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新【ぼくの細道】

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2017.12.09
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太宰治『富嶽百景』七回目
 その翌々日であったろうか、井伏氏は、御坂峠を引き上げることになって、私も甲府までおと
もした。甲府ではずれの、その娘さんと見合いすることになっていた。井伏氏に連れられて甲府
のまちはずれの、その娘さんのお家へお伺した。井伏氏は、無雑作な登山服姿である。私は、角
帯に、夏羽織を着ていた。娘さんの家のお庭には、薔薇がたくさん植えられていた。母堂に迎え
られて客間に通され、挨拶して、そのうちに娘さんも出て来て、私は、娘さんの顔を見なかった。
井伏氏と母堂とは、おとな同士の、よもやま話をして、ふと、井伏氏が、「おや。富士。」と呟
いて、私の背後の長押を見あげた。私も、からだを捻じ曲げて、うしろの長押を見上げた。富士
山頂大噴火口の鳥瞰写真が、額縁にいれられて、かけられていた。まっしろい睡蓮の花に似てい
た。私は、それを見とどけ、また、ゆっくり体を捻じ戻すとき、娘さんを、ちらと見た。きめた。
多少の困難があっても、このひとと結婚したいものだと思った。あの富士は、ありがたかった。

  成程、石原美知子さんを見たくても直視できない太宰治を取り持ったのは、なんと
  井伏鱒二さんの一言、太宰も富士を眺めた序に、ちらっと石原さんを見たのです。

  こんなことを公表したくないのですが、僕の結婚物語の序。
  本で学ぶ総てが終わって残るは現場での実践。
  指導いただいた先生がぼくに言いました。来年四月から戦場に赴く。そこには
  若い女性達がたくさんいる。近づいてくる人々と間違いを犯したら今までの学
  びは無に帰す。
      結婚相手はいるのかとおっしゃっられた。
  「いいえ。」「そりゃまずい。僕の友人に年頃の娘がいる。丁度研修で東京に来
  ている。会ってみるか。」うんもすんもなく、一方的に事は進み、毎日のデート。
  一週間後、婚約の運びとなりました。ああ、レ・ミゼラブル!





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最終更新日  2017.12.11 22:20:15
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