殿の遺跡を思わせる雰囲気を漂わせている。鹿児島県の北端に位置する伊佐市大口地区に流れる川内川(せんだいかわ)がこれをせき止めて造られた曽木第2発電所。
昭和40年、鶴田ダムの完成で周辺の集落とともに人造湖・大鶴潮の湖底に「曽木第2発電所」は沈んだ。夏場は洪水に備えて鶴田ダムの水位を下げる5月から9月ごろにかけてその姿を現す。
発電所の1.5キロ上流に「東洋のナイアガラ」と呼ばれる曽木の滝がある。その豊富な水量に着目した,日本窒素肥料(現・チッソ)を中核とする日窒コンツェルンの創始者、野口遵(のぐちしたがう 1873年 - 1944年)によって明治41年に曽木第2発電所は建設された。高さ約17メートル,幅約40。発電量は当時最大級の6700キロワット。日本の化学工業発展の出発点ともいえる発電所でありその歴史的価値から,平成18年に国の登録有形文化財に指定された。
☆住所:鹿児島県伊佐市大口市宮人628
・電車 肥薩おれんじ鉄道水俣駅から南国交通バス大口行きで1時間、大口バスセンター下車、タクシーで15分
・車 九州自動車道栗野ICから国道268号を経由し、国道267号を薩摩川内市方面へ19km
・駐車場 あり 150台 無料
◆野口 遵(のぐち したがう、1873年7月26日 - 1944年1月15日)は、実業家。日本窒素肥料(現・チッソ)を中核とする日窒コンツェルンを一代で築いた。「電気化学工業の父」や「朝鮮半島の事業王」などと称された。チッソの他にも、旭化成、積水化学工業、積水ハウス、信越化学工業の実質的な創業者でもある。
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