本の自然増殖 または依存症
若い頃から本は好きで、興味のありそうな本をどんどん買う癖があって、海外への転勤などでは、引っ越し屋に重いと文句を言われるほど本が多かった。そのくせ仕事が非常に忙しくて、読書の時間もろくに取れなかったので、本当に読み切った本は少ない。それでも「今に定年退職したら読むのだから」・・・というつもりで長年、本棚の肥やしを増やし続けたのだが、そのこやしが、大量に減るという歴史的な悲劇が2度も私を襲った。その一英国では庭の小屋に本棚を組み立てて本を収納していたのだが、英国特有の湿気の存在をすっかり忘れていた。気がついたらかなりの量の本が、青いカビの付いたシワシワのチリメン状態になり、ページがくっついてしまって読むのにも難儀。泣く泣くかなりの本を廃棄処分に・・・。その二米国では地下室に本棚を並べて悦に入っていたら、鬼のような某女性に「邪魔だから捨ててくれ」と厳命され、日本の図書館で簡単に借りられるような本、つまり小説類を中心に「いけにえ」に選んで、また泣く泣く廃棄処分に。 ―――― ◇ ――――最近は比較的自由な時間が持てるようになり、やっと読書の習慣ができたが、そうなると今度は、ときどき近所の古本屋に出かけて店主とダベリ、ついでに店頭のバスケットに入った「100円・200円の安本」をまとめ買いするようになった。安いのが余計いけない!さらには時々アマゾンで新刊本も・・買う・・。金欠病なのに目をつむって「エイ!」とばかり買ってしまう。私は安いものには目が無い。100円ショップなどにもよく行く。それにこの不況・不景気も私にはメリットが結構ある。物価は安いし、古本の値段が一時の半分近くに落ちているし、この100円本・200円本だって以前は結構な値段が付いていたものがほとんどだ。前から比べるともう極楽! ―――― ◇ ――――とにかく、こういう悪癖のせいで、またまた本が増えだして、阪神大震災ですでに相当ダメージを受けた二階の床が冗談でなく抜けそう!現在は海外に置いてある本を合わせると、○○○○冊ぐらいになるかな?自分でもこれは怖い。しかし、そのほとんどが未読か?中途半端に読んだもので、完読・通読したという本は少ない。もしこれをみな読んでいれば、今ごろ私の人格もかなり立派なものになっていたかも知れないが、このままでは単なる依存症ということになる。 ーーーー ◇ ーーーーまあ、本は必ずしも隅から隅まで完読しなくてもいいという説もあるが、スピードをもっと上げて読まないと、私の人生の短~い、残り時間内ではとても読み切れない。それに加えてテレビ録画した映画・美術・バレエ・オペラのビデオ・テープが数百本あるし、それもほとんど観ることもないまま、こやし化している・・・。だからこの頃は生ビデオ・テープをあまり買わないことにしている。録画したくてもできない様に・・・。でも最近のNHK BSで放映された小津安二郎シリーズのせいで?その牙城も崩れてしまった。だめだ、こりゃ~。猫みたいに七回も生き返らないと、とても全部は読んだり鑑賞したりできない。 ―――― ◇ ――――このへんで少なくとも古本買いは止めよう。明日から止めよう。キッパリ!!と止めよう。 ―――― ◇ ――――・・・だけど、しかし・・・私の自宅周辺の古本屋のめぼしい本は買ってしまったから、そろそろ、この次は、電車に乗って隣の駅の古本屋でも訪ねてみよう。♪「安い本の買い物ほど楽しくて、お買い得な買い物は無い!」と思う私なのだ。♪ ―――― ◇ ――――(永久に完全治癒しないわ この男は・・・)