感情の豊かな動物である犬をネットで買う人の感覚を疑う。ぬいぐるみを買うような気安さで犬を買っている。世の中が便利になり、ネット販売が繁盛することは良いことだ。単なる物品である、いわゆる「品物」を気楽に入手できることはありがたいことだ。
しかし、命のある生き物、特に感情の豊かな犬をネットで取引するのは社会的な問題が多すぎる。
犬は購入して自宅でかわいがってから、1,2ヶ月後に血統書が送付されてくるのが普通だ。ところが、ネット販売では血統書を送ってこないブリ-ダ-がいる。メ-ルで催促すると、JKC(日本ケンネル・クラブ)への血統書の申請ミスで、血統書が発行されい。子犬の代金は返すから、子犬を送り返してくれ、子犬は売り物にならないから、処分(殺す)するとの返信が来る。
飼い主は1,2ヶ月もかわいがっているので、愛情が湧いている。保健所に送られて毒殺されたら、かわいそうだと、血統書なしで飼い続けることにする。
夏目漱石の言う「
情に竿させば流される」とはこのようなことだ。悪質な知能犯に最初から、巧く騙されている。
ブリ-ダ-から、再度メ-ルが来る。子犬の兄弟が返品されてきた。殺すのはかわいそうだから、もう1匹飼ってくれないかとのこと。その子犬の飼い主は知人友人に動物愛護を訴えて、兄弟犬を買ってもらうことにする。命を救ったと喜ぶ。
「
泥棒に追銭」とはこのようなことを言う。
ブリ-ダ-は血統書のない子犬を容易に沢山売りつけることに満足して笑いが止まらない。ぼろ儲けだ。血統書のない雑種の子犬を販売しているブリ-ダ-は、次のネット訪問者をアリ地獄のように静かに待っている。
法律的には、その子犬には瑕疵(かし、欠陥)があるとして、返品することができる(民法570条)。しかし、この場合は返品を要求してないので、法律問題にはならない。
血統書がにせものだと、民法95条、96条の契約無効を主張し、損害賠償を請求できる。また、刑法上は詐欺罪(刑法246条)に該当するので、警察に告訴することが出来る。しかし、この場合は血統書が偽物であるわけではないし、購入者の要望があれば、返品してもよいと言っているので、これらの法律は適用されない。
愛犬は「物」ではない。知能の高い感情の豊かな生き物だ。飼い主と愛犬は暖かい情念の絆で結ばれて生活していくものだ。
買う前に、自分の目や手で、その子犬の性格などを確かめるのは不可欠だ。飼い主の犬に対する思いと、その子犬の性格などが合っているかを実際に会って確認することは不可欠だ。飼い始めたら、10年以上は付き合う。物のように、途中で、買い換える訳にはいかない。そのことがわかってない人が上記のような狡猾な知能犯に騙される。
再度言う。
犬は「物」ではない。飼い主に忠実で、決して裏切ることのない動物だ。聡明闊達で、人なつこい。人の心を無償で癒してくれるかけがえのない感情の豊かな生き物だ。かわいがれば、かわいがるほど飼い主の心が癒される。
”
補足” ネットでは犬の情報を収集し、買う前に、犬と実際に会って確認してから、購入する、いわゆる対面売買はネット売買ではないと見ている。
( 公園で会った愛犬たちの写真集があります。お時間のある方はどうぞ。)
「公園でノ-リ-ドで遊ぶ愛犬たちや珍しい愛犬たちの写真集」