気の向くままに♪あきみさ日記

下巻を読み終えました！

…なあんだ。幸村の生涯じゃなかったのか。
タイトルからそう思い込んでしまってました。
裏表紙の紹介文を読むと、「戦国きっての名将の若き日々を瑞々しく描く」って書いてあった。（汗）
まあ、生涯を書かなきゃいかんって法はないやね。
確かにこのペースで夏の陣まで書いてたら、少なくともあと１０冊は必要。。

若き幸村の純粋さ、瑞々しさは、上巻同様まぶしいくらいでした。
父・昌幸の薫陶を受けて武略に通じていく様も快い。
この幸村が、二度にわたる徳川の上田攻めを退けるところ、読みたかったな。
もちろん、円熟した武将となっての、冬の陣・夏の陣の活躍ぶりも。
海音寺潮五郎も、幸村の生涯通して書く構想はあったらしいですが…
そう思うと、真田太平記を書ききった池波正太郎って、ホントすごいの一言ですねえ。

物語は、徳川－北条の和議で、真田の領地の沼田を北条に返還すると徳川が約束してしまったところで終わってます。
この後いろいろあって、徳川の１回目の上田攻めに至るのですね。
この本を読んで、上田攻め以前の真田家と上杉家の確執（というには格が違いすぎるけど…）がどんなものだったのか、よく分かりました。
こんな経緯があったにもかかわらず、徳川来攻を前に現れた昌幸を許し、「父子そろって討死なされ」と幸村を人質に取らなかった上杉景勝、なんて素晴らしい武将でしょう！
真田太平記のあのくだりが感動とともに甦りました。

北条はここでもヒサンな描かれようでした。
巨大組織が動脈硬化に陥り、過去の栄光に縛られ、判断遅く動きが鈍く自滅の道を歩む大企業の如しです。

それにしても、ラストの信幸様の登場のさせ方はあんまりです。
信幸様があんなセリフを弟に吐くとは思えない。
信幸様だって弟以上に信義に厚く、情にも通じた名将だったと思うのに。
だからこそ、徳川幕府設立以後、武将から政治家に転身できた数少ない領主のひとりなんだと思うのに。。
（↑池波作品しか知らないくせにおこがましいですね^^;）

信証尼のことがもとで幸村が徳川を敵として憎み、兄と離反・対立していく…という筋にも、なんだか納得いかない感じがしました。
そんな単純なものにしてほしくない。
感情じゃなくて、信念であってほしい。
うまく言えないですが、そんなふうに思ったのです。

小説自体は面白かったです。
ラストが尻切れトンボ、幸村と信幸様のやりとりが不快で後味が悪かったのが残念でしたが…。

上杉謙信を描いた「天と地と」も、今度ぜひ読んでみたいと思いました。



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