人口減少~何が問題なのか
同じものごとでも「何を問題にするか」で意見は全く異なってくる。出生児数が100万人を割った。これについて多くの人は人口の減少を問題視し、1億の人口を維持するための施策を検討しようとする。外国人労働者の受け入れなども人口維持という見地から主張する人もいる。これに対しては、ちょっと疑問がある。出生時数が100万割ったというのは現象である。これを人口減少という側面だけで捉えるのはおかしいではないか。何を問題にするか、何が問題であるか…についてもう少し考える必要がある。出生数とともに減っているのは婚姻数である。出生児数の減少の多くは未婚化によってもたらされている。そして未婚率についてみると、特に男性の未婚率は収入と強い相関がある。収入が低く、雇用が不安定であるために結婚できない男性が相当数いるわけで、本当の問題はむしろこっちであるのかもしれない。そうだとしたら外国人、特に単純労働者の受け入れなどは、こうした本当の問題の解決とはむしろ真逆の方向でしかないように思われる。というのは外国人の単純労働者の受け入れは、ますます低賃金、不安定雇用の若者を窮地においやるからである。西欧では、既に外国人労働者の流入で職を奪われたり、待遇が低いままにおかれた若者の不満が爆発し問題となっているという。こうなると、外国人の流入で確かに人口は増えた、けれども、原日本人の子供はかえって減りましたということになりかねない。さらにいえば、外国人といった場合に、どんな外国人がやってくるかも重要な問題である。西欧ではアフリカや中東からの流入が主であるが、日本の場合は地理的な状況からしてちょっと違う。世界には様々な民族がいる。好戦的な民族もいれば、戦闘を忌む民族もいる。同化しにくい民族もいれば、郷に入れば…ですぐに同化する民族もいる。日本の場合には中国人が数として最も多く流入するのではないか。中国人は強固なネットワークをもち、語学も堪能な人が多く、商才にもたけた人が多い。そしてけっして同化しないし、多産を幸福とする価値観をもっている。歴史的に見ても、中国は戦争によってではなく、旺盛な人口圧力で、版図を拡大してきた。中国の広大な領土はいわずもがななのだが、東南アジアの国々の中にも、事実上、国の経済や政治は中国系が牛耳っているようなところもある。