カテゴリ:中国経済
2010年6月19日に中国人民銀行(中央銀行)がドルに対し固定していた人民元レートを解除すると発表した。人民元は、2008年7月以来、1ドル6.83元の固定相場制から管理変動相場制に戻ることになる。実施時期や変動幅を明言していないことから、大幅な通貨切り上げの可能性は低くそうである。
しかし、昨今の労働紛争の頻発と給与水準の切上げと合わせると中国に生産拠点を置く企業にとっては相当に手痛いのではないかと見ている。 中国が2010年6月26・27日にカナダで開催されるG20サミットでの批判をかわす為、切先を制すために対ドル固定解除したとも見られるのだが、それだけでなく、中国国内の事情もかなり大きそうである。 消費者物価指数と小売売上高の前年比推移をグラフ化すると下図のようになる。 グラフは中国の消費が既に過熱状態にあり、今後も、更に過熱しかねない。消費者物価指上昇率は、預金金利を上回っており、過剰流動性が金融市場を暴走させかねず、さらに、消費者物価上昇が賃上要求を誘因し、労働争議が多発しかねない。どちらも政情を不安定化させかねない忌々しき問題である。 だが、中国は、リーマンショック後の財政出動が不動産バブルを発生させている為、安易な政策金利の切上げ不可能。不動産バブルの急激な崩壊を招きかねないからである。 為替レートを切上げて、輸入物価を押し下げで消費者物価の上昇を抑えるしか方法がないのだと見ている。外圧で為替レートを切上げたと見られかねないリスクを冒しても為替レートを切上げをしなければならないほど状況は悪いのだろう。 自分が思うに、為替レートは大幅に切上げられないのだから、消費者物価の上昇を抑える効果限定的。今後2~3年は労働争議の多発と急激な労働賃金上昇が続くと見ている。中国に主力生産拠点を移した企業は、予想外の賃金上昇と為替レートの上昇に悩まされることになりそうである。採算が悪化したからと言って、倒産関連法が未整備の中国から生産拠点を移動させることは、事実上、不可能。ちょっと、やばいかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年06月20日 19時05分11秒
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