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テーマ:子育て現在進行形(1969)
カテゴリ:教育
学力テスト:鳥取県、市町村別・学校別成績の非開示決める >文部科学省が07年度に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)について、鳥取県教育委員会(委員長、山田修平・鳥取短大学長)は11日の臨時委員会で、市町村別・学校別の成績を開示しないことを決めた。 >県情報公開審議会が開示するよう答申していたが、市町村教育長やPTA会長らの大半が非開示を要求。県教委がこうした声に押し切られた形となった。 ― 子供のうちから競争だなんて受験戦争時代への逆戻りにも思えるし、県教委の判断はやむを得ないんじゃない? 「オマエみたいに、すぐに『受験戦争』と結びつけるからそう感じるんだよ。勉強でも運動でも、後で話すけど『みんなで一緒にゴールイン♪』なんて昨今の風潮の方がよっぽど異常だと思うけどね。いつかは競争社会に投げ出されるんだもの、早いうちから免疫つけといた方がいいんだよ」 ― 嫌いだなぁ、そういう言い方。それって強者の論理だよ。 「『強者』かぁ・・オマエが言ってる『強者』とはかなり意味合いが違うけど、確かに『強者』は存在するんだよ。強者というよりは『勝者』かな。『勝者』と『敗者』。オセロやっても将棋をやっても勝敗がつくだろ。そういう些細なことだって『勝者』と『敗者』なんでさ。こういうことすら受け入れられないようなのが、都合悪くなると将棋盤ひっくり返して無かったことにするタイプのオトナってことだな」 ― 「勝者」と「敗者」かぁ・・何だか世知辛い世の中が思い浮かぶよ。 「あらら、オマエもずいぶん弱者ぶりっ子だな。これは歴然たる事実。それを歪んだ平等意識で隠してきてるというね。臭いものに蓋、だよ。ただ、『勝者』と『敗者』なんて、その場面場面でいくらでも入れ替わるんでさ。ビジネス情報誌によく書いてある企業の『勝ち組』『負け組』、くだらないエッセイなんかに書いてある人生や恋愛の『勝ち組』『負け組』なんかもそう。『勝ち組』か『負け組』なんて『現時点ではね』ってことなの」 ― 現時点では、かぁ。 「そうだよ。テストの点数や徒競走の順位なんて、もっともっと『現時点ではね』だろう。そういうのを受け止めないで隠してたって、それはやっぱり臭いものに蓋なんでさ。親がそんなだから、子供はなおさらそういうことに触れる機会がなくなるよな。これは、子供にとってみればすごく不幸なことだよ」 ― でも、「競争」なんて無ければ無い方がいいんじゃないかなぁ。 「あのさ、ギャンブルとかいう意味じゃないけど、小さいうちから勝負ごとはしといた方がいいと思うね。勝った喜びや負けた悔しさ、いろんな勝ち負けがあるじゃない?そういうところから学ぶことって結構あるよ。ケンカだって、子供のうちはやらせた方がいいんだよ。そうやって『限度』ってのを覚えていくんだから。『誰も勝たない。誰も負けない』っていう今の教育って、オレはどうかと思うけどな」 ― 「誰も勝たない。誰も負けない」・・言われてみるとそうかも。 「『敗者』の気持ちに配慮してるんだか優劣をつけない。優劣をつけることが悪、いわゆる『差別』とする風潮って何なんだろうね。それがかえって子供の選択肢を狭めているのに、子供についてハレモノに触るようにどんどん保護している。それって、とっても不自然なことだろう。オレは、小さい頃から考え直す機会とかやり直す機会に、自然の状態で数多く接する事が出来る環境の方が健全だと思うんだよ」 ― 考え直す機会?やり直す機会? 「小さい頃から周りに保護されて、競争や勝敗のない無菌状態でずっと育ってから社会に出てみ?社会に出て初めて挫折を経験するわな。すると、たった一回の挫折や、とっても些細なことで自分はダメな人間なんだとふさぎ込むのも出てくるし、いつまでも無菌室から出られないような親離れ出来ないのも出てくる」 ― そっか、免疫がないからだね。 「そう。下手すりゃ、最近多いけど社会のせいにしながら犯罪にハシるのもいる。これは、小さい頃から親や学校がいつでも手を差し伸べてるからだと思うんだよ。何でもやってあげちゃう。そんなに子供に気を遣ってどうするんだって。」 ― そう考えると競争は必要な気もするけど、何か寂しいなぁ。 「あのさ、オマエ『競争』っていうと他人を蹴落として自分が這い上がる、自分さえよければっていう非情なイメージがない?」 ― ある・・ 「確かに、定員数のあるところに試験で入るとして、他人よりいい点数を取って合格した人は、他人よりいい点数を取れなかった人を蹴落としてる、とは言えるよな。でもさ、別に他人の試験を妨害して合格したわけじゃないし、合格した人の能力だったり努力だったり運だったりするわけだろう」 ― まぁ、そうだけど。 「で、その試験問題やら試験時間なんかも同じだよな。要するに、合格出来なかった人は合格出来た人より、能力か努力か運が不足していたわけだ。