詩・句・歌・エッセイでシミジミする星野富弘氏は、中学校教員になりたての頃、体育指導中の事故で、脊椎損傷。首から下が動かなく大怪我をした。以後、すさまじい闘病生活を送りながら、それを乗り越え、すばらしい再出発を果たした。口に筆をくわえて綴る絵や詩は、私たちに勇気を与え、感謝することを教え、命の大切さを再認識させてくれる。どんなに絶賛してもしてもし足りないくらいの書籍の数々。感動の涙で読めなくなるかも... 群馬県東村、大いなる自然囲まれた場所にある「富弘美術館」。私も何度も訪れています。富弘氏の詩画が常設展示されていて、彼のこれまでのたどってきた道も、展示品やビデオなどで、よく理解できるようになっています。四季折々に美しく姿を変える山々や、渡良瀬川、草木湖などのたくさんの自然に抱かれるように建っている美術館。一度、訪ねてみてはいかがでしょうか。 女優桃井かおりのエッセイ。かおりさんの人生観と一括りにしてしまうには、あまりにおしいくらい、楽しいエッセイ。こんなふうに考え、こんなふうに生きていたら、ちょっとくらいの不始末や失敗も、神さまが笑って許してくれそう。ステキな女性のお手本。生きたいように生き、したいようにしている、ある意味わがままなかおりさんのこれまでを、彼女のあの語り口調で綴っている。≪まずはキスから始めよう≫かおりさんの口癖。すべてはここに集結している、大人の女性のエッセイ。めちゃくちゃ、おすすめ! 私の俳句の師である。というよりも、師の師である畏れ多い方が手塚美佐先生だ。 母が持っていた先生の句集を読ませてもらい、素晴らしさに感動した。どう表現していいかわからないが、手塚先生の句は、単に花鳥風月を愛でるものではなく、そこにあるものに心が反映している。喜怒哀楽という大雑把なものではない、愛、憎、寂、悟、憂、謝などといった微妙な心の在り様が、たった十七文字に置きかえられ胸を打つ。まるで小説や詩の一部を読んでいるような気持ちになる。俳句に興味のある方には、ぜひ手にとっていただきたい一冊だ。 【水飲んで炎(ほむら)を覚ます十二月】 あとがきより 交通機関のほとんどない茨城西端に転居して二十年目を迎えた。〈中略〉何の予備知識もなく移り住んだ未知の土地が、歴史の宝庫であることに驚いている。 とはいえ車を持たない私は家に籠ることが多く、未知の土地は今もって未知のままである。都会を捨てたとき、西行の「とふ人も思ひ絶えたる山里のさびしさなくば住み憂からまし」が胸にあった。芭蕉は『嵯峨日記』に「ひとり住むほど、おもしろきはなし」と書き綴った。いつまでも肌触りが身にそわぬ他郷だからこそ、私は「さびしさ」をあるじとして住み続けることができたのかも知れない。 ジャンル別一覧
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