私と・絵と・良き友の懐かしき…エピソード…

若い時から、組織の本社勤めをし、たくさんの人々と、
出会いと別れを経験しました。

仕事上のお付き合いで、何十年にも渡り、
お付き合いしていただいた、先輩、良き上司、
恵みと喪失の日々の繰り返しの中で、
30才の頃、仕事とは関わりのない、出先機関におられた、
ある一人の女性に、他の友人を通じてランチを誘われました。

その人は、ある研修のグループで私と一緒だったと
話してくれました。

突然、謎が解けました。

そして、お話していたら、同学年であり、
お誕生日も一日違いという事を知り、意気投合し、

同期生がいない私は、うれしくて、毎日のように、
ランチを共にし、彼女が、油絵のサークルに通っていると知りました。

行動的な彼女は、一緒にやろう!
と言い、サッサと抵抗する間もなく、サークルに紹介されました。

そして、彼女は、画材屋さんへ私を連れて行き、
あっという間に、私の油絵具が揃いました。

仕事を終えてから、週一度の夜のサークル、
彼女は、絵のセンスが良く、かなりの腕前で、
私は、何だかさっぱりわからないけれど、とにかく
震える手で、キャンバスに向かいました。

サークルには、子供から高齢の方までおられ、
とても、楽しい30代の、一時期を過ごしました。

その後の二人…

19才の時から、大組織の良くも悪くも、現実を
思い知らされていた私は、上昇志向は全く無く、キャリアに
必要な試験も、全てパスしていました。
過労死したり、メンタルでつぶされていく人達をたくさん
見ていたからです。
私も、一カ月に、100時間以上の残業を余儀なくされた
担当部署で、ついに倒れ、病欠から休職へと至りました。

そして、彼女は…

ずっと出先機関だった為、本社勤めに憧れを抱いていました。
実力があるが為に、それを発揮できない苛立ちを抱え、
努力家で、試験も次ぎつぎと受け、現在は、女性管理職になり、
思う存分、その実力を発揮しています。

私は、今でも自分の夢に邁進し、決しておごる事も無い、
いつも、爽やかに笑う素敵な彼女と、
たまに会える日を楽しみにしています。

絵が、二人を結びつけ、
そして今は二人共、絵筆を失った…

絵筆は失ったけれど、共に、別々の心のキャンバスに
人生の証をたゆまずに、刻み続けている…

でも、当時あらゆる絵を、見て回った事は、
私の精神世界に大きな影響を
もたらしてくれた事に間違いはありません。

私にとって、
全ての芸術は、リヤドロも手作りのお人形も、
絵手紙も、アートも、人が口づさむ、喜怒哀楽のメロディも、
音楽も、詩も、文学も、人間を救っている事に他ならないからです。


私の大好きな絵のひとつ、

　幸せを　運ぶ 色の　旅人…

世界のひとびとが　手をにぎりあい　こんなふうに　

生きるよろこびを

　大きく　大きく　力強く　力強く　

おのおのの　肉体に宿る魂さえ　守りあえたなら!


【ヘンリー・マティス】


　『ダンス』



マティス『ダンス』複製



マティス『ダンス』複製



【ヘンリー・マティス】

1869年12月31日、北フランスのノール県
ル・カトー・カンブレジに生まれる。

法律家を志し、法科資格試験に合格して
法律事務所の書記として働くが、
91年、画家を志してパリに出、
ギュスターヴ・モローなどの下で美術を学んだ。

新印象主義の影響を受けながら、
強烈な色彩を併置する（野獣派）のスタイルを生み出す。

ニースに活動拠点を移すと、
くつろいだ雰囲気の手法で作品を制作、
デッサンと色彩の融合を試みようになる。
そして、光と空間の単純化と純粋化を追求した結果、

“色彩でデッサンする”切り紙絵の世界に到る。

そのマティス芸術の集大成が、

1951年に完成したヴァンスのロザリオ礼拝堂の内部装飾である。

1954年11月3日、ニースで没。