宇都宮の爆破事件
宇都宮の爆発事件はどうやら高齢者の拡大自殺(他者をまきこんでの自殺)の可能性が高いようだ。妻との離婚で住居まで失ったということが引き金になったようだが、高齢者の生活不安からくる自殺という意味で、新幹線放火自殺とよく似た事件のように思う。ただ、新幹線放火自殺に比べても、今回の事件は、娘の精神疾患、妻の宗教入信と財産喪失、離婚による住居喪失と、どんどん人生が暗転していってしまったようで、おそろしい。なんかこういう歯車の狂い方って、一歩間違えると多くの人に起こり得るように思う。死ぬ気になればなんでもできる…という言葉がある。でも、この言葉は裏返すと、死を覚悟しさえすれば、後は野となれ山となれで、それこそ何でもできるとも解される。この何でものなかには、爆破も放火も含まれる。最後の最後に人が犯罪を躊躇する理由というのはなんなのだろうか。重刑に対する恐怖というものはあるし、逮捕され世間にさらされる恐怖というものもある。ただそうしたものは死を覚悟してしまえばブレーキにはならないし、そうでなくても、70歳代の人間に死刑や無期懲役等の刑が若い人ほど抑止力になるとも思えない。宗教はどうなのだろうか。これも地獄だの閻魔様だのを信じている人がそんなにいるとも思えず、抑止力としての機能はなさそうである。やはり犯罪を思いとどまる一番のブレーキは家族の存在であろう。昔なら、高齢になればなるほど、子供、孫と家族は増えていった。でも、今では必ずしもそうではない。それどころか宇都宮の爆破容疑者については、あの拡大自殺が妻や娘に対する復讐のようにもみえる。高齢化社会と、それにともなう困窮老人の増加を考えると、今後もこうした事件は増えていくように思う。