そんなもん、自分のせいじゃん。合格した人をとやかく言う理屈なんてないよ。後で話すけど、そこで再チャレンジするか他の道を選択するかの岐路に立てるわけでさ。それをチャンスと捉えて進んで行けばいいんだよ。でも、そういうチャンスを、歪んだ平等意識や臭いものに蓋的意識で摘み取ってるって思うわけ」 ― そんなに過保護な環境になってるのかなぁ。 「例えば、ちょっと育児書なんて読んでみても、気持ち悪くなるくらい『アレやれコレやれ』なんて書いてあるのもあるよ。『アレしちゃいけない。コレしちゃいけない』とか。もちろん、やってあげる優しさも必要だろうけど、そればかりが子供に対する優しさじゃないと思うね。周りが前もって危機を回避させてばかりいたら子供はいつまで経っても危機を認識出来るようにならないんだから。それを教えるのも、親であり教師であり、大人達なんじゃないかな」 ― でも、出来るだけ障害を取り除いてあげるのは子供にとっていいことじゃない? 「そうかなぁ。いやいや、違うよ。向上心を煽るのはいいの。話して聞かせて、やってみせてやらせてみる・・そういうのはいいの。ただ、何でもかんでも(オトナ達が思ってる)負の部分を隠した状況を作ってあげてることが問題なんじゃないかって話。言ってみれば、そんなもの子供専用仮想空間だよ。時には達成感を味あわせるために必要かもしれないけど、全部が全部状況を整えてあげてたら子供だって勘違いしちゃうだろうよ。『何でもやれば出来るんだ』って」 ― 自分がスーパーマンのように思えちゃう? 「まぁ、そこまではないかもだけど、社会では誰もお膳立てなんかしてくれないからね。そこで壁にぶち当たるんだけど、小さい頃から割と何とかなってきてると切り抜ける術を持ちづらいだろ。で、すぐに『何で出来ないんだ』『自分はダメな人間なんだ』とかになる。誰かのせいにしたりするようにもなる。自分で問題解決のために頭を使えないんだね。会社で言う、指示待ち族ってやつにも通じる」 ― 自分のせいはもとより、学校のせいとか会社のせいとか、はたまた友達のせいとか親のせいとか・・ 「うん。そういうのってあると思う。ただ、自分のせいならまだいいんだよ。勝手にふさぎこんでればいいんだから。社会のせいとか言って、『ムシャクシャした』なんて動機で犯罪を犯してるの多いのが問題でさ。自分に向けないで他に向けるのが厄介なんだよ。歳ばかりくってて、問題解決する癖がついてないというね。自分で考えたり、誰にどういう風に相談すればいいかもわからない、とか」 ― そういう事件、ここ最近ホント多いよね。 「勉強に限らず、小さい頃から競争にさらされてれば、負けた時には次に勝つ方法を考えたり、負けがこめば違う道を選択する可能性だってある。何ていうかなぁ、そういう選択肢を吟味する機会を、オトナの歪んだ平等意識で奪っちゃってると思うんだよ」 ― さっきから「歪んだ平等意識」ってよく出てるけど・・? 「そう。例えば、運動会で順位がつく徒競走なんかを廃止したり、やるにしても『ゴールはみんなで手を繋いで』とかさ。『足の遅い子にとって不平等になる』って理由らしいんだけどね。一人一人の個性を大事に、能力に優劣をつけるべきではないってさ」 ― それのどこが妙で歪んでるの・・? 「おいおい、大丈夫かぁ?歪んでるだろうって。あのね、こんなものを平等だなんて思ってるとんでもない勘違いちゃんがいるけど、こんなもの平等でも何でもないぞ?何で結果まで平等にしてやる必要があるんだよ。するなら、機会を平等にするだけでいいの。言い換えれば『公平性』。同じ距離を同じタイミングでスタートさせればいいんだよ」 ― だから、そうすると足の速い子と遅い子で不平等感が・・ 「オマエ、バカじゃねぇの?じゃぁ、みんなで一緒にゴールインすれば不平等感はないとでも?じゃぁ聞くが、勉強が出来なくても足がめっぽう速い子もいる。オマエが言う不平等を無くす代わりに、足の速い子は『不平等』を強いられてるだろう。この足の速い子はどうしてくれるんだって。オマエの言い分じゃ、テストなんかでも『みんな一緒でゴールイン♪』しなくちゃおかしいんでさ。点数が悪かった人は加点、良かった人は減点・・みんな同じ点数」 ― どうしてくれる?と言われても・・ってか、テストは別で・・ 「何で運動だけで勉強には適用されないんだよ。勉強が出来なくてもめっぽう足の速い子。球技はダメでも水泳が得意な子。運動は全然でも読書が大好きでいろいろな本を読んでる子。運動するのは苦手でも、監督みたいに戦略を考えるのがとっても上手な子。こういう子供達の個性や得意分野を伸ばすんじゃなかったのかって。歪んだ平等意識ってのは、こういう芽を摘んでることになるんだがなぁ」 『【PART2】街。的教育論』へどうぞ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008年10月12日 12時40分33秒
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