日本の食料自給率に思うこと
会社帰りに本屋で『日本は世界5位の農業大国 ~大嘘だらけの食糧自給率』を立ち読み、出来が素晴らしく、大変興味深い内容なので書いてみる。立ち読みの為、細かい数字やデータ元を覚えられず、インターネット上で、著者 浅川芳裕氏の著作物(「インチキ自給率」に騙されるな!)で補足する。 まず、自分なりこの著書で取り上げている自給率をイメージ化してみると下図の様になる。 日本で一般に自給率と言われているのは総合食料自給率。これは、供給カロリーベース計算。ちゃんと書くと難しいので内容は割愛し述べると、農林水産省が国内で流通する全食品中の国産品の割合をカロりー換算して、計算したもの。 ここで、問題となるのが摂取カロリー。人が実際に食べた食品をカロりー換算したもの。供給カロリーと摂取カロリーの差は、廃棄されている食品の量を示す。 浅川芳裕氏は、『廃棄ロス分を含めて自給率を計算するのはインチキ』と主張。 上図を使って彼の意図を類推。国産供給カロリーは1,012Kcal、摂取カロリーは1,904Kcal、国産で53%を賄える計算。不足は818Kcalのみ。現輸入量は1,4611Kcal、現状よりも44%以上減らなければ、国内で食糧危機は起きない。 しかし、供給カロリーベースで考えてしまうと、供給カロリーは2,473Kcal、国産で賄えるのは41%の1,012Kcal。不足分1,461Kcalを輸入出来なければ、直ちに、食糧危機が起きると勘違いしてしまう。これを、農林水産省の陰謀との指摘。 浅川芳裕氏は、明らかに確信犯と個人的には見た。流石がである。 ポイントは、廃棄されている食品。浅川芳裕氏の文書を読むと廃棄されている食品は、『食べなかった食品』と思ってしまうが、実際は、『食べられない食品』。 ピンと来なければ、唐揚げでも思い浮かべて貰えればいい。唐揚げを食べるても、揚げ油を飲む人はいない。揚げ油は、供給カロリーにカウントされるが摂取カロリーにはカウントされない。消費ロスである。食べる時に使用される食品だが、全使用量を食べることができないもの。揚げ物の油、炒めもの油、サラダのドレッシング・・・・数え上げたらきりがない。 また、流通過程の物流ロスも同様。食料を売るなら、売れ残って、食べられなくなる食品が必ず出る。これは、当然、廃棄する。 廃棄ロスは食べられないのだから、これ見込んで食品調達を考えなければ食料安全保障にならない。廃棄ロス分を含む供給カロリーベースで自給率を計算しなければなんの意味もない。 ちなみに、摂取カロリーと国産供給カロリーを比べたり、摂取カロリーと国産供給カロリー比を自給率と呼んで見るなどはまさに「インチキ」。作品としては凄いとは思うが・・・ちょっとやり過ぎなんて思ったりもする。 個人的に興味深いのは、国内物流・消費システムの歩留まりが77%もあること。はっきりとは言えないが、これって世界トップクラスの数字、廃棄ロスが異常に少ない。国内の食品流通は、非常に無駄が多いシステムと理解していただけに意外な数字である。参照資料 国内経済 ブックマークプラス by SEO対策 経済と株式経済ニュース株取引