阿蘇ファームランド・ドームハウス,震度6強に無傷
熊本地震で被災した阿蘇ファームランド(熊本県南阿蘇村河陽)の宿泊施設ドームハウス約450棟が震度6強の揺れにも無傷だった。この施設は,北川勝幸社長(72)の「お菓子の家への憧れ」から生まれた世界初の特殊発泡スチロールの家。その素材やドームの形状は安全性に優れ,現在は避難所として被災住民に安心して利用されている。
ファームランドは4月16日の本震で一部のレストランや露天風呂,水道管などが壊れ,現在も休業が続いている。だが,開業から6年後の2001年に宿泊施設として完成したドームは「室内のテレビが倒れたり,時計が落ちたりした程度で,窓ガラスも割れず,建物も壊れなかった」という。
いま,地震の被災者の避難所として,ドーム約200棟に550人が利用しているが,「プライバシーが守られ,広いので快適」「あの揺れに耐えた建物なので安心して寝られる」と好評。
トイレや風呂も完備したドームは,特殊発泡スチロールの壁(重さ約80キロ,厚さ20センチ)10枚を組んで造り上げるため,軽くて揺れに強いという。柱や梁(はり)がなく,約40平方メートルの円形の室内は広々と使える。
考案したのは以前,菓子製造会社を経営していた北川社長。「楽しく泊まってほしくて,お菓子の家を思い付いた。昔は皆,お菓子の家に住みたいと憧れたでしょう」。丸いまんじゅうの中のあんこをくりぬいた形をイメージした。
設置に当たり,最も苦労したのが国の認定。強度や耐震性などの実証実験を重ね,建築資材と認められていなかった特殊発泡スチロールは20014,国土交通相から建造物構造材として認められた。
北川社長は「瓦も不要で上部が丸いので,台風にも強い。今回の地震でも証明できたドームの防災機能の高さが広まってほしい」と話している。
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住所:〒869-1404熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽5579-3
アクセス: JR赤水駅より車で約7分,くまもと空港より車で約40分,九州道熊本ICより車で約50分
駐車場: 有り 3000台(バス150台)無料 予約不要
阿蘇ファームランド(阿蘇ファームヴィレッジ)