新イソップ童話~どっちもどっち効果?
酸っぱい葡萄や尻尾をなくした狐などイソップ童話には人間心理の機微をついたものが多い。そうした心理は心理学的にも定説になっているようだが、こんなのはどうだろうか。目の前に、まずそうな葡萄と小さい胡桃があったとする。まあ、ものの喩えなので、とりあえず葡萄と胡桃とする。狐は葡萄か胡桃を選ばなければならない。その葡萄はたしかにおいしくないのだが、胡桃も小さくてまずそうだ。食べたこともない胡桃よりは、まずくても我慢できる葡萄の方がましかもしれない。それに、その前に食べたりんごは全くの不良品だったし、それを思えば、この葡萄でもまあいいや…と思っていた。ところが狐はこの葡萄の隣に、さらに別に種類の同じようなまずそうな葡萄があるのに気付いた。ああ、似たようなまずそうな葡萄、どっちもどっちじゃないか、なぜ選ばなければならない。そう思ったとたんに、狐の目には、今まで選択外と思っていた小さな胡桃が魅力的に見えだす。これを心理学的に「どっちもどっち効果」という。積極的に選択したくないもの二つの選択を迫られた場合には、その二つとは異質な第三の選択肢が急に魅力的に見えてくる心理的効果。こうしたことってあるのだろうか。門外漢なのでよくわからないが…。