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二人が院生室に着くと、戻っていた暁が振り向いて口を尖らせた。
「なんだよ二人して、俺をのけ者しやがって。」 そんな暁に対して何も答えず、圭は無言で自分の席に戻ると黙々と荷物を片付け、今日はもう帰ると言って部屋を出て行った。終始暁とは目を合わせなかった。 「・・・なんかあったのか?」 暁は訝しげに衛を見上げた。衛はカフェで圭に話したことを暁に話した。 「なんで、そんなこと・・・」 暁は明らかに動揺した様子で目を泳がせた。 「何か違ったか?」 衛は少し冷ややかな目線を暁に送ると、続けた。 「つきまとわれて困るのはお前なんだろう?男だろうが女だろうが、初めての相手は特別に思うに決まってるだろうが。自分じゃ言いにくいだろうと思って配慮してやったつもりだけど?」 「そりゃそうなんだけど・・・」 暁は衛に背を向けると、机に肘をついて頭を抱えた。衛は眼鏡をクイッと上げ、腕を組んで暁の背中を見下ろした。 「・・・ニシハラのことが気に入ったのか?」 暁はそのままの姿勢で頭をガシガシかくと、「わかんね」とつぶやいて、立ち上がった。 「おい。」 そのまま部屋を出て行こうとする暁に、衛が声をかけた。暁は、衛を一瞬振り向くと、少し考えてから、ありがとなと言ってドアを閉めた --- 君が思うほど僕は君のこと好きじゃない・22 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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