<熊本城>石垣修復費用354億円 文化庁試算
熊本地震で被害を受けた国指定特別史跡の熊本城の再建には10年以上かかるとも言われる。熊本城の崩落した石垣の修復には,文化庁の試算によると費用約354億円を要する。文化庁の試算では,石垣の撤去や積み直しなどの作業に伴って,1平方メートル当たり150万円かかると見込んでいる。
熊本市熊本城総合事務所によると,熊本城の全石垣約7万9000平方メートルのうち,50カ所の約2万3600平方メートルで石垣が崩落したり,ずれたりした。
なお,瓦が落下した天守閣や倒れた塀などはまだ被害の全容が分かっておらず、修復費用の試算はされていないとい
>>>熊本城,石垣撤去が本格化「道のりは長い」
A drone operated by a Yomiuri Shimbun photographer films the severely damaged castle. [Released April 25]
---
>>>熊本城藩主・細川様も地震恐れる-「危なくて本丸に居れない…」
熊本大文学部付属永青文庫研究センターの調べによると,細川家3代目の細川忠利(1586~1641)は,肥後入国の翌年に発生した地震を「危ない」と感じ, 熊本城の本丸から避難していた。
江戸時代の古記録を,藩がテーマごとにまとめた「部分御旧記[ぶわけごきゅうき]」によると,熊本城は寛永10(1633)年,地震と大雨で大きな被害を受けた。研究センターは地震や火事、落雷などについてまとめた「災変部」に着目。同年5月11日,忠利が家臣の狩野是斎[ぜさい]にあてて、以下のような書状を残して いる(研究センター訳)。
「熊本地震のことですが,少しずつ度々揺れていたけれども,今ほどは揺れも遠のいています。危なくて、庭のない本丸には居れません。本丸には,二畳敷(一間四方)程の庭もなく、四方が高石垣で、そのうえ櫓、天守が結構危ないのです」「江戸に参勤して、上様(徳川家 光)のお許しを得て,地震屋を備えた庭を造らなければ、本丸には居れません。このことを、柳生宗矩[やぎゅうむねのり]殿(家光側近)へ伝えるつもりで す」。
ほかの忠利の書状からは「本丸には居ようもなくて花畠屋敷に入っている」「二の丸に下って住んでいる」など藩主の“避難所”が判明。 「熊本城中、家ばかりで明地(空き地)がない」ともある。
>>>熊本城修復 期間10年超,費用最大200億円か
城造りの名手として知られる戦国武将,加藤清正(1562〜1611)が築城した熊本市の熊本城。熊本県民の精神的な支えとなってきた城は、熊本地震に よって,天守閣は損傷し,「武者返し」と呼ばれる曲線美を持つ石垣も崩壊,復旧には10年以上の歳月が必要とみられている。
熊本城は,今回の地震ですべての重要文化財に何らかの被害があった。長塀(ながべい)(全長242メートル)は約100メートルにわたって倒れ,東十八間櫓(ひがしじゅうはちけんやぐら)や五間櫓(ごけんやぐら),不開門(あかずのもん)などが倒壊。宇土櫓も本体部分は大きな損傷がなかったが,続櫓(つづきやぐら)が倒壊した。石垣の崩壊は20カ所以上で確認された。