昨今、ドバイ、東欧、ギリシャと国外資本に依存した新興国が相次いで経済破綻している。今後、国外資本に依存した成長モデルを採用する国は激減すると思われる。
既に、景気拡大傾向の新興国は、景気対策として巨額インフラ投資を行う必要性ない。つまり、国家破綻リスクをとってまで、国外から資本を調達し、景気対策を実施する状況ではないと言うこと。
リーマンショック後に新興国で景気対策として計画された巨額のインフラ投資は、今後、縮小される可能性が大きいと見ている。
菅首相をトップとする官民合同組織で、新興国のインフラ需要を取り込む戦略は、かなり厳しそうだと考えている。アジアの新興国は『アジア通貨危機』の経験がある為、国外からの資金の借入には相当に慎重でインフラ整備計画は、順次中止していくと見ている。
ベトナムの南北高速鉄道(新幹線)建設計画の事業規模は、ベトナムの国家予算の3倍程度、国内総生産(GDP)の5~6割に相当する560億米ドル。
昨年春にJICAが行った事業採算性の調査では、「投資資金の80%以上は国家予算から支出しないと事業採算性が合わない」とされている。つまり、事業の収益では、投資資金の20%以下しか回収できないと言うこと。 また、JICAが今年度に行った交通量の需要予測調査では、事業が黒字になるまで需要が拡大するのは2036年以降とされている。26年待ってから開業すればベストってお話。
常識的に見て、国会で否決されるのは、当たり前。逆に、GOが出る方が怖い。絶対に不良債権化する。自分が見るに、当該計画は、急激な経済縮小が予想される中で立てられた財政出動の最終手段。現状で当該計画を実施するとはとても思えない。
ベトナムの南北高速鉄道(新幹線)建設計画は、官民合同のオールジャパン体制で受注を目指していたパイロット案件。現状で上がっている他の案件よりは、事業見通しが良いはずである。でも、・・・。
事業の見通しが立たない様な事業に日本国民の税金を投資するって言うのは道義的にどうなんだろう。相手国政府が支払いを保証したからって、失敗しそうな事業に国民の税金を投資するって、どうなんだろう。ちょっと考えてしまう。きっと、上手くはいかない。