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ラッコの映画生活

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2008.02.04
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カテゴリ:フランス映画
BELLE TOUJOURS
Manoel de Oliveira
70min
(桜坂劇場にて)

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ルイス・ブニュエル1967年の傑作『昼顔』の40年後の後日談といった体裁の中編映画。マノエル・ド・オリヴェイラというポルトガルの監督は、1931年の『ドウロ河』というサイレント映画が最初らしいが、1908年12月の生まれだから、1998年末に90歳の誕生日を迎えた。90歳を越えた彼は1999年から現在までに14本ぐらいの映画を撮っている。ペジョラティフな意味ではなく「怪物老人」だ。このド・オリヴェイラ監督の作品には見たいものが多々あるが、なかなかその機会が得られないのは残念だ。

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 ↑『昼顔』↑

見られていない方、見たけれど忘れてしまった方のためにブニュエルの『昼顔』のおさらいをしておこう。裕福なブルジョワ出身のセヴリーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、若い有能な医師ピエールと結婚し、夫を愛し、夫にも愛されて、裕福で何の不満もないような幸せな状態にあった。しかし彼女は夜な夜な邪な悪夢を見るのだった。夢の舞台は19世紀で、ピエールに馬車で森に連れていかれたセヴリーヌは、木に縛られて笞打たれたり、下男に犯させられたり、といったマゾヒスティックな夢だ。夫ピエールの親友で、自由思想家でちょっと怪し気なユッソン(ミッシェル・ピコリ)はそんな彼女の何かを見抜き、パリには今も昔ながらの娼館が存在することを教える。セヴリーヌはある日アナイス夫人の娼館を恐る恐る訪れる。そして昼間だけの娼婦としてそこで働き、夜は家で貞淑な妻として、その二重の生活を始める。ある日ユッソンはその娼館を訪れ、親友の妻セヴリーヌを抱きはしないが、彼女がそこで娼婦をしているという秘密を知る。偶然というよりも確認のためにユッソンは訪れたのだろう。そんなセヴリーヌにぞっこん入れ込んだヤクザはセヴリーヌの夫ピエールに発砲し、ピエールは全身不随の車椅子の身となる。そんな廃人となった夫の世話をするのが幸せそうな彼女で、かつてのような邪な夢を見ることもなくなった。しかしある日ユッソンが訪れ何事かをピエールに語る。夫の目にひと粒の涙。そして再び彼女の妄想で、ピエールは車椅子から立ち上がるとサングラスを外し、彼女に優しく微笑むのだった。

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このブニュエルの元作を踏まえての約40年後、ピエールも今は既になく未亡人となったセヴリーヌとユッソンの2人が出会うのが、このド・オリヴェイラの『夜顔』だ。原題は『BELLE TOUJOURS』で、ユッソンがセヴリーヌに言う「今もあなたはお美しい」というセリフがタイトルになっている。カタカナ書きすれば元映画が「(ラ・)ベル・ドゥ・ジュール」で、この映画が「ベル・トゥージュール」。語呂的にも近い。コンサート会場でユッソンは近くの席にいたセヴリーヌを見つける。演奏されているのはドボルザークの交響曲第8番。演奏が終わりユッソンは彼女を追うが、車で去られてしまう。とあるバーから出てくる彼女にユッソンは遭遇するが、また車で去られる。ユッソンはそのバーに入り、カウンターでウィスキーのストレートをダブルで注文し、すぐに飲み干すとお代わりを注文し、若いバーテンの男に第三者の話としてセヴリーヌの話をする。マゾ的性倒錯だった彼女が、夫を愛するがゆえに、娼婦となって他の男に身を委ねたという物語だ。近くのテーブルでは常連の年輩の娼婦と若い娼婦がいて、カウンターのユッソンに関心を示している。バーテンは複雑に倒錯したセヴリーヌの話を聞かされ、比べれば何の秘密も持たないただの娼婦であるテーブルの2人が天使に思える等と語る。

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セヴリーヌが投宿するホテルをこのバーテンから聞き出したりして、まずはユッソンと逃げるセヴリーヌの追いかけっことなるが、偶然にも街中で2人は出会い、ユッソンはセヴリーヌを食事に誘うことに成功する。2人が出会ったその場所にあったブティックに偶然にもユッソンは曰く付きのアジアの箱を見つけて購入し、豪華なレストランの個室で2人の会見が行われる。修道院に入るかも知れないというセヴリーヌに、アル中となった身が自分にとっての修道院だと語るユッソン。彼女はただただ、38年前夫に会いにきたユッソンがピエールに彼女の秘密を言ったか言わなかったかが知りたいだけでこの会見に来たのだったが、ユッソンはそれをはぐらかしてしまい、怒った彼女は帰ってしまうだけだ。セヴリーヌの本性を知って操るユッソンは昔のままなのだ。ブニュエルの元作が謎を残したように、結局このド・オリヴェイラ作品でも謎の解明はない。セヴリーヌ役は最初元作のドヌーヴに声をかけたが彼女が辞退し、『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』でブニュエル作品とも無縁ではないビュル・オジエが演じているが、オジエは良い女優だけれど、ドヌーヴのような邪な妖艶さに欠けるのが残念だった。

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この映画で描かれるパリ、それはユッソンの目で見たものなのかも知れない。リヴォリー街のピラミッド広場にある黄金のジャンヌ・ダルクの像をユッソンは見つめる。しかしそのパリは死んだ町のようだ。活気というものがない。レストラン個室の伝統的なインテリア・調度といい、重厚であると言えばその通りだが、既に現在の生命を持たない博物館的事物にも見えてくる。一方では若いバーテンや娼婦、ホテルのコンシエルジュやレストランの給仕たち等、現行の生命感を持った庶民も登場するが、それとロウ人形のような過去の2人との対比が面白い。倒錯したブルジョワたるセヴリーヌとの対比として、娼婦たちを「天使のようだ」とバーテンに言わしめるているのは、ブルジョワ文化を揶揄しているようだ。一糸乱れぬ良識の体面から成り立っているブルジョワ文化の実質的死滅を描いているようにも感じられた。

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Last updated  2008.02.05 03:52:23
